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共同生活
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「食事は済んだか? 今日の分のテキストは終わったか? だったらもう寝ろ」
二つの月が水面に映る静まり返った湖畔に張られたテントを覗き込み、エレクシアYM10は淡々とそう声を掛けた。そんな彼女に背を向けて返事もせずうなだれていたのは、あの少年だった。その少年の前には、空になった缶詰とエネルギーバーの袋と、小学校低学年用と思しき問題集が広げられたまま置かれていた。
あの日から数か月。少年とエレクシアYM10はずっと行動を共にしていた。と言うよりは、エレクシアYM10が少年を監禁していたと言った方が正しいか。身体的には拘束していなくても、彼のバイタルサインを常にモニタリングすることで逃げ出そうとすればすぐに発見され連れ戻されるのだから、実質的には監禁しているのと同じである。そんな状態が二か月ほど続いた頃には、彼は逃げ出すことを諦めてしまっていた。
それに、エレクシアYM10は少年にきちんと食事を与え、排泄の為に仮設とは言えトイレも用意し、体を伸ばして寝られるようにテントも張った。最低限、人間らしい生活ができるようには対処してくれていた。だから当てもなく逃げ出すよりは確実に生きられるだろう。
テントや仮設トイレは4WD車に積まれていたものを使った。この車両のオーナーがキャンプ好きだったらしく、荷台にはキャンプ用品が豊富に積まれていたのだった。そしてそこには同じように対ランドギアライフル一丁、ロケットランチャー二門、アサルトライフル二丁、自動小銃四丁、銃弾ケース多数も積まれていた。エレクシアYM10が放浪中に手に入れた武器であった。
もちろん食料も、通りがかったスーパーやコンビニなどで調達した。ロボットは食料品など必要としないので、レトルト食品やインスタント食品、缶詰、長期保存が可能なようにパウチされた生鮮食品などはパンデミックが起こる以前の状態のまま放置されていた為、いくらでも手に入った。とは言え、少年一人ではそういうものを確保することすらままならなかっただろうが。
また、CLSを発症しない彼にとって単独のCLS患者や患畜はさほどの脅威ではないかも知れないが、大型の患畜などと遭遇するとやはり命に係わるし、エレクシアYM10は、実際に何度も、少年に危険が迫ったのを彼が気付く前に排除していた。
この、誘拐犯と被害者のような奇妙な一体と一人の関係は、決して穏やかなものではないものの、危ういバランスの上に成り立っているとも言えたのだった。
二つの月が水面に映る静まり返った湖畔に張られたテントを覗き込み、エレクシアYM10は淡々とそう声を掛けた。そんな彼女に背を向けて返事もせずうなだれていたのは、あの少年だった。その少年の前には、空になった缶詰とエネルギーバーの袋と、小学校低学年用と思しき問題集が広げられたまま置かれていた。
あの日から数か月。少年とエレクシアYM10はずっと行動を共にしていた。と言うよりは、エレクシアYM10が少年を監禁していたと言った方が正しいか。身体的には拘束していなくても、彼のバイタルサインを常にモニタリングすることで逃げ出そうとすればすぐに発見され連れ戻されるのだから、実質的には監禁しているのと同じである。そんな状態が二か月ほど続いた頃には、彼は逃げ出すことを諦めてしまっていた。
それに、エレクシアYM10は少年にきちんと食事を与え、排泄の為に仮設とは言えトイレも用意し、体を伸ばして寝られるようにテントも張った。最低限、人間らしい生活ができるようには対処してくれていた。だから当てもなく逃げ出すよりは確実に生きられるだろう。
テントや仮設トイレは4WD車に積まれていたものを使った。この車両のオーナーがキャンプ好きだったらしく、荷台にはキャンプ用品が豊富に積まれていたのだった。そしてそこには同じように対ランドギアライフル一丁、ロケットランチャー二門、アサルトライフル二丁、自動小銃四丁、銃弾ケース多数も積まれていた。エレクシアYM10が放浪中に手に入れた武器であった。
もちろん食料も、通りがかったスーパーやコンビニなどで調達した。ロボットは食料品など必要としないので、レトルト食品やインスタント食品、缶詰、長期保存が可能なようにパウチされた生鮮食品などはパンデミックが起こる以前の状態のまま放置されていた為、いくらでも手に入った。とは言え、少年一人ではそういうものを確保することすらままならなかっただろうが。
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この、誘拐犯と被害者のような奇妙な一体と一人の関係は、決して穏やかなものではないものの、危ういバランスの上に成り立っているとも言えたのだった。
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