読後感? 知らんなそんなもの。アンボイナにでも食わせてしまえ

京衛武百十

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性質の悪い冗談

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藍繪正真らんかいしょうまと名乗ったその男を、<クレラ村のデイン>となった私は町まで案内することにした。

「俺の村はほんっとシケた村でよ。ロクな女もいねえ。イノシシみたいなのとか、かと思うと痩せ犬みたいな貧相な女ばっかりでさあ。そんなのを女房にして一生畑仕事で終わるとか、たまんねえよ。

で、戦で手柄を立てて一発当てようと思ったんだ。そうすりゃ金も女も思いのままだ。こう、胸のでけえ、腰のキュッと締まった垢抜けたやつじゃねえと<女>じゃねえよな。村にいるようなのは、あれぁ牛や馬と同じだ。女とは言えねえ」

私が、黙ってついてくる藍繪正真らんかいしょうまに対してべらべらとしゃべった内容は、デインの頭の中にあったものそのままだ。領主お抱えの軍に入るために出てきた時、たまたま居合わせた同じような奴相手にしゃべったものだった。まあ、そういう身の程もわきまえてない勘違い男だったということだな。

なにしろ、自分の村の女を『牛や馬と同じ』と言ってるこいつ自身が、できの悪い農耕馬をそのまま人間の姿にしたかのようなブッサイクだったからな。

人間ってのは、えてして自分のことが見えてない奴が多い。他人の容姿をあれこれ好き勝手に批評するクセに自分の見た目はそれこそ三流以下だったりするのだ。

まったく、何様だ?って話だよな。高嶺の花を欲する前に自分の姿を鏡で見ろ。しかもそんなことを言ってるような奴は内面もロクなものじゃない。

見た目もカスなら内面もゴミとか、性質の悪い冗談だ。

しかし、一方的にしゃべる私の話など、藍繪正真らんかいしょうまはそれこそなんの興味もないようだった。右から左へと聞き流し、憮然とした表情で剣を杖にしてついてくる。

が、遅い。とにかく遅い。子供の頃からそれこそ畑仕事をしてきたデインは、体力だけはそれなりにある。それに対して平和で便利な現代日本で生まれて楽な生活をしてきた藍繪正真らんかいしょうまは、包丁で武装しなけりゃ小娘一人襲えないような<モヤシ>だ。

二時間歩いた程度で膝が笑ってやがる。

「疲れたか? まあ、一休みするか」

情けない有様に、私は立ち止まった。すると藍繪正真らんかいしょうまは崩れるようにその場に座り込んだ。

瞬間、私は背後に回り込んで腰の剣を抜き、頭に突き立てる。悲鳴を上げる暇もなく即死だ。

で、剣を鞘に戻してしばらく見ていると、倒れ伏した藍繪正真らんかいしょうまの意識が戻り、

「…あ…? 俺、寝てたのか……?」

とか呟きながら体を起こす。

「よく寝てたな。こんなところでもそれだけ寝られれば大したもんだ」

私も実に白々しい。

巻き戻りによって疲労をリセットさせただけだ。

今はこれが一番手っ取り早いからな。

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