読後感? 知らんなそんなもの。アンボイナにでも食わせてしまえ

京衛武百十

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負のスパイラル

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えてして人間が望む<異世界転生>や<異世界転移>は、自身の願望を叶えるためのものであることが多いと聞く。

だが、私がそんなことを叶えてやるわけないよなあ。

まあ、<異世界転生>という部分と、

『自分の思うままに人間を殺しまくりたい』

という部分だけは、叶えてやってもいいがな。



「……え…?」

男は、

『自分はこの世界に生まれてくるべきではなかった』

と思っていた。両親はとにかく『人に優しく』『誠実でいろ』と綺麗事ばかり並べるクセにその実は自分が上手くいかないことを他人や世の中のせいにして愚痴をこぼしているだけという、典型的な<外面だけの人間>だった。

だからいくら綺麗事を並べられてもそこには説得力の欠片もなく、むしろ見返りを求めて形だけ他人に対して優しいふりをしている、誠実なふりをしている、どうしようもなくくだらない人間にしか見えなかった。

人に優しくと言いながら、スーパーのレジで前の客がもたついていたら「チッ」と小さく舌打ちをし、

誠実でいろと言いながら、自動販売機で誰かが釣銭を忘れていたらそれを「ラッキー」と喜んでネコババするような親だった。

それで口先だけ道徳の教科書のようなことを言っていて、子供が納得すると思うのか?

という話だな。しかもたまにそういうことがあるというだけではなく、一事が万事その調子である。そのクセ、外面だけはいい。

だから男は、

『人間なんてのはどんな偉そうなことを言ってる奴でも一皮むけばどうしようもないクズだ。生きてる価値もない』

などと思うに至ったらしい。

で、そんなことを考えてるから普段もそれが態度に出ていて、故に他人からも疎まれる。人間関係も上手くいかない。それで余計に、

『人間なんて……!』

と思うようになっていく。

いやはや何という<負のスパイラル>。

そこでせめて『それじゃマズイ』と気付かせてくれるのが周りにいればまだ何とかなったんだろうが、男の周りにいたのも、結局は正義を声高に叫びながら他人を口汚く罵るような連中ばかり。

歯止めも何もあったもんじゃない。

そんなこんなで、遂に閾値を超えてしまったということだ。

殺人へと振り切れるための。

などという間抜けな人間同士が負の影響を与え合ってることなど私にとってはどうでもいい話だったんだが、私の物に手を出すんじゃあ見逃すわけにはいかん。

そんな訳で、転生させてやったのだ。

人間共がひたすら殺し合っているだけの世界に。

そして男が気が付いた時には、自分の体を何本もの槍が貫いていたのだった。

本物の、

<人間を殺す為だけの武器>

の前には、ディスカウントストアで買った安物の包丁など、ただの玩具だな。

もはや痛みなのか何なのか分からない感覚が自分の体を奔り抜ける中、男は力を入れていることさえできずにくずおれた。

『え……? 死ぬのか…俺……?』

既に声を上げることもできずに男は思うが、残念。そうじゃないんだなあ。

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