獣人のよろずやさん

京衛武百十

文字の大きさ
305 / 404
第三部

気勢

しおりを挟む
本来ならきっと、猪人ししじん達のトーナメントから喧嘩神輿への流れを追った方が、物語的には面白いんでしょうが、正直、私としては興味がないので、しっかりと見ていませんでした。それよりも野良試合を行う猪人ししじん達と、角相撲を始めそうになる山羊人やぎじん達を監視するので忙しかったんです。

ただ、喧嘩神輿の方は、単純に軍人として、対ゴヘノヘ用決戦兵器の今後に向けての課題がどのように得られるのかという意味では興味もありますが。

いつの間にか、少佐と一緒に、各集落のおさ達も、<貴賓席>に着いて、喧嘩神輿が始まるのを待っています。

「オオオオオーッ!!」

「ウオオオオーッ!!」

ダイガとブオゴが、気勢を上げて空気を盛り上げます。それに合わせて、

「オオオオオオーッッ!!」

それぞれを操作する<担ぎ手>達も気合を高めていきます。

「ふわあ…っ!」

「ムムムムム……!」

メイミィとラレアトも、場の空気に呑まれてか、力がこもっていました。実は私達の傍にずっと一緒にいたレミニィは、興味なさそうにしてましたけど。

そして、猪人ししじん達と一緒に裏で喧嘩神輿の準備を続けていた伍長がクレアと一緒に姿を現し、

「てめえらあっ!! 覚悟はいいかあっ!! 死ぬ気でぶつかれぇっっ!! 死んでも文句は言うなよおおっっ!!」

言ってることは無茶苦茶ですが、場を盛り上げるための方便だと思えば分からなくもない声を上げて、

「ウオオオオオオオオオオーッッ!!」

担ぎ手達も観客達も、さらに興奮していきます。暑苦しいまでの熱気……!

そして、

「いけえっ!! ぶちかませえええっっっ!!」

対ゴヘノヘ用決戦兵器とゴヘノヘ神輿の間に張っていた綱を石斧で切り落として、喧嘩神輿の開始を告げます。すると、熱気そのものが爆発するような気配と共に、

「ゴオオオオオオオッッッ!!」

双方の担ぎ手が咆哮を上げて一気に突撃しました。

十数メートルの間合いが一瞬で詰まり、

バッゴオオオオンッッ!!

まるで爆発音かと錯覚するほどの衝撃音が。

実際に真っ先に衝突することになり一番の衝撃を受けるはずの土台部分には、丸太を数本括り付けて<バンパー>にして緩衝するようにはなっていますが、双方の担ぎ手数人が、衝突時の衝撃で吹っ飛ばされて地面を転がりました。にもかかわらず、ダイガとブオゴは、どちらも、振り落とされることなくしがみついていました。さすがと言うかなんと言うか。

しかもお互い、もはや殺気そのものの目で睨み合い、一歩も引く気配を見せません。

それは実際に神輿を操る担ぎ手達も同じ。地面を転がった者達もすぐさま起き上がって神輿に掴まったのでした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。 彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。 剣も魔法も得意ではない主人公は、 最強のメイドたちに守られながら生きている。 だが彼自身は、 「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。 自分にできることは何か。 この世界で、どう生きていくべきか。 最強の力を持つ者たちと、 何者でもない一人の青年。 その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。 本作は、 圧倒的な安心感のある日常パートと、 必要なときには本格的に描かれる戦い、 そして「守られる側の成長」を軸にした 完結済み長編ファンタジーです。 シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。 最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。

処理中です...