ネクロゴーレムと魔法少女と頭の中身が五十歳の十三歳の少年のパーティがなんやかやで旅を続ける物語

京衛武百十

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魔王ドレーア

72ページ

そうだ。自分が自分であることを確実に証明できるものなんて実際には存在しない。『遺伝子で証明できる』ってんなら遺伝子も完璧に再現してるんならそれはやっぱり同一人物ってことになるしな。

逆を言えば、前世の俺と今世の俺は遺伝子からしてまったく繋がりがないだろう。となれば科学的には同一人物であることを証明できない。

『俺は俺だ』

そう思うから<俺という人間>だって思うしかないんだよ。

再生者リジェネレイターや<死ねない者>なんてのが存在する世界で、

<自己の同一性>

なんてものを気にするだけ無駄だと思うぜ。

と俺は思うんだが。アガルトライツがそれをここまで気にするってのは、相応の理由があるだろうなとは感じた。だから、

「もしかして、お前も再生者リジェネレイターか何かか?」

無礼とは思うが敢えてそう尋ねさせてもらう。と、

「!?」

ビクッと反応する。当たりだったか……

「まあ、その辺りの事情は俺は別にとやかく言うつもりもないよ。それに、あんまり長話してる余裕もない。とにかく試すだけだ」

そう言って俺は、ヴァドリフスが頭を反対側に向けている間に飛び出して、猛然と走った。<隠密>の術の効果があるから、気配を悟られることなく距離を稼げた。そして頭をこちらに向けた瞬間に気付かれて、襲い掛かってくる。凄まじい速度だ。だから俺は、ヴァドリフスが近付いたところで爆弾に火を点けた。

瞬間、飛び退って距離を取る。

こいつ、『火薬の臭いを嗅ぎ分ける』というよりは、

『爆発する火薬を察知する』

と言った方がいいみたいだな。なので、それを確かめるために、火の点いた爆弾を投げつける。すると躱そうとさらに距離を取った。直後、空中で爆発。で、奴は改めて俺を狙ってくる。

まだ爆弾はいくつも持ってるにも拘わらずだ。

なので再び爆弾に火を点けると、距離を取る。で、爆弾を投げつけてさらに下がらせてその間に距離を稼ぐ。リョウ達から引き離すためにな。

そして今度は、爆弾そのものじゃなく、爆弾に使ってる<導火線>だけに火を点けてみた。

そしたらなぜか下がらない。<導火線に火が付いた臭い>を察してるってわけでもないのか。

続けて爆弾に繋がった導火線に火を点けると、やはり下がった。

<爆裂魔法の類>も嗅ぎ分けるということは、なるほど<火薬の臭い>ってことじゃなくて、どういう理屈かは分からないが、

<爆発という現象>

そのものを事前に察してるってことかもな。なんとまあ、メンドクサイ奴だ。しかしこれだと、火薬の臭いを避けてくれるわけじゃないから、爆弾が尽きたらお陀仏だな。

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