絵里奈の独白

京衛武百十

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ゴミ拾い

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四年生の番が来て、沙奈子ちゃんは椅子を持って教室へと戻ることになった。

その沙奈子ちゃんに山下さんが、

「校門のところで待ってるから。一緒に帰ろう」

って声を掛けると、彼女も「分かった」って頷いてた。

それを見送って、彼は私達の方に向き直って言った。

「じゃあ、沙奈子が来るまでゴミ拾いでもしますか」

「ですね~」

と玲那が応える。私も、

「ただ待ってるのもなんですからね」

と応えて三人でゴミを拾うことにした。見ると、星谷ひかりたにさんっていう子とイチコさんもゴミ拾いをしてるみたいだった。大希ひろきくんのお父さんの山仁やまひとさんの姿もあった。

でも、やっぱり大きなゴミは落ちてないんだよね。煙草の吸殻さえ落ちてなかった。

考えてみれば、そもそも学校のグラウンドで煙草を吸ってたことの方が異常だったんだと思う。その程度のことも分からないから、ゴミを平気で捨てられてたんだろうな。煙草をポイ捨てするのと同じ感覚で。

なんかもう、誰かが捨てていったのか、それとも風でどこかから飛ばされてきたのか、はたまたたまたまうっかり落としてしまったのかも分からないような小さな紙ゴミがいくつかと、ホントにただの落とし物らしいストラップを拾っただけで、それを係の人に渡しただけで終わってしまった。

私が小学生の時もこんなだったら、あんなに大人を軽蔑せずに済んだかもしれないなとも思ってしまったり。

それから校門の方に移動して、沙奈子ちゃんを待つことにする。

下校は、混雑を緩和する為にか低学年の子から順番に帰ってる感じだった。これはまだしばらくかかりそうだということで、せっかくだから写真や動画のチェックをすることになった。私や山下さんがスマホで撮った動画は、競技に夢中になりすぎたからかひっどいブレブレで、見てると気分が悪くなりそうだった。

でも、玲那が撮った写真は、さすがの出来だったと思う。彼女自身は納得のいかない出来だったみたいだけど、十分綺麗に撮れてるよ。

と、その時、ハッと何かに気付いた玲那が声を上げた。

「あ、沙奈子ちゃんです!」

それにつられて視線を向けると、大希くんと石生蔵いそくらさん、イチコさん、星谷さん達に紛れるようにして一緒に沙奈子ちゃんが歩いてくるのが見えた。体操服を着替えて私服に戻ってる。それで結局、八人で途中まで一緒に帰ることになった。

すると星谷さんが、

「先ほども申し上げましたけど、明日は、千早さんと一緒にお伺いしますので、よろしくお願いします」

って改めて言ってきた。

沙奈子ちゃんが「え?」って顔をして山下さんを見た。彼女も知らなかったんだ。

だから私は、

「沙奈子ちゃん、明日は私たちも一緒だから、大丈夫だよ」

って言ってあげた。

すると今度は嬉しそうな顔で「ホント?」って言ってくれたのだった。

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