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もえぎ園

親として

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「よく、ドラマとかで、『子供が凶悪な人殺しになって苦しんでる年老いた母親』とか出てくるじゃない? いかにも『親はすごくいい人なのに子供は』とかってやつ。あんなの、ただの演出だから。安っぽいお涙頂戴のね。『親も被害者です』みたいな。

私はね、そういうの大嫌いなのよ。物事を一面でしか見ない人間の戯事だから。子供がどういう人間に育つかは、親に責任があるのよ。親と一緒に住んでればほぼ百パーセントね。

当たり前でしょ? 子供は親の真似をして人間として育っていくのよ? 親のすることが子供の人間性を育てていくの。むしろ、自分の子供を凶悪な人殺しになるように仕向けておいて『自分も被害者です』面できるその性根が、他人の命まで蔑ろにできる子供の人間性そのものにしっかりと受け継がれてるでしょうが!

自分がこの世に送り出しておいてその子供と向き合えもしないような人間が、いっぱしの親面すんな!

私はそう言ってやりたいわね」

一気にそうまくしたてた宿角蓮華すくすみれんげに、千堂京香せんどうきょうかは眉を顰めずにいられなかった。

「何もそこまで言わなくてもいいんじゃないですか…?」

ついそんな風に言ってしまう。

「そうやって甘やかすから、親としてまともなこともできない親でも、子供さえ死なせなければ『育ててやった恩』とか言い出すんでしょうが。恩? 笑わせないで。子供をこの世に送り出したのは、あんたの勝手な都合でしょうが。その責任も負いきれないで子供に何を教えるって言うの? 自分の責任から目を背けて被害者面する方法でも教えるの?

私はね、私が育てた子供達の中から他人を蔑ろにするようなのが出たら、その責任から逃げるつもりなんて毛頭ないわよ。人を殺したらその償いを一緒に一生するわ。損害賠償だってする。その覚悟があればこそ、こんなことしてんのよ。って言うか、その覚悟がなけりゃできないの。こんなおっかないこと。

だって、人間を社会に送り出すのよ? その子がこの社会で何を成して何をやらかすのか、その原因を作るのよ? いいことも悪いことも、自分がその子を社会に送り出したからこそ起こるの! 自分のやったことが形を成すのよ?

それについて責任も負えないのなら、大人面するんじゃないわよ。

怖い? そんな責任は負いたくない? だから結婚もしないし子供も要らない? そうやって逃げたいんなら勝手にどうぞ。

でも私は、それがむしろ嬉しい。自分がその責任を負う覚悟を持てることが誇らしい。

私はこんな体に生まれついたけど、そんなこと関係ないくらい今は充実してるわ」

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