コグマと大虎 ~捨てられたおっさんと拾われた女子高生~

京衛武百十

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他所様の子供を

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 この世には、他所様の子供を、
『犬猫と同じ』
『悪魔』
 とかホザく奴らがいる。
 あのなあ、他所様の子供をそんな風に言う奴らが、
 <まともな人間>
 なのかよ? そんなことをホザくお前はどれだけご立派な人間だってんだ? 
 <誰から見ても優秀で社会の役に立つ素晴らしい人間様>
 だってか? おかしいなあ。そんな<素晴らしい人間様>がなんでネットの匿名の向こうに隠れてぐちぐちぐちぐち他所様に対して悪態を垂れ流してんだよ?
 と、<大虎>に対して似たようなことを思っちまってた俺自身に対する戒めとして改めてそう思う。
 何度でも言うが、<自分じゃない他者>が自分の思い通りになってくれないのは当たり前だろうが。自分が他の誰かの思い通りにできるかどうか考えてみたらすぐに分かることのはずだ。なんでそれが分からない?
 まあこれも、
『<自分じゃない他者>が自分の思い通りになってくれない』
 ってことの一例だけどよ。
 この世ってのはそもそも、
『完全に自分の思い通りになることなんてほとんどない』
 ってのが事実のはずだ。当たり前だろう? 天気が自分の思い通りになるか? 災害が自分の思い通りになるか? 人間が作ったはずの社会さえ自分の思い通りにはならないよな? たとえ血の繋がった肉親でも、自分の思い通りにならないよな? だから『生き難い』って感じるんだろう?
 でもな、そうじゃない。そうじゃないんだ。大前提として、自分の思い通りになることなんて最初からほとんどないんだよ。順序が逆なんだ。
『自分の思い通りになることが正しい』
 んじゃなくて、
『自分の思い通りにならないこの世をどう受け止めるか?』
 ってのが大事なんだ。『自分の思い通りになることが正しい』と考えるから上手くいかないことが多すぎて嫌になる。自分は他の誰かの思い通りになんていられないクセに、よくそんな思い上がれるもんだって感心するよ。
 とまあ、改めてこんなことを言いだすのはなぜかってえと、
『自分の思い通りにならないこと』
 がまさに今、起こってるからだな。

「どうしよう……お父さん……」
 それまで腹立つくらいにきっちり来てたものが来なくなって、『まさか』と思って薬局で買った<それ>がはっきりと『陽性』を示しているのを俺に見せて、羅美は青い顔をしてた。
「どうしよう。って言われても」
 実は俺自身は『有り得る話だな』と早々に覚悟してたんだが、こうして実際に突き付けられると、
『さて、どうしたものか』
 とは思わされるな。
 ちょっと勘の働く奴ならもうピンと来てるだろう。
 <妊娠>だよ。
 どこの誰とも分からん奴の子を妊娠したんだ。
 羅美は。

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