ネクロゴーレムと魔法少女と頭の中身が五十歳の十三歳の少年のパーティがなんやかやで旅を続ける物語

京衛武百十

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「あり…が…とう…ござ…います……」

プリムラは、一音一音思い出しながらどうにか自分の口から送り出してる状態だった。だからちょうど<吃音症>みたいな感じになっている。いや、今の症状はそれこそ吃音症なのか。

それでも、まったくしゃべれなくなってた頃のことを思えばとんでもない変化だ。そんな彼女を、アガルトライツも一緒になって学校まで送ってくれて、平伏せんばかりの勢いで頭を下げる教師達に彼女を預ける。

その時のプリムラは、自分で設えた服をまとった立派な生徒として、学校の門をくぐってた。

なんか、いいなあ……

前世じゃ娘の入学式なんて小学校の時に一度行ったきりだったからな。あとは、なんだかんだとサボってた。嫁さんがいればそれでいいと思ってた。でも娘は、本当は俺にも来てほしかったらしい。なのに俺は自分の用事ばかりを優先して娘のことを省みようとしなかった。

娘は、寂しかったようだ。そしてその寂しさが限度を超えたことで恨みに転じて、愛想を尽かしたと。

プリムラはこんなに可愛いのに、どうして前世の俺は血の繋がった自分の娘にこういう気持ちを持てなかったんだろうな……

なんて、今さら悔やんでもどうにもならないが。

それよりも、プリムラとリシャールとシャミーレの三人がこの街で暮らしていけるようにしなきゃな。

そのために、新しい家も見付けた。借家だが、学校からもまあまあ近く、三人で暮らすにはいい物件だと思う。これはノーラが見付けてきてくれた。

で、そこに必要な家財道具を用意する。テーブルや椅子やチェストの類は元々ついてたが、それだけじゃ生活はできないし。学校の入学金の他にヴォーンローグ銀貨一千枚を用意しようとしたのはそのためだ。

「本当にありがとう。この恩はいつか返す」

すっかり普通の<凛々しい青年>になったリシャールが、運び込んだ家財道具の整理をしながら言う。

「ああ、気にしなくていい。プリムラのためにしたことだ。恩を返すって言うなら、プリムラをしっかりと守ってやってくれ。それが恩返しになる」

と俺は告げた。さらに、

「シャミーレもまだまだ目を離せないんだろ? だったらそっちも気を遣うからな」

とも。そうだ。シャミーレの精神年齢や知能は、はっきり言ってプリムラよりもずっと幼い。体こそはリシャールと同じように立派なそれに戻ったが、記憶の大半と知能はギアルゲフに食われた時に失われたようだ。

ただ、幸いにも、経験を積むことで新しくそれを吸収することができてるらしく、少しずつ<成長>はしてるようなんだ。今だって、簡単な作業くらいならできるようになってる。しゃべる方はまだまだでも、言葉はある程度なら理解してるらしい。

いろいろ大変ではあるものの、まあ、それも人生ってもんだ。

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