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生きるも死ぬも
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首を落とした毒蛇を今日の獲物として、二人で野いちごをつまみながら、ウルイとイティラは帰路についた。
日はすでに大きく傾いてきている。この辺りを縄張りとしている狼が本格的に活動を開始する時間だ。これ以上無理をしても危険が増えるだけである。
それに、保存用として作った干し肉もある。今日のところはそれと合わせてこの蛇を二人で分ければいいと思った。
この毒蛇は顎の部分に毒の袋を持っているから頭を落とせば問題ないし、加えて、この蛇の毒は熱を加えれば変質し無害になることをウルイは知っていた。
が、彼は、そういう諸々の知識を決して一人で身に付けてきたわけではなかった。特に毒に関するものは、一度間違えただけで死に至る危険性も高い。
その知識の<師>とも言える者が実はいるのだが、それについてはまた後ほど触れることにしよう。
イティラにすっかり懐かれ、一緒に暮らしていたウルイではあるものの、それは必ずしも彼が望んでいることではなかった。
本音を言えば負担も感じている。
これまでは、生きるも死ぬも彼一人の問題だった。
獣を狩って殺し、その命で自分の命を繋いでいるのだから、逆に自分が獣に殺されて食われたとしても、一向に構わなかった。自分が死んでも、悲しむ者もいない。
だが……
「……? ♡」
ウルイが視線を向けていることに気付いたイティラが、野イチゴを頬張りながらにっこりと微笑んだ。ウルイが自分を見ているのが嬉しくて。彼に意識を向けてもらえていることが嬉しくて。
けれど、そんな彼女の様子を見る度に、
『俺が死んだら、こいつはどうなる……?』
と思ってしまう。
最初は、別にそこまで考えていなかった。少女は獣人。自分は人間。どうせ春にでもなれば勝手に出ていって好きに生きるだろうと思っていた。今は非力でも、すぐに力もつけてくる。
そんな風に考えていたというのもあったのだ。
なのに、イティラは、春になっても出ていこうとしなかった。それどころか、こんな風に自分に笑顔まで向けてくる。
『これじゃ……親子みたいじゃないか……』
などと頭をよぎって軽く狼狽えもした。
なるべくその戸惑いを表には出さないようにしているものの、イティラは、彼の気持ちを敏感に感じ取るのか、家に帰ると、
「ウルイ、疲れてる…?」
と訊きながら、肩を叩いてくれたりもする。
「あ…いや、大丈夫だ……」
とは言いつつも、決して力強くはない彼女の手の感触が不思議と心地好くて、ついなすがままになってしまう。
そして彼女が、自分を必要としているのを、それと同時に自分も彼女を必要とし始めていることを、思い知らされてしまうのだ。
だからこそ……
『これ以上は……ダメだ……』
日はすでに大きく傾いてきている。この辺りを縄張りとしている狼が本格的に活動を開始する時間だ。これ以上無理をしても危険が増えるだけである。
それに、保存用として作った干し肉もある。今日のところはそれと合わせてこの蛇を二人で分ければいいと思った。
この毒蛇は顎の部分に毒の袋を持っているから頭を落とせば問題ないし、加えて、この蛇の毒は熱を加えれば変質し無害になることをウルイは知っていた。
が、彼は、そういう諸々の知識を決して一人で身に付けてきたわけではなかった。特に毒に関するものは、一度間違えただけで死に至る危険性も高い。
その知識の<師>とも言える者が実はいるのだが、それについてはまた後ほど触れることにしよう。
イティラにすっかり懐かれ、一緒に暮らしていたウルイではあるものの、それは必ずしも彼が望んでいることではなかった。
本音を言えば負担も感じている。
これまでは、生きるも死ぬも彼一人の問題だった。
獣を狩って殺し、その命で自分の命を繋いでいるのだから、逆に自分が獣に殺されて食われたとしても、一向に構わなかった。自分が死んでも、悲しむ者もいない。
だが……
「……? ♡」
ウルイが視線を向けていることに気付いたイティラが、野イチゴを頬張りながらにっこりと微笑んだ。ウルイが自分を見ているのが嬉しくて。彼に意識を向けてもらえていることが嬉しくて。
けれど、そんな彼女の様子を見る度に、
『俺が死んだら、こいつはどうなる……?』
と思ってしまう。
最初は、別にそこまで考えていなかった。少女は獣人。自分は人間。どうせ春にでもなれば勝手に出ていって好きに生きるだろうと思っていた。今は非力でも、すぐに力もつけてくる。
そんな風に考えていたというのもあったのだ。
なのに、イティラは、春になっても出ていこうとしなかった。それどころか、こんな風に自分に笑顔まで向けてくる。
『これじゃ……親子みたいじゃないか……』
などと頭をよぎって軽く狼狽えもした。
なるべくその戸惑いを表には出さないようにしているものの、イティラは、彼の気持ちを敏感に感じ取るのか、家に帰ると、
「ウルイ、疲れてる…?」
と訊きながら、肩を叩いてくれたりもする。
「あ…いや、大丈夫だ……」
とは言いつつも、決して力強くはない彼女の手の感触が不思議と心地好くて、ついなすがままになってしまう。
そして彼女が、自分を必要としているのを、それと同時に自分も彼女を必要とし始めていることを、思い知らされてしまうのだ。
だからこそ……
『これ以上は……ダメだ……』
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