ネクロゴーレムと魔法少女と頭の中身が五十歳の十三歳の少年のパーティがなんやかやで旅を続ける物語

京衛武百十

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己というもの

78ページ

こうして俺達は魔獣ヴァドリフスを撃破。

「私の出番がなかったな」

アガルラはそう言うが、<隠密>と<肉体強化>って形で役に立ってくれといてよく言うよ。

しかも、討伐成功の証拠として尻尾の一部を回収する時には、アギーが崖下に下りて、バグレスがロープで引き上げてくれたしな。しっかり、全員が役に立ってる。だからそれで十分だ。

「え? もう片付いたんですかい?」

迎えの馬車の御者が呆気にとられたように言うのを、でかい尻尾の一部で納得させ、街へと戻る。その間も、

「ここで君達に出会えたことは、私にとっても基点だったな。国には帰れなくても、私自身の人生をこれから生きられそうだ」

そんなアガルラの言葉に、俺も、

「そうだな。どんな形だろうがどんな身の上だろうが、自分が生きてる限りはそれは<自分の人生>だと俺は思う。俺だって仮にも前世で五十年、今世で十三年の人生を送ってきた。どっちも<俺の人生>だ。他の誰かのものじゃない。姿も環境も境遇もまったく違っても、<俺>であることに変わりはないしな」

改めてそう返した。

そうなんだ。<転移>って形でこの世界に来た奴は元の世界に未練があるとしても、俺は死んでこっちに生まれたわけだからな。戻りようもないし、戻れたところで転移って形じゃ生活基盤がない。まあ、記憶がない身元不明者ってことにしておけば、見た目も子供だし施設に保護はしてもらえるだろうけどな。施設についちゃいろいろ聞いたりもするものの、なあに、こっちで十三年生きた経験があれば、少々荒んでたところで大したことないさ。そう簡単に命まで取られるわけじゃない。

『生きる』ってのはそういうことだと実感するよ。子供の内は親に守られなきゃいけないとしても、自力で生きられる年齢になりゃ、自分で人生を選べるんだ。楽しんじまえばいい。

「ふふふ、君、いや、あなたの存在は私にとっての天啓そのものだ。目が開いた。本当に素晴らしい!」

そんなこんなで、街に戻り冒険者ギルドに行くと、

「まさか、軍隊が準備してたのを……?」

受付係も唖然としてたが、

「どうせ軍が本当に片付いたか確認しに行くだろうが、一応、証拠の品だ」

バグレスがヴァドリフスの尻尾をカウンターにドスンと置くと、

「わ、分かりました。報酬を……!」

対応してくれた。

そしてヴォーンローグ銀貨五百枚を受け取り、俺とリョウが二百枚。アガルラとアギーとバグレスとで三百枚という形で山分けにして、

「私達もしばらくはこの街にいますので、もし機会があればまた」

吹っ切れた笑顔のアガルラ達と分かれたのだった。

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