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最終章
この虫けらがあ!!
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そんな私に、奴は、「オォオォォォオオオォォ!」と風のような唸り声を上げて応えた。人間なら恐ろしさのあまり正気を失うだろうが、私には何の意味もない。
気温が急激に下がっていく。しかもそれはただ空気が冷えているだけではない。ほぼ物理的な硬度を持ち、肌を切り裂こうとしてくる。本来ならカハ=レルゼルブゥアの方が適任なんだが、まあ成り行きとはいえこうなってしまっては仕方ない。私が相手をしてやる。
巨大すぎて鈍重な体の代わりに、奴は物質的な硬度を持つ冷気を攻撃の為の手足として使ってくる。その目に見えぬ攻撃を、私も空間を捩じることで受け止めた。見た目にはただ睨み合ってるようにしか見えんだろうが、今、私と奴の間に何かが入り込めば一瞬で跡形もなく粉砕されるだろう。実際、割り込もうとしたシャノォネリクェが何匹か巻き込まれ、ぐしゃぐしゃの破片となって落ちていった。
正直、私は勘が鈍り力も落ちている。実に業腹だが、ケベロ=スヴラケニヌとほぼ互角だった。むしろ体が小さい分、私の方が不利かも知れん。それでもこんな奴に負けるとか有り得ん話だ。私の顔には狂悦の笑みが張り付き、力の加減が失われていく。闘いを楽しむのはもうやめだ。貴様を捻り潰してやる!!
「ガァッ!!」
私は吠えた。そして空間を捩じり目に見えぬ力の経路を作り、激しく回転させて増幅していった。それは人の体の形に近く、そして大きさは二千メートルに達していた。そう、私は目に見えぬ巨大な体を作り上げたのだ。そして目に見えぬ巨大な腕でケベロ=スヴラケニヌに掴みかかった。すると奴も腕を振り上げ、私に掴みかかってきた。二千メートル級の巨人同士が力比べを始めたのである。空気はうねり風が裂け、ぶつかり合ったエネルギーが雷となって迸る。
地上には無数の落雷が降り注ぎ、それによる火事も同時に多発した。
もっとも、こんなものは私達の戦いでは序の口だ。月城こよみが何か言ってるが、今の私には届かん。「やり過ぎよ!」という言葉は聞こえていても、その意味するところは届かない。
「ハハハハッハハハハハハ!!」
私は、高らかに笑った。己の中から溢れ出る力が勝手に笑い声となって迸るのだ。
潰す! 捻り潰す!!
更に力を練り上げ、増幅させ、集中させる。私とケベロ=スヴラケニヌのぶつかり合いの圧力が地面さえ揺るがし、元は沼地だったものを埋め立てた辺りは液状化によって水が噴き上がった。その噴き上がった水が、冷気によってたちまち凍っていく。
潰れろ! この虫けらがあ!!
私が更に力を籠めると、それまで拮抗していたものが突然崩れた。ぐしゃりとした感触が私に伝わり、ケベロ=スヴラケニヌの姿が雲のように揺らいでいく。
「オオォォォオォォォオオォォォオォオオォォォッッッ!!」
風のような唸り声を残し、やがて奴は形を失った。どうだ。思い知ったか! このポンコツめが!!
だが、奴が一旦退いただけだということは私にも分かっていた。おそらく体勢を立て直せばまた現れるだろう。
「もう! 無茶苦茶よ!!」
私の横に来た月城こよみがなにやら怒っている。しかし私にはどうでもよかった。シャノォネリクェはまだかなりの数が残っていて、
「後は任すぞ!」
と言い残し、私は病院の方へと戻った。
「あ! ちょっと! 待ちなさいよもう!!」
と叫んでいたがとりあってやらなかった。
気温が急激に下がっていく。しかもそれはただ空気が冷えているだけではない。ほぼ物理的な硬度を持ち、肌を切り裂こうとしてくる。本来ならカハ=レルゼルブゥアの方が適任なんだが、まあ成り行きとはいえこうなってしまっては仕方ない。私が相手をしてやる。
巨大すぎて鈍重な体の代わりに、奴は物質的な硬度を持つ冷気を攻撃の為の手足として使ってくる。その目に見えぬ攻撃を、私も空間を捩じることで受け止めた。見た目にはただ睨み合ってるようにしか見えんだろうが、今、私と奴の間に何かが入り込めば一瞬で跡形もなく粉砕されるだろう。実際、割り込もうとしたシャノォネリクェが何匹か巻き込まれ、ぐしゃぐしゃの破片となって落ちていった。
正直、私は勘が鈍り力も落ちている。実に業腹だが、ケベロ=スヴラケニヌとほぼ互角だった。むしろ体が小さい分、私の方が不利かも知れん。それでもこんな奴に負けるとか有り得ん話だ。私の顔には狂悦の笑みが張り付き、力の加減が失われていく。闘いを楽しむのはもうやめだ。貴様を捻り潰してやる!!
「ガァッ!!」
私は吠えた。そして空間を捩じり目に見えぬ力の経路を作り、激しく回転させて増幅していった。それは人の体の形に近く、そして大きさは二千メートルに達していた。そう、私は目に見えぬ巨大な体を作り上げたのだ。そして目に見えぬ巨大な腕でケベロ=スヴラケニヌに掴みかかった。すると奴も腕を振り上げ、私に掴みかかってきた。二千メートル級の巨人同士が力比べを始めたのである。空気はうねり風が裂け、ぶつかり合ったエネルギーが雷となって迸る。
地上には無数の落雷が降り注ぎ、それによる火事も同時に多発した。
もっとも、こんなものは私達の戦いでは序の口だ。月城こよみが何か言ってるが、今の私には届かん。「やり過ぎよ!」という言葉は聞こえていても、その意味するところは届かない。
「ハハハハッハハハハハハ!!」
私は、高らかに笑った。己の中から溢れ出る力が勝手に笑い声となって迸るのだ。
潰す! 捻り潰す!!
更に力を練り上げ、増幅させ、集中させる。私とケベロ=スヴラケニヌのぶつかり合いの圧力が地面さえ揺るがし、元は沼地だったものを埋め立てた辺りは液状化によって水が噴き上がった。その噴き上がった水が、冷気によってたちまち凍っていく。
潰れろ! この虫けらがあ!!
私が更に力を籠めると、それまで拮抗していたものが突然崩れた。ぐしゃりとした感触が私に伝わり、ケベロ=スヴラケニヌの姿が雲のように揺らいでいく。
「オオォォォオォォォオオォォォオォオオォォォッッッ!!」
風のような唸り声を残し、やがて奴は形を失った。どうだ。思い知ったか! このポンコツめが!!
だが、奴が一旦退いただけだということは私にも分かっていた。おそらく体勢を立て直せばまた現れるだろう。
「もう! 無茶苦茶よ!!」
私の横に来た月城こよみがなにやら怒っている。しかし私にはどうでもよかった。シャノォネリクェはまだかなりの数が残っていて、
「後は任すぞ!」
と言い残し、私は病院の方へと戻った。
「あ! ちょっと! 待ちなさいよもう!!」
と叫んでいたがとりあってやらなかった。
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