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魔王ドレーア
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そうして俺は、崖ギリギリにまで近付いて、崖に沿って迫ってくるヴァドリフス目掛けて火の点いた爆弾を投げつけた。と、ヴァドリフスはそれを避けようとして足を踏み外し、崖から転落していった。さらに、登ってこないように残りの爆弾すべてに火を点けて崖に投げ入れる。その隙に逃げる。とにかく崖から距離を取る。
リョウ達も、俺が追われてる間に距離を取ってたのは見えてたから、街道を越えたところにあった岩陰に飛び込む。
さらにその先は窪地になっていて、崖からは死角になるんだ。ヴァドリフス自体、巣にしてる崖からはあまり離れない習性があるらしく、この窪地に逃げ込めた者は助かったという話があったから利用させてもらった。
で、先にここに逃げ込んでたリョウ達と合流、と。
「本当に無茶をする……!」
アギーは言うが、
「他人からは無茶に見えるだろうが、俺にとってはこれが普通だよ。それよりもヴァドリフスの偵察はできたんだろうな?」
と、問う。
そうだ。今回はあくまで偵察が目的だ。ヴァドリフスの能力を見極めるためのな。それの囮になったんだ。ちゃんと見ててもらわないと困るぞ。
だが、その点については、
「ああ、確認させてもらった。非常に強敵なのは確かだが、我々なら倒せる。我々が力を合わせればな」
バグレスが実に頼もしいイケボで言ってくれた。この声でそう言ってもらえるならすごい説得力だ。安心感しかない。
だが、方角の目印になっている山々を基準にして日の角度を見ると、迎えの馬車が来るまではまだ結構時間がある。水をもらい一息つきながら、俺は迎えの間までの暇潰しとして話を切り出した。
「アギー、お前、<スワンプマン>って言葉を知ってるか?」
「ファロ、それをどこで……?」
驚いたように訊き返してくるアギーに、俺はいろいろ察してしまった。
「俺の故郷にもある言葉でね。『死んだ人間が、記憶も体も完全に元のままで再現されたとしても、果たしてそれは<同一人物>と言えるのか?』って話に出てくる奴だ」
「君の故郷にもその話があるのか?」
そう聞いてきたのはアガルラだった。そしてアガルラは、いろいろ観念したような表情になって、
「スワンプマンのことを知っているなら、君にも理解できるだろう」
と口にする。
「兄上……!」
アギーはそれこそ子供みたいにアガルラを見る。それを手をかざして制したアガルラが静かに語り出した。
「君はさっき、アギーに対して『再生者か何かか?』と尋ねたが、それは正しくない。再生者は私の方なんだよ。私の名は、<アガルラ・ド・ロールデウス・ザファーソン>。ザファーソンという国の第一王子だった者だ」
リョウ達も、俺が追われてる間に距離を取ってたのは見えてたから、街道を越えたところにあった岩陰に飛び込む。
さらにその先は窪地になっていて、崖からは死角になるんだ。ヴァドリフス自体、巣にしてる崖からはあまり離れない習性があるらしく、この窪地に逃げ込めた者は助かったという話があったから利用させてもらった。
で、先にここに逃げ込んでたリョウ達と合流、と。
「本当に無茶をする……!」
アギーは言うが、
「他人からは無茶に見えるだろうが、俺にとってはこれが普通だよ。それよりもヴァドリフスの偵察はできたんだろうな?」
と、問う。
そうだ。今回はあくまで偵察が目的だ。ヴァドリフスの能力を見極めるためのな。それの囮になったんだ。ちゃんと見ててもらわないと困るぞ。
だが、その点については、
「ああ、確認させてもらった。非常に強敵なのは確かだが、我々なら倒せる。我々が力を合わせればな」
バグレスが実に頼もしいイケボで言ってくれた。この声でそう言ってもらえるならすごい説得力だ。安心感しかない。
だが、方角の目印になっている山々を基準にして日の角度を見ると、迎えの馬車が来るまではまだ結構時間がある。水をもらい一息つきながら、俺は迎えの間までの暇潰しとして話を切り出した。
「アギー、お前、<スワンプマン>って言葉を知ってるか?」
「ファロ、それをどこで……?」
驚いたように訊き返してくるアギーに、俺はいろいろ察してしまった。
「俺の故郷にもある言葉でね。『死んだ人間が、記憶も体も完全に元のままで再現されたとしても、果たしてそれは<同一人物>と言えるのか?』って話に出てくる奴だ」
「君の故郷にもその話があるのか?」
そう聞いてきたのはアガルラだった。そしてアガルラは、いろいろ観念したような表情になって、
「スワンプマンのことを知っているなら、君にも理解できるだろう」
と口にする。
「兄上……!」
アギーはそれこそ子供みたいにアガルラを見る。それを手をかざして制したアガルラが静かに語り出した。
「君はさっき、アギーに対して『再生者か何かか?』と尋ねたが、それは正しくない。再生者は私の方なんだよ。私の名は、<アガルラ・ド・ロールデウス・ザファーソン>。ザファーソンという国の第一王子だった者だ」
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