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あの玲那が…
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玲那の思わぬぶっちゃけもあったけれど、沙奈子ちゃんの秘密も打ち明けてもらえて、私達はいっそう、距離が縮まったように感じたのだった。
何とも言えない、ホッとした柔らかい空気に包まれる。
それに浸りながら寛いでるうちに、日が暮れてきた。
「もしよかったら夕飯の用意もしていきますけど、どうします?」
そう言いながら私はキッチンに立ってた。当たり前みたいに作るつもりだった。
「お願いしていいかな」
彼にそう言ってもらえて顔が勝手に笑顔になる。パスタや牛乳を取り出し、
「じゃあ、カルボナーラでいいですか?」
という提案はそのまま承認された。沙奈子ちゃんも手伝ってくれて、ささっと用意がすすむ。
そして出来上がったカルボナーラをみんなで食べて、私は沙奈子ちゃんと一緒に片付けを始めた。
まったりとした、本当に心地好い一時だった
なのに……。
それなのに、山下さんと一緒にコタツで寛いでた玲那が、とんでもないことを言いだした。
「もう、あれだけぶっちゃけちゃったし、なんにも恥ずかしくない。だから私、今日、ここに泊っていっていいですか?。明日また来るの大変だし」
……は?。
はぁ…!?。
「ちょ、ちょっと玲那!、何言ってんの!?」
危うく落としかけたお皿を掴み直して、私は思わず声を上げていた。
「ホント抜け駆けにも程があるでしょ!?」
『抜け駆け』って言ってしまってからその言葉が彼にどう聞こえるかっていうのが気になって、咄嗟に手で口を押えてた。
なのに山下さんはふわっと柔らかく微笑って、
「じゃあ、泊っていく?」
って……。
玲那は「やったーっ!!」って腕を突き上げてるけど、私は、
「そんな~、玲那ズルい~……」
としか言葉にできなかった。
私も泊まっていこうかなと一瞬思ったけど、有給を取ってる玲那と違って私は明日も仕事だし、何の用意もしてこなかったし、部屋に残してきた志緒里のことも気になるしで、諦めるしかなかった。
「そう言えば伊藤さんの家にも人形が待ってるはずだけど、大丈夫?」
彼は玲那にそう訊いたけど、彼女の方は、
「兵長なら大丈夫ですよ」
ってあっけらかんとしたものだった。確かに兵長なら大丈夫でしょうね…!。
そう、これが、玲那が『企んでた』ことだった。
もう最初から泊まっていく気で用意してたんだ。
「次は私が来ますから、ホントに教えてくださいね~」
一人で帰ることになったバス停で、私は彼に縋るようにそう言った。それから玲那のことは思いっ切り睨み付けてやった。
『玲那のバカ!、一生恨んでやるから!!』
帰りのバスの中で、私は、そうメッセージを送ってた。
だけど、何故か口元は緩んでたんだよね。
あの玲那が男性の家に泊まっていこうと思えるなんてって、考えちゃってさ。
何とも言えない、ホッとした柔らかい空気に包まれる。
それに浸りながら寛いでるうちに、日が暮れてきた。
「もしよかったら夕飯の用意もしていきますけど、どうします?」
そう言いながら私はキッチンに立ってた。当たり前みたいに作るつもりだった。
「お願いしていいかな」
彼にそう言ってもらえて顔が勝手に笑顔になる。パスタや牛乳を取り出し、
「じゃあ、カルボナーラでいいですか?」
という提案はそのまま承認された。沙奈子ちゃんも手伝ってくれて、ささっと用意がすすむ。
そして出来上がったカルボナーラをみんなで食べて、私は沙奈子ちゃんと一緒に片付けを始めた。
まったりとした、本当に心地好い一時だった
なのに……。
それなのに、山下さんと一緒にコタツで寛いでた玲那が、とんでもないことを言いだした。
「もう、あれだけぶっちゃけちゃったし、なんにも恥ずかしくない。だから私、今日、ここに泊っていっていいですか?。明日また来るの大変だし」
……は?。
はぁ…!?。
「ちょ、ちょっと玲那!、何言ってんの!?」
危うく落としかけたお皿を掴み直して、私は思わず声を上げていた。
「ホント抜け駆けにも程があるでしょ!?」
『抜け駆け』って言ってしまってからその言葉が彼にどう聞こえるかっていうのが気になって、咄嗟に手で口を押えてた。
なのに山下さんはふわっと柔らかく微笑って、
「じゃあ、泊っていく?」
って……。
玲那は「やったーっ!!」って腕を突き上げてるけど、私は、
「そんな~、玲那ズルい~……」
としか言葉にできなかった。
私も泊まっていこうかなと一瞬思ったけど、有給を取ってる玲那と違って私は明日も仕事だし、何の用意もしてこなかったし、部屋に残してきた志緒里のことも気になるしで、諦めるしかなかった。
「そう言えば伊藤さんの家にも人形が待ってるはずだけど、大丈夫?」
彼は玲那にそう訊いたけど、彼女の方は、
「兵長なら大丈夫ですよ」
ってあっけらかんとしたものだった。確かに兵長なら大丈夫でしょうね…!。
そう、これが、玲那が『企んでた』ことだった。
もう最初から泊まっていく気で用意してたんだ。
「次は私が来ますから、ホントに教えてくださいね~」
一人で帰ることになったバス停で、私は彼に縋るようにそう言った。それから玲那のことは思いっ切り睨み付けてやった。
『玲那のバカ!、一生恨んでやるから!!』
帰りのバスの中で、私は、そうメッセージを送ってた。
だけど、何故か口元は緩んでたんだよね。
あの玲那が男性の家に泊まっていこうと思えるなんてって、考えちゃってさ。
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