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第四部
ザフリとトーム
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こうして作られた模型を基に検討し、まずは頭部に搭載する<クロスボウ>を制作します。
クロスボウの仕組みそのものは、すでに<弩砲>を作ったことで把握できています。ただ、弓の部分にちょうどいい、強い弾力性としなやかさを持つ木をどうするか。
弩砲ほどの大きさがあれば、割と何とかなるんです。その程度の弾力性としなやかさを持った枝などはある。けれど、クロスボウ程度の大きさにしてもその性質を発揮できる木が見当たらない。
とは言っても、それはあくまでこれまで利用してきた木の中には適したものがなかったというだけ。ここの森林も豊富な種類の木々が生い茂ってますので、探せばよいのです。
なので、ティクラは鼠人達を率いて、ルッセンは兎人達を率いて、これまで利用されてこなかった種類の木を中心に素材探しを行います。
その間に、ザフリも<対ゴヘノヘ用決戦兵器二号機>の素案を練ります。
もっとも、彼は<設計>そのものはあまり得意ではないのでしょう。出来上がった素案は、ほぼ、<対ゴヘノヘ用決戦兵器>そのままのものでした。一部、ここまでで出たアイデアを盛り込んで、頭部にはクロスボウ、大型弩砲とパイルバンカーは従来よりも低い位置に移しただけの。
でも、<素案>なのですから、これを叩き台にして改良を加えていくことになるわけですね。
すると、
「?」
テーブルに手をついて素案を覗き込む小さな影。
リータでした。ノーラとトームの息子のリータが、いつの間にか上がり込んでいたのです。
「リータ、邪魔しちゃダメだよ」
トームがよろずやの店舗の方から声を掛けてきます。その言葉はかなり明瞭で、もう私達と比べても遜色ないものでした。よろずやの仕事を続けてるうちに上手くなっていったようです。
するとリータは、どたどたどたと走ってトームのところに戻り、彼に抱き付きました。
「ごめんな」
トームがザフリに謝りますが、
「ダイジョウブダ。ジャマニハ、ナッテナイ」
ザフリも笑顔で返します。二人の関係はとても良いものだと私も感じました。ノーラに対しては辛辣でも、トームがノーラを愛していることについては認めてくれているから、ノーラのことについては敢えて触れません。今の山羊人の価値観ではノーラはやはり受け入れ難い存在で、気持ちの上では割り切れないからでしょう。だから口にすればどうしても辛辣な物言いになってしまう。けれどそれでは、トームも傷付いてしまうことを、ザフリは承知しているんです。
クロスボウの仕組みそのものは、すでに<弩砲>を作ったことで把握できています。ただ、弓の部分にちょうどいい、強い弾力性としなやかさを持つ木をどうするか。
弩砲ほどの大きさがあれば、割と何とかなるんです。その程度の弾力性としなやかさを持った枝などはある。けれど、クロスボウ程度の大きさにしてもその性質を発揮できる木が見当たらない。
とは言っても、それはあくまでこれまで利用してきた木の中には適したものがなかったというだけ。ここの森林も豊富な種類の木々が生い茂ってますので、探せばよいのです。
なので、ティクラは鼠人達を率いて、ルッセンは兎人達を率いて、これまで利用されてこなかった種類の木を中心に素材探しを行います。
その間に、ザフリも<対ゴヘノヘ用決戦兵器二号機>の素案を練ります。
もっとも、彼は<設計>そのものはあまり得意ではないのでしょう。出来上がった素案は、ほぼ、<対ゴヘノヘ用決戦兵器>そのままのものでした。一部、ここまでで出たアイデアを盛り込んで、頭部にはクロスボウ、大型弩砲とパイルバンカーは従来よりも低い位置に移しただけの。
でも、<素案>なのですから、これを叩き台にして改良を加えていくことになるわけですね。
すると、
「?」
テーブルに手をついて素案を覗き込む小さな影。
リータでした。ノーラとトームの息子のリータが、いつの間にか上がり込んでいたのです。
「リータ、邪魔しちゃダメだよ」
トームがよろずやの店舗の方から声を掛けてきます。その言葉はかなり明瞭で、もう私達と比べても遜色ないものでした。よろずやの仕事を続けてるうちに上手くなっていったようです。
するとリータは、どたどたどたと走ってトームのところに戻り、彼に抱き付きました。
「ごめんな」
トームがザフリに謝りますが、
「ダイジョウブダ。ジャマニハ、ナッテナイ」
ザフリも笑顔で返します。二人の関係はとても良いものだと私も感じました。ノーラに対しては辛辣でも、トームがノーラを愛していることについては認めてくれているから、ノーラのことについては敢えて触れません。今の山羊人の価値観ではノーラはやはり受け入れ難い存在で、気持ちの上では割り切れないからでしょう。だから口にすればどうしても辛辣な物言いになってしまう。けれどそれでは、トームも傷付いてしまうことを、ザフリは承知しているんです。
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