獣人のよろずやさん

京衛武百十

文字の大きさ
152 / 404
第二部

目利き

しおりを挟む
こうして二日目にはやぐらの躯体がほぼ完成し、次は、<ゴヘノヘ御輿>を建造する際に作業効率を上げるための<仕掛け>の製作に掛かります。

要するに、クレーンとかですね。

さすがに私達が使っていたような高精度かつ高機能なものは無理でも、作業の際に部材の保持を容易にする<補助装置>程度のものであれば、不可能ではありません。

とは言え、構造については少々専門的な知識も必要になってきますので、ここからは私と少佐も作業に加わります。

もっとも、私と少佐も、装備品の一部としてクレーンなどを使う際に習熟した基本的な知識しかありませんから、実際には試行錯誤を繰り返すことになるでしょうが。

私と少佐は手分けしてそれぞれ、鼠人そじん兎人とじんの作業員達を従えて作業に。

「それでは、よろしくお願いします」

棟梁のルッセンと職人のリーダー格のタセルイに声を掛けます。

「ヨロシク!」

「ヨロシク、オネガイシマス」

快活な印象のルッセンに対し、タセルイは相変わらずオドオドした感じでした。

ところでタセルイは、本来、土木関係の職人という形なのですが、なにぶん、まだまだその辺りの細分化が進んでませんので、技術のある人には協力してもらうしかないのが現状です。タセルイは、木材加工の技術も高いので。

あと、<材木の目利き>の才能もあるようなのです。

今回は、そのスキルを求められていますね。

クレーンとして使う材木なので、やはり曲げに対する強さが要求されため、タセルイに選んでもらいます。

「……コレハ、イイ。コレハ、ナカガ、クサッテルトコロ、アル。ダメ。コレハ、ヒビ、ハイッテル。ダメ」

材木の端の部分を齧ると、その時の音である程度は中の様子が分かると言います。

そしてほとんどその通りなのです。しかも、問題ないのを撥ねてしまうことはあっても、問題のある材木を見逃すことはない。撥ねたものを別の形で利用するために加工すると、本当に彼の言ったとおりの不具合が見つかる。

いやはや、大したものだと感心させられます。<ウサギの耳>は伊達ではないということでしょうか。

こうしてタセルイが吟味した材木を、木工を得意とする職人達が加工し、クレーンの部品にしていきます。

同時に、クレーンを取り付ける部分の補強を、ルッセンをはじめとした職人達で行いました。

私達も必ずしも十分な知識があるわけではないものの、軍の作戦を遂行するにあたって現場で様々な工作を行うこともあり、この手のやぐらなどについては知らないわけでもありません。

その私の目から見てもルッセン達の作業は的確で、正直、どこか力任せの猪人ししじん山羊人やぎじん達のそれに比べれば、精度を要求される部分を任せるのに向いていると感じますね。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。 彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。 剣も魔法も得意ではない主人公は、 最強のメイドたちに守られながら生きている。 だが彼自身は、 「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。 自分にできることは何か。 この世界で、どう生きていくべきか。 最強の力を持つ者たちと、 何者でもない一人の青年。 その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。 本作は、 圧倒的な安心感のある日常パートと、 必要なときには本格的に描かれる戦い、 そして「守られる側の成長」を軸にした 完結済み長編ファンタジーです。 シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。 最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

処理中です...