ショタパパ ミハエルくん(耳の痛い話バージョン)あるいは、(とっ散らかったバージョン)

京衛武百十

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パパもママもだ~い好き♡

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なお、悠里ゆうり安和あんなは、精神的には一応思春期にも突入しているけれど、その身体的な特徴とも相まって人間が言う<思春期>とは元々違うものだった。単に明確な自我が確立されることで自分と他者の違いというものについていろいろ考えてしまうだけである。

人間の場合はここに第二次性徴に伴う性的な目覚めも加わることで更に複雑になるということかもしれない。

なので、身体的な性徴という意味ではまだまだ子供であり、両親と一緒のお風呂に入ることに抵抗がないのは別に不思議でもなんでもなかった。実はミハエルも、悠里や安和の感覚とそれほど違いがない。あくまで実際に生きてきた年月に伴う経験上の知識があることと、身体的にはギリギリ男性としての機能もちゃんとあるという程度だった。

だから、アオと結婚したのも吸血鬼の感覚とすれば『ませている』と思われることはある。

もっとも、何度も言うように、実年齢の面では、普通に大人ぶっている人間よりもずっと年上なので、ミハエルのようにパートナーを見付けることもそれほど珍しい話でもなかった。

やや下世話な性格をしている吸血鬼などは冷やかしたりすることもあるだろうかという程度の話である。

そんなこんなで、一緒のお風呂は、蒼井家における大切なスキンシップの一環だった。

もちろん、強制はしない。この中では椿つばきが遠からず一緒に入らなくなる可能性は高いものの、その時はその時で、彼女の判断を受け入れるだけだった。

とは言え、そんなことを言い出す気配はまるでない。椿自身がみんなで一緒のお風呂が大好きだから。

彼女が通う小学校のクラスメイトの中には、

『お父さんと一緒のお風呂とか、絶対に無理!』

と公言している女の子もいるものの、椿としては、

『ふ~ん、そうなんだ』

と思っている程度だった。彼女はもう齢十歳にして、

『自分と他人は違っていて当然』

という風に達観していた。他人と違っていることで不安になったりはしない。その必要がなかった。

だって彼女はとても愛されているから。

体を洗って頭も洗って、髪の手入れもして、みんなと一緒に湯船に浸かって、

「パ~パ♡ マ~マ♡」

そう甘えれば、

「は~い♡」

きちんと受け止めてもらえた。父親が吸血鬼だということも理解してるし、それが今の社会じゃ受け入れられないこともすでに理解してる。

けれどそんなことは瑣末な問題だった。

「椿、パパとママのところに来てくれてありがとう…」

そう言ってもらえるから。

自分が祝福されていることが分かるから。

「パパもママもだ~い好き♡」

素直にそう言えるのだった。

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