絵里奈の独白

京衛武百十

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クリスマスイブ

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翌日、土曜日。今日はクリスマスイブということで、私達もささやかなクリスマスパーティーをすることになった。

そこで玲那には、予約していたケーキを取りに行ってもらった。

昨日、いたるさんに抱き締めてもらったからか、笑顔も戻って殆どいつもの玲那になってたことにホッとする。

私との養子縁組は難しいかもしれないけど、もう無理する必要ないもんね。

「ただいま~」

ケーキを受け取って明るい表情で帰ってきた玲那は、私にケーキを渡した途端、

「じゃ、行ってきま~す」

と言って秋嶋さんの部屋に行ってしまった。

残された私達は、三人で顔を合わせてちょっと苦笑いみたいになってしまう。

でもまあいいか。玲那が帰ってくるまでの間に用意を済ませよう。

と言っても、ピザのデリバリーを頼んだり、私がこの為に向こうの部屋から持ってきたミニツリーを飾るだけだけどね。

高さ五十センチもないホントのミニツリーだけど、沙奈子ちゃんは嬉しそうに飾り付けをしてくれてた。その様子を見てるだけでも値打ちがあるってものかな。

いたるさんと一緒に沙奈子ちゃんを見守ってたら、ふと目が合って、まるで吸い寄せられるみたいにキスを交わしてた。

その瞬間、また、体の中でジュンっとしたなにかがあって、カアッと顔が熱くなる。見たら彼も顔が真っ赤だった。

これはもう、疑いようがない。

私も彼も、お互いを異性として求めてるんだ。心だけじゃなくて、体も触れ合わせて愛し合いたいと思ってるんだ。

まさか自分が男性相手にこんな気持ちになるなんて、彼に出会うまでは思ってもみなかった。同性愛者って訳じゃないのは自分でも分かってたけど、男性に対する不信感や嫌悪感が強すぎて、とても無理だと思ってた。なのに彼は、そんな私をこんな気持ちにさせてくれる。

彼が私を異性として見てるのが分かるのに、嫌じゃない。それどころか、彼ともっと触れ合いたい。

ううん、この際だからはっきり言おう。

『抱いてほしい。彼に。彼と体で繋がり合いたい』

って。

なんて思ってたら、沙奈子ちゃんが私達の方にふり返った。キスしてたことに気付かれたかなって思ってドキッとなる。キスぐらいなら大丈夫って思ってても、頭の中が熱くなってしまう。

と、沙奈子ちゃんが言った。

「お父さん、お母さんのこと好き?」

彼を真っ直ぐに見詰めて彼女はそう訊いた。それに対して彼は、

「好きだよ。大好きだ」

って答えてくれた。すると沙奈子ちゃんが、ふわっと笑う。

「私も、お父さんとお母さん、大好き!」

そう言ってくれたことが、頭がくらくらするくらい嬉しかったのと同時に、彼女のこの笑顔を守りたいと、心から思ったのだった。

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