ネクロゴーレムと魔法少女と頭の中身が五十歳の十三歳の少年のパーティがなんやかやで旅を続ける物語

京衛武百十

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予兆

90ページ

『俺が何回死のうと構わない。俺を使ってお前にできるだけの全力をぶつけてやれ』

それは、俺自身を魔力増幅炉に使ってリョウに放てる全力の、

<ス〇ナーサンシャイン>

を決めてやれという意味だった。

一方、軍としては、冒険者達にも手伝ってもらって仮の城壁を築き、それによってわずかに進路を逸らそうという狙いのようだ。加えて、横幅数百メートル。奥行百メートル強の<爆砕槽>を作ってそれを一気に起爆。進路にズレを生じさせようという二段構えだな。

何しろ、弓矢や投石じゃ魔王には何の意味もない。普通の魔法使いが放てる魔法程度じゃ蚊に刺された程度にも感じないだろう。そもそも、戦略核兵器並みの威力の術をぶつけてかろうじて進路を逸らせる可能性があると文献にはあるだけだから、可能性があるとしたらリョウの<ス〇ナーサンシャイン>だけだと思う。

「私が術の威力を上げるのに協力します」

アガルラのような強化系の魔法使いの協力も得て、な。

正直なところ、それ以外の冒険者達は、軍の作戦の手伝いをするだけの人足だな。普通に思い付くようなことは、一万年以上の間に試されてきてるんだよ。

『でかい溝を掘って阻もう』

とか、

『生贄を捧げて言うことを聞いてもらおう』

とか、

『峡谷内を進んでる時に崖を崩壊させて埋めてしまおう』

とかな。だけどそのどれもが上手くいかなかった。

溝は落ちたところで這い上がってくるし、生贄はそれこそ何の意味もなかったし、生き埋めも余裕で跳ね除けてみせた。だから今回の軍の作戦でさえ、

『もしかしたら上手くいくかも』

という、半ば神頼みに近いものでしかない。だから街の連中も、

『ギリギリまで粘っていよいよとなったら逃げる』

って考えてるだけだ。リシャールにも、

「俺達が失敗したらその時は逃げろ。家も金も要らん。命さえあれば何とでもなる。プリムラとシャミーレを守ってやってくれ」

とだけ告げておいた。

「……分かった……」

リシャールは悔しそうだったが、プリムラは泣いていたが、

『命あっての物種』

ってのは真理だと俺は思う。<死ねない者>である俺が言うことじゃないかもしれないけどよ。

「魔王ドレーア! 依然侵攻中!! 我が国の領土に入りました!」

到着予想日時まであと一週間。馬に乗って斥候に出ていた兵士達が戻ってきて、そう告げた。ここと魔王との間にもいくつかも町や村はあるが、それらはここよりずっと小規模で大きな軍も派遣されていないことから、とにかく逃げの一手らしい。

今回、ヴォーンローグ王国の領土を横切る中で一番の規模の街がここ<パトラアゲスト>なんだそうだ。しかもここは様々な物流の要所であるから、全力で守る必要があるんだと。

俺とリョウとノーラも、学校の大事な備品の運び出しが終わったことで魔王誘導用の城壁作りに回されてそれを手伝いつつ、腹を括ってたのだった。

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