ネクロゴーレムと魔法少女と頭の中身が五十歳の十三歳の少年のパーティがなんやかやで旅を続ける物語

京衛武百十

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魔王ドレーア

71ページ

拗ねた子供みたいな情けない顔で俺を見るアガルトライツに、俺はさらに言った。

「アギー。それにな、たぶん今回は大丈夫だ。それを確かめるために試すんだよ」

「! そうか! ヴァドリフスは火薬の臭いを嗅ぎ分ける……!」

「ご明察。奴が本当に火薬の臭いを嗅ぎ分けるのかどうかってのを試す。もっとも、さっきは火薬を背負った俺がいるのに襲い掛かってきたから、果たしてそれがどこまで信憑性があるのかを確かめるって形になるけどな」

「でも、だとするとやっぱり危険があるということじゃ」

「まあ、確かにそうかもしれないが、それを言ったら冒険者として魔獣退治なんかしようってのがそもそも間違ってると俺は思うぜ。リスクとらずに結果だけを得ようなんてのは、子供だって『甘い!』と思うだろうさ。ま、俺は死なないから今回のはリスクとも言えないが」

きっぱりと言い切る俺に、アガルトライツはさらに訊く。何とも言えない表情で。

「でも、痛みや苦しみは、あるんだろう……?」

「まあ、あるっちゃあるよ。でももう慣れた。しかも爆弾で吹っ飛ぶ場合はそれこそ一瞬だ。で、気付いたら復活してる。感覚としちゃ寝落ちするみたいなもんだよ」

正直に応えた。確かに、意識がある状態で魔獣に食われたりした場合は、死ぬまでの間、相応の苦痛がある。でもな、その辺は防衛反応みたいなものがあるらしくて、長く苦しんだりしないんだ。意識が途切れて、何も分からなくなる。そして完全な状態で復活する。

それだけだ。加えて俺だって長く苦しみたくないから、さっさと爆弾で吹っ飛ばすんだよ。自分自身を。

そういうもんだ。

なのにアガルトライツは言うんだ。

「だけど、その前と後で、君は本当に君のままなのか? 君は君だと本当に言えるのか?」

ああ……<スワンプマン問題>ってヤツか……

『死んだ人間が、記憶も体も完全に元のままで再現されたとしても、果たしてそれは<同一人物>と言えるのか?』

ってあれだな。

けどなあ、俺の場合はあんまり意味がないんだよな。それ。

何しろ、

『前世の記憶があったところで、前世の自分と今世の自分は同一人物と言えるのか?』

っていうそもそも論があるからな。前世の記憶があるからって前世の俺と今世の俺が同一人物だと言えるなら、<死ねない者>として肉体は死を迎えても完全な状態ですぐに復活する俺も、その前後でちゃんと<同一人物>だと言えるんじゃないのか?

とは言え、それはあくまで俺が勝手にそう思ってるってだけの話だ。

でも、<自分>なんてものは自分がそう認識してるから自分なんだろう? 誰にも俺が俺であることなんて証明できないからな。

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