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こいつを止めなきゃ
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「あいつ……っ!!」
<王子>に向かって奔る影を捉えた瞬間、イティラも動いていた。
『早まった真似をしない』というウルイとの約束があったにも拘わらず。
もしかすると、王子に対する憤りが、彼女の自制心を奪っていたのかもしれない。
しかし同時に、彼女には確信があったのだ。
『こいつを止めなきゃ、もっと大変なことになる』
という。
が、<王子>に迫る危機を察したのは、彼女だけではなかった。王子の周りに立っていた兵士の何人かもやはり察していて、反応してみせたのである。
「殿下!!」
一人が身を呈して王子を守り、
「はあっ!!」
二人の兵士が、手にしていた槍を、恐ろしく素早い動きで宙に向かって突き出す。
「!?」
その一撃に、王子に迫って奔った<影>が反応した。突き出された槍の穂先を掃い、その反動で自身の軌道を変える。そして、僅かに遅れて槍を構えようとした兵士の顔面に<蹴り>を入れて横っ飛び。別の兵士が突き出した槍を躱す。
そいつの動きもとんでもなかったが、異変を察知して反応してみせた名もない兵士達の練度の高さも、同時に窺えたと言えるだろう。
「狼藉者!!」
最初に反応した数人には遅れたものの、その場にいた兵士全員が槍や剣を構え、王子を囲む。実に、美しいとさえ言えるほどの動きだった。
彼らを鍛えた者がよほど優秀なのか。だが、顔面を蹴られて一人が昏倒したのに続き、また一人が、首を蹴られて鉄の鎧ごとふっとんだ。
<影>の攻撃力の高さもそれで分かる。しかも、兵士を蹴った反動で更に次の兵士が突き出した槍を躱しながらまた別の兵士の頭を蹴った。
兵士達も決して弱くはないというのに、一対一ではまったく勝負にならないのがそれで分かってしまう。
分かってしまうが、兵士達も怯まない。互いに連携して、宙を奔る<影>に向かって次々と槍を繰り出す。
普通の人間だったら、もうこの時点で何本もの槍に貫かれ絶命していただろう。それほどの攻撃だった。
なのに、<影>を仕留めることができない。
と、そこに、
「ガアアアアアッッ!!」
咆哮を上げながら別の何かが躍り出て、<影>と交錯。
「!?」
この思わぬ一撃に、<影>はバランスを崩し、崖の方へと体が泳いだ。が、それでも自分に一撃を加えた<乱入者>の足を掴み、引き寄せる。
そうして、<影>と、<乱入者>は、共に崖を落ちていく。
「イティラ…っ!?」
異変を察して見上げたウルイが声を上げる。
そう。王子に襲い掛かった<影>にさらに襲い掛かった<乱入者>は、イティラであった。
そして、イティラと共に宙にいた<影>にも、見覚えがあった。
『あいつは、あの時の……っ!?』
<王子>に向かって奔る影を捉えた瞬間、イティラも動いていた。
『早まった真似をしない』というウルイとの約束があったにも拘わらず。
もしかすると、王子に対する憤りが、彼女の自制心を奪っていたのかもしれない。
しかし同時に、彼女には確信があったのだ。
『こいつを止めなきゃ、もっと大変なことになる』
という。
が、<王子>に迫る危機を察したのは、彼女だけではなかった。王子の周りに立っていた兵士の何人かもやはり察していて、反応してみせたのである。
「殿下!!」
一人が身を呈して王子を守り、
「はあっ!!」
二人の兵士が、手にしていた槍を、恐ろしく素早い動きで宙に向かって突き出す。
「!?」
その一撃に、王子に迫って奔った<影>が反応した。突き出された槍の穂先を掃い、その反動で自身の軌道を変える。そして、僅かに遅れて槍を構えようとした兵士の顔面に<蹴り>を入れて横っ飛び。別の兵士が突き出した槍を躱す。
そいつの動きもとんでもなかったが、異変を察知して反応してみせた名もない兵士達の練度の高さも、同時に窺えたと言えるだろう。
「狼藉者!!」
最初に反応した数人には遅れたものの、その場にいた兵士全員が槍や剣を構え、王子を囲む。実に、美しいとさえ言えるほどの動きだった。
彼らを鍛えた者がよほど優秀なのか。だが、顔面を蹴られて一人が昏倒したのに続き、また一人が、首を蹴られて鉄の鎧ごとふっとんだ。
<影>の攻撃力の高さもそれで分かる。しかも、兵士を蹴った反動で更に次の兵士が突き出した槍を躱しながらまた別の兵士の頭を蹴った。
兵士達も決して弱くはないというのに、一対一ではまったく勝負にならないのがそれで分かってしまう。
分かってしまうが、兵士達も怯まない。互いに連携して、宙を奔る<影>に向かって次々と槍を繰り出す。
普通の人間だったら、もうこの時点で何本もの槍に貫かれ絶命していただろう。それほどの攻撃だった。
なのに、<影>を仕留めることができない。
と、そこに、
「ガアアアアアッッ!!」
咆哮を上げながら別の何かが躍り出て、<影>と交錯。
「!?」
この思わぬ一撃に、<影>はバランスを崩し、崖の方へと体が泳いだ。が、それでも自分に一撃を加えた<乱入者>の足を掴み、引き寄せる。
そうして、<影>と、<乱入者>は、共に崖を落ちていく。
「イティラ…っ!?」
異変を察して見上げたウルイが声を上げる。
そう。王子に襲い掛かった<影>にさらに襲い掛かった<乱入者>は、イティラであった。
そして、イティラと共に宙にいた<影>にも、見覚えがあった。
『あいつは、あの時の……っ!?』
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