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生きるために足掻く
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王国を脅かした<悪辣なる獣人>カシィフスは死んだ。
この手で討ち取ることができた。
クヴォルオはそれを実感し、
『良し……!』
口には出さなかったものの、心の中でそう叫んでしまっていた。これでようやく、肩の荷が下りた気がした。
そんな彼に、崖上から、
「クヴォルオ! 討ち取ることができたのか!?」
王子の声。
それに応え、クヴォルオは自身の槍に貫かれて息絶えたカシィフスの体を王子からも良く見えるように地面へと横たえる。
イティラも、牙を離してウルイと共に少し離れた。
本当は今すぐ逃げたかったが、崖上から兵士達がまだ弓を構えているのは分かったので、迂闊に動かない方がいいと考え、おとなしくする。
自分とウルイがいたからこそ倒せたというのに、それについてはまったく触れようともしない王子に対しては思うところもなくはなかったものの、別に褒められたかったわけじゃないから、それほど気にもならない。
ただ、できれば早く立ち去って、ホッと一息つきたかっただけだ。
するとクヴォルオが言う。
「この通り、確かに討ち取りましてございます。それは、こちらの二人の力もあってのこと」
『こちらの二人』
それが自分達のことであるのは、イティラにも分かった。自分達が<敵>ではないと王子に言ってくれてるのが伝わって、安堵する。
なのに、王子は、
「二人……? 何のことだ? そいつを討ち取ったのはお前一人の功ではないか。これで先の戦での失態を雪ぐことができたな」
冷淡に言い放つ。
「!!」
「……っく!」
王子の言葉の意味を、クヴォルオとウルイはすぐに察することができた。
『俺達をいなかったことにするつもりだ……!』
ウルイの全身を、冷たいものが奔り抜ける。氷のような汗が噴き出す。
こうなることは十分に予測できた。だから本当は戦っているうちにも逃げる機会を窺ってもいた。しかし、この場を離れようとすれば矢の雨を降らされることは察せられたから、こうして最後まで付き合った。
『イティラ……すまん……!』
またもウルイは心の中で彼女に詫びた。もう彼女も<大人>と認められたとはいえ、実際にはまだまだ経験の浅い若輩者であることも事実。少なくともイティラよりは経験も積んできている自分が彼女の未来を繋いでやる責任があると思っていた。
なのに、やはり自分はどうやら、選択を誤ってしまったようだ……
沢に落ちた兵士など、放っておけばよかったのだ。
それでも、カシィフスと呼ばれる獣人を倒すところまではよかったものの、結果として生き延びる道には繋がらなかったようだ。
となれば、もはや……!
「イティラ、こいつを盾にして逃げるぞ……!」
イティラにだけ聞こえる声で、ウルイは言った。
体の大きなクヴォルオを捕らえて盾にして矢を凌ぎ、ギリギリまで生きるために足掻くと決めたのだった。
この手で討ち取ることができた。
クヴォルオはそれを実感し、
『良し……!』
口には出さなかったものの、心の中でそう叫んでしまっていた。これでようやく、肩の荷が下りた気がした。
そんな彼に、崖上から、
「クヴォルオ! 討ち取ることができたのか!?」
王子の声。
それに応え、クヴォルオは自身の槍に貫かれて息絶えたカシィフスの体を王子からも良く見えるように地面へと横たえる。
イティラも、牙を離してウルイと共に少し離れた。
本当は今すぐ逃げたかったが、崖上から兵士達がまだ弓を構えているのは分かったので、迂闊に動かない方がいいと考え、おとなしくする。
自分とウルイがいたからこそ倒せたというのに、それについてはまったく触れようともしない王子に対しては思うところもなくはなかったものの、別に褒められたかったわけじゃないから、それほど気にもならない。
ただ、できれば早く立ち去って、ホッと一息つきたかっただけだ。
するとクヴォルオが言う。
「この通り、確かに討ち取りましてございます。それは、こちらの二人の力もあってのこと」
『こちらの二人』
それが自分達のことであるのは、イティラにも分かった。自分達が<敵>ではないと王子に言ってくれてるのが伝わって、安堵する。
なのに、王子は、
「二人……? 何のことだ? そいつを討ち取ったのはお前一人の功ではないか。これで先の戦での失態を雪ぐことができたな」
冷淡に言い放つ。
「!!」
「……っく!」
王子の言葉の意味を、クヴォルオとウルイはすぐに察することができた。
『俺達をいなかったことにするつもりだ……!』
ウルイの全身を、冷たいものが奔り抜ける。氷のような汗が噴き出す。
こうなることは十分に予測できた。だから本当は戦っているうちにも逃げる機会を窺ってもいた。しかし、この場を離れようとすれば矢の雨を降らされることは察せられたから、こうして最後まで付き合った。
『イティラ……すまん……!』
またもウルイは心の中で彼女に詫びた。もう彼女も<大人>と認められたとはいえ、実際にはまだまだ経験の浅い若輩者であることも事実。少なくともイティラよりは経験も積んできている自分が彼女の未来を繋いでやる責任があると思っていた。
なのに、やはり自分はどうやら、選択を誤ってしまったようだ……
沢に落ちた兵士など、放っておけばよかったのだ。
それでも、カシィフスと呼ばれる獣人を倒すところまではよかったものの、結果として生き延びる道には繋がらなかったようだ。
となれば、もはや……!
「イティラ、こいつを盾にして逃げるぞ……!」
イティラにだけ聞こえる声で、ウルイは言った。
体の大きなクヴォルオを捕らえて盾にして矢を凌ぎ、ギリギリまで生きるために足掻くと決めたのだった。
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