死の惑星に安らぎを

京衛武百十

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非常信号

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デイジーFS505とサーシャがいるそこは、都市部から離れた郊外型の複合商業施設だった。そこにいればサーシャが生きていく為に必要な資材は殆ど何でも手に入るということで、居を構えたのである。

三階建のそこの三階からCLS患者を排除し、サーシャの為の生活空間を確保した。そこには玩具売り場や幼い子供達向けの遊具が設置された区画があり、そういう意味でも都合がよかった。

また、デイジーFS505がウイルスや疫病の専門家の下で使われていたことも幸いしたのだろう。彼女は何をもって人間の死とするかという医学的な基準を知っていた為、CLS患者を<死者>、サーシャを<生者>と明確に認定できたことで、CLS患者を容赦なく階段やエスカレーターから突き落とすことができたという訳だ。

しかも、頭を破壊すれば完全に活動を停止するということに気付いてからはそれこそ容赦なく頭を破壊し安楽死させた。いや、すでに死んでいるのだから<安楽死>という表現はおかしいか。

『人間の遺体に寄生して人間に危害を加えようとする危険生物に対処した』

と言うべきかもしれない。

いずれにせよ、CLS患者は階段を上るということができないので、そうやって順調に生活空間を確保していくことができた。

だが不思議なこともあった。ここに来た当初は何体ものメイトギアがいて、非常信号を出すことで情報を共有、生者であるサーシャを守るという目的の下で、多数の不具合を抱え動作が安定しないデイジーFS505の補佐も兼ねて協力してもらってきたのだが、そのメイトギア達がある日突然、一体もいなくなってしまったのである。デイジーFS505が何度も再起動を繰り返している間に、いなくなってしまったのだ。

呼びかけても応答はなく、反応すらなかったことで、どこかに行ってしまったのだろうとは分かっていたが、それが何の目的でどこに行ってしまったのかは分からなかった。

実はその時、リヴィアターネを封鎖していたロボット艦隊から、非常信号が惑星全土に向けて発信され、全てのロボットに対して空爆目標である都市部へ集合するように命令が下されていたのである。それは、あらゆるメーカーの最上位の管理者権限を用いた、本来なら財産権の侵害として法律上認められることない超法規的な措置だった。そうやってロボットを集め、空爆によって確実に破壊しようとしたということだ。

人間を生かそうとして抵抗するのを未然に防ぐために。

しかし、多くの不具合を抱えていたデイジーFS505は、何度も再起動を繰り返していたことで結局その信号を受信できなかった。それが、サーシャにとっては幸いしたと言えるだろう。

この頃、サーシャは既に生後四ヶ月を過ぎており、動作が完全でないデイジーFS505でも何とか世話をすることができたのであった。

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