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試し行動
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両親と共にテーマパークに来たことでテンションが上がってしまった幼い藍繪正真がうっかり自動車の前に飛び出してしまった時、両親はこいつを叱り飛ばした。
「だから飛び出しはダメだと言ってるだろ!!」
「気を付けなさい!」
と。
『幼い子供は何かに集中すると周囲に注意が向かなくなることがある』
という事実を理解しようともせず、己の子供に意識を向けていなかった自分達を棚に上げて、な。
だが、この時の経験が、その後の藍繪正真を決定付けたのかもしれん。
この時のそれは決してわざとではなかったものの、結果として、
『パパとママが自分を見てくれた』
という経験になったことが、ある種の<成功体験>になってしまったのだろう。
その後こいつは、わざと危険なことや<悪いこと>をするようになった。
同じように自動車の前に飛び出したり、
テレビで見た火災旋風の実験を真似てリビングで灰皿に何本もロウソクを立てて火を点け、小さな火災旋風を起こさせて危うく火事になりそうにしたり、
果ては学校でクラスメイトをイジめ、両親を呼び出させたりということを行うようになったのだ。
もちろんその度に両親は藍繪正真を叱りつけた。
「どうしてそんなことをするんだ!?」
「そんな悪い子に育てた覚えはありませんよ!」
などとな。
だが藍繪正真にとってはそれだけ両親が自分を見てくれているという実感になった。
だからさらにそれを得るために、危ないこと悪いことを繰り返すようになったのである。
俗に<試し行動>とも言われるものの一種だっただろう。
普段は上辺でしか子供と関わろうとせず、それでいて自分達に迷惑がかかりそうになれば感情的になって頭ごなしに怒鳴る。
そんなものでも、当時の藍繪正真にはある種の充足感があったらしい。とにかくなんでもいいから自分を見てほしいという気持ちは満たされたらしい。
が、それも、時間の経過と共に意味が変わってくる。
と言うか、両親がただ、我が身かわいさで感情的になってるだけだというのが分かってきて、冷めてしまったのだ。
それからはむしろ、自分を見てくれなかった両親に対する<嫌がらせ>の意味が強くなってきただろう。
加えて、それまでは体が小さかったことで力尽くで抑えられていたものが、成長して体も力も大きくなり拮抗し始めると、立場が逆転した。
両親を怒鳴りつけて威圧するようになっていったのだ。しかも実際に父親と取っ組み合うと、自分の方が強くなっていたことにも気付いた。
こうなるともう、抑えが利かなくなる。
藍繪正真は、まるで暴君のように君臨し始めたのだ。
それまでの憂さを晴らすために、な。
「だから飛び出しはダメだと言ってるだろ!!」
「気を付けなさい!」
と。
『幼い子供は何かに集中すると周囲に注意が向かなくなることがある』
という事実を理解しようともせず、己の子供に意識を向けていなかった自分達を棚に上げて、な。
だが、この時の経験が、その後の藍繪正真を決定付けたのかもしれん。
この時のそれは決してわざとではなかったものの、結果として、
『パパとママが自分を見てくれた』
という経験になったことが、ある種の<成功体験>になってしまったのだろう。
その後こいつは、わざと危険なことや<悪いこと>をするようになった。
同じように自動車の前に飛び出したり、
テレビで見た火災旋風の実験を真似てリビングで灰皿に何本もロウソクを立てて火を点け、小さな火災旋風を起こさせて危うく火事になりそうにしたり、
果ては学校でクラスメイトをイジめ、両親を呼び出させたりということを行うようになったのだ。
もちろんその度に両親は藍繪正真を叱りつけた。
「どうしてそんなことをするんだ!?」
「そんな悪い子に育てた覚えはありませんよ!」
などとな。
だが藍繪正真にとってはそれだけ両親が自分を見てくれているという実感になった。
だからさらにそれを得るために、危ないこと悪いことを繰り返すようになったのである。
俗に<試し行動>とも言われるものの一種だっただろう。
普段は上辺でしか子供と関わろうとせず、それでいて自分達に迷惑がかかりそうになれば感情的になって頭ごなしに怒鳴る。
そんなものでも、当時の藍繪正真にはある種の充足感があったらしい。とにかくなんでもいいから自分を見てほしいという気持ちは満たされたらしい。
が、それも、時間の経過と共に意味が変わってくる。
と言うか、両親がただ、我が身かわいさで感情的になってるだけだというのが分かってきて、冷めてしまったのだ。
それからはむしろ、自分を見てくれなかった両親に対する<嫌がらせ>の意味が強くなってきただろう。
加えて、それまでは体が小さかったことで力尽くで抑えられていたものが、成長して体も力も大きくなり拮抗し始めると、立場が逆転した。
両親を怒鳴りつけて威圧するようになっていったのだ。しかも実際に父親と取っ組み合うと、自分の方が強くなっていたことにも気付いた。
こうなるともう、抑えが利かなくなる。
藍繪正真は、まるで暴君のように君臨し始めたのだ。
それまでの憂さを晴らすために、な。
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