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ノーラとリョウとファロ

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魔法少女コスの魔法使いで、ゲッ〇ービームをブッパする<リョウ>だ……?

いろいろアウト過ぎんだろ。さてはこいつの<師匠>とやら、転生者か転移者だな? 無責任なことしやがって……!

とは思ったが、まあ、結果としてリョウが仕留めた猪やら鹿やらで取り敢えずメシにすることにした。火を熾す程度の魔法なら俺も使えるしな。

で、猪肉と鹿肉を焚火で炙りながら、

「お前、リョウってったか? 今さら武者修行なんかしなくても山の地形変えちまうくらいの魔法使えんじゃねえか。つうか、お前がうろうろ歩き回っちゃむしろ世界の危機だろ。おとなしくしとけ…!」

って言ったんだが、リョウは、

「何言ってる? この程度の力ではぜんぜん足りんぞ、<魔王>を倒すには。だからあたしはもっともっと強くならねばいかんのだ!」

とも。

そうだ、リョウの言うとおり、この世界には<魔王>がいる。確か、<ドレーア>とか言ったか? しかしその<魔王ドレーア>はこの世界じゃ巨大台風や巨大地震みたいなもので、いわば<天災>であり、人間の力でどうにかできるようなものじゃなかった。

しかも魔王ドレーアは、ただただこの大陸を延々と彷徨い続けるだけの存在で、別に何かを狙って襲ってくるってわけじゃないんだ。だから魔王の進路上にいる人間は、『命あっての物種』ということでとっとと避難して、家も畑もぐちゃぐちゃになっても、魔王が去ってからまた作り直すってのを、一万年以上にわたって続けてる。

そういう<節理>なんだよ。前世の地球だって、台風を制御できたか? 地震を抑えられたか? そういうのがあったらとにかく<復興>って形でやり直すしかなかっただろ。それと同じだ。魔王は天災なんだよ。

だから俺は、

「魔王を倒すだ? お前、やっぱり頭おかしいだろ? 魔王を倒すとか、できるわけねえじゃねえか! ここまで一万年以上、人間がどれだけ魔王をどうにかしようとしてきたか、お前は知らねえのかよ!? 一万年の間に挑んできた人間よりもお前のが強くなれるってか!? そんなわけわからん思い上がりができるのが怖いわ!!」

至極まっとうな正直な感想を口にしてやった。なのにリョウは、顔色一つ変えず、

「そんなもの、やってみないと分からんだろうが」

とか言ってのけやがった。

ええ……? 

確かに、前世の地球じゃ、人間は、理論を見付けてからあっという間に原爆まで作ってみせた。でも、実はこの世界じゃ、もうとっくに<戦略核>並みの超火力魔法は編み出されてるんだ。ただ、それを無効化無力化させられる魔法もほとんど同時に編み出されたから人間同士の戦争とかには役立たないだけで、魔王相手には何度も使われてるんだよ。

それこそ、一万年以上前からな。

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