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これから先、ずっと
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『人生って、何があるか分からない』
それはまさにその通りだと思った。今日、楽しく話していた相手が明日突然、事故や病気で死んでしまうこともあるかもしれない。それこそ、英田さんのお子さんみたいに……。
地震もそういうことの一つだと思う。でもだからってみんながみんな、そういうことにいつも遠慮してしまってたら、それこそ毎日どこかで大変な事故や事件や災害が起こってるだろうから、キリがなくなってしまう。
そしてそれは、誰の身に起こるかなんて分からないんだ。今回はたまたまそうじゃなかったというだけで、私達の身に起こってたことかもしれないんだ。
だから、苦しんでる人の前にわざわざ行って浮かれた姿を見せるような事じゃなければ、何でもかんでも自粛する必要はないんだろうなって、玲那に言われて私も思った。もし明日、私達の身に何か起こるとしたら、今日、せっかく機会があったのに山下さんと沙奈子ちゃんに会いに来なかったら、一生後悔するって。
そう思って、私は、今、沙奈子ちゃんとの時間を大切にしたいと思った。
でも、そんな私と沙奈子ちゃんのことを見てた玲那と山下さんの様子が何だか変だって気付いた。
…え?、ひょっとして二人とも泣いてる……?。
そうだった。二人とも確かに涙ぐんでて、こっちまでは聞き取れない小さな声で何かやり取りしてるのが分かった。
あとで玲那に聞いたら、『沙奈子ちゃんと絵里奈が幸せそうにしてるのを見たら泣けてきちゃって』だって。
そういうことなら私にも分かる。私も、向こうに座って見てたら同じように泣いてしまってたかもしれない。それくらい、沙奈子ちゃんは楽しそうだった。
一緒にソースを作る時も、私がお願いすると喜んで作業してくれて、嬉しそうだった。たくさんたくさん辛い思いをしてしてきた筈の彼女が、こんなにも明るい表情で手伝ってくれる。
そんな様子が嬉しくて、嬉しくて、私も胸が一杯だった。
これからも、何度も何度もこうしたいと思った。できるだけこうして足を運んで、沙奈子ちゃんと一緒に料理を、私達四人で食べる為の料理を作りたいと思った。何度でも、何度でも、これから先、ずっと……!。
そうこうしてる間に、料理はどんどん出来上がっていった。沙奈子ちゃんはすごく勘が良くて、私が思ってたよりもずっと頭の回転も速くて器用で、すぐコツを覚えられそうだと思った。間違いなく料理の才能がある。少なくとも、私と同じくらい以上には。
そうしていよいよ出来上がった時、私は、私と玲那の分を、沙奈子ちゃんは、彼女と山下さんの分のお皿を持って、
「は~い、できました~!」
って。
「本当にお手軽なものでごめんなさい、カルボナーラで~す!」
それはまさにその通りだと思った。今日、楽しく話していた相手が明日突然、事故や病気で死んでしまうこともあるかもしれない。それこそ、英田さんのお子さんみたいに……。
地震もそういうことの一つだと思う。でもだからってみんながみんな、そういうことにいつも遠慮してしまってたら、それこそ毎日どこかで大変な事故や事件や災害が起こってるだろうから、キリがなくなってしまう。
そしてそれは、誰の身に起こるかなんて分からないんだ。今回はたまたまそうじゃなかったというだけで、私達の身に起こってたことかもしれないんだ。
だから、苦しんでる人の前にわざわざ行って浮かれた姿を見せるような事じゃなければ、何でもかんでも自粛する必要はないんだろうなって、玲那に言われて私も思った。もし明日、私達の身に何か起こるとしたら、今日、せっかく機会があったのに山下さんと沙奈子ちゃんに会いに来なかったら、一生後悔するって。
そう思って、私は、今、沙奈子ちゃんとの時間を大切にしたいと思った。
でも、そんな私と沙奈子ちゃんのことを見てた玲那と山下さんの様子が何だか変だって気付いた。
…え?、ひょっとして二人とも泣いてる……?。
そうだった。二人とも確かに涙ぐんでて、こっちまでは聞き取れない小さな声で何かやり取りしてるのが分かった。
あとで玲那に聞いたら、『沙奈子ちゃんと絵里奈が幸せそうにしてるのを見たら泣けてきちゃって』だって。
そういうことなら私にも分かる。私も、向こうに座って見てたら同じように泣いてしまってたかもしれない。それくらい、沙奈子ちゃんは楽しそうだった。
一緒にソースを作る時も、私がお願いすると喜んで作業してくれて、嬉しそうだった。たくさんたくさん辛い思いをしてしてきた筈の彼女が、こんなにも明るい表情で手伝ってくれる。
そんな様子が嬉しくて、嬉しくて、私も胸が一杯だった。
これからも、何度も何度もこうしたいと思った。できるだけこうして足を運んで、沙奈子ちゃんと一緒に料理を、私達四人で食べる為の料理を作りたいと思った。何度でも、何度でも、これから先、ずっと……!。
そうこうしてる間に、料理はどんどん出来上がっていった。沙奈子ちゃんはすごく勘が良くて、私が思ってたよりもずっと頭の回転も速くて器用で、すぐコツを覚えられそうだと思った。間違いなく料理の才能がある。少なくとも、私と同じくらい以上には。
そうしていよいよ出来上がった時、私は、私と玲那の分を、沙奈子ちゃんは、彼女と山下さんの分のお皿を持って、
「は~い、できました~!」
って。
「本当にお手軽なものでごめんなさい、カルボナーラで~す!」
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