獣人のよろずやさん

京衛武百十

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第二部

よろずやの従業員

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ティクラ達のところに食事を届けた私は、<よろずや>に戻ります。すると、

「おかえり」

店の中から私に気付いたクレアが声を掛けてくれました。

店番をしてもらっていたんです。

保護されたばかりの時には精々一歳くらいの乳幼児並みの知能しかなかった彼女も、ここで暮らしてたくさんのことを見聞きするうちにメキメキと知能を発達させ、今では少なくとも十歳くらいの子供並の知能はあると見做されていました。

一般的な獣人とまったく遜色ないレベルということです。

なので最近は、<よろずやの従業員>として立派に働いてくれています。

今の時点では物々交換すら完全には成立していなくて、もちろん貨幣なんかなくて、あまり難しい計算も商売としての駆け引きもありませんし、まず、<厄介な客>というのがいませんからね。獣人達にとっても<よろずや>は、<なくてはならないもの>となっていますから、そもそも、

『客の方が偉い!!』

っていう認識がないんです。まあこれは、

『金を払ってやってる』

的な認識がないからというのもあるでしょうが。

そして、<従業員>は、私と少佐と伍長とクレアだけじゃなく、トームもです。

<よろずや>の隣に建てられた家でノーラやレータと一緒に暮らしながら、働いてくれているんです。

彼の種族である山羊人やぎじんは、本来、主食となる植物を求めて季節ごとに居留地を変えますが、発達障害により山羊人やぎじんとしての生き方ができないノーラに合わせて、トームも山羊人やぎじんとしての生き方を敢えて捨てたと。

ただ、彼の場合は、先の<ゴヘノヘ戦>の際に長の決定に逆らって私達に協力を申し出た事で追放されたという事情も大きいですが。

食事については、私達も協力して、彼にとって過不足ないものを安定的に用意できるようにしています。なので、一箇所に定住することになっても、大きな問題は生じていません。

そしてさらに、<新しい従業員>が加わることになりました。

日が暮れると、

「コンバンハ」

挨拶をしながら現れたのは、梟人きょうじん。名前は、フロイ。

実はフロイは、先の<ゴヘノヘ戦>で、私達が率いていたチームの一員でありながらゴヘノヘに恐れをなして真っ先に逃げ出した梟人きょうじんの若者でした。

私達は、軍人ゆえにそういうこともあるのを知っていたのもあって逃げたことを責めるつもりはまったくなかったのですが、フロイ自身はそんな自らを許せなかったらしく、梟人きょうじんの村にも戻らず一人で暮らしていたのを、伍長が先日見付けて、

「詫びてえんならウチで働け!」

と言ってつれてきたというのが経緯ですね。

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