Gの愉悦

京衛武百十

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どれだけあなたを愛してるか

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で、小僧は自分を勝手に生み出しておいて親としての責任も果たそうとしない奴らに反発し、現状から抜け出そうとしているということか。

そんな小僧に親共は言う。

「ここの仕組みは、お前が思ってるほど簡単じゃない。私も母さんもここを抜け出すために必死に頑張った。

だが、私達がここから抜け出すということは、下の層の者達の<分け前>がそれだけ減るということなんだ。だから下の層の者達は、私達が下の層に行くことをまったく望んでいない。とにかくあの手この手で私達をここに追い返そうとしてくる……」

「……あなたは、私達に、『どうして勝手に生んだ』と言ったけど、私達だってそれを望んだわけじゃない……

私は、下の層に行って、嫌がらせを受けながらも必死に頑張った。お父さんと一緒に幸せになりたかったから……幸せな家庭を作りたかったから……

だけど、あいつらは……」

母親はそこで言葉を詰まらせ、父親が、

「もういい……言うな…言わなくていい……」

と声を掛けたが、

「いいえ、言わせて。これだけは言わなくちゃいけないの。

お父さんがどれだけあなたを愛してるか、分からせないといけない……!」

それまでの無気力な様子とは打って変わって、絞り出すように。

「あいつらは、私達をここに追い返すために、私に乱暴したのよ……!」

と。

「!? まさか……?」

母親の言葉に、今度は小僧の方が言葉を詰まらせる。

そして母親は、決定的な事実を告げる。

「そう、その『まさか』よ。あなたは、その時にできたの……

なのにお父さんは、『子供には罪はないから。それに君の子なのは間違いないから』って言ってくれて……

それをあなたは……!」

「……っ!」

おお? これは風向きが変わったぞ?

まさかの告白だ。これでは小僧の憤りの大前提が覆ってしまう……

と言いたいところだが、残念、これは典型的な<後出しじゃんけん>だ。両親の境遇には確かに同情すべき点はあるかもしれん。

しかしそれを今の今まで黙っておいて、自分達の旗色が悪くなったからといって後からそれを出すというのは、実に卑劣だな。

が、小僧の方もそれ以上は何も言えなくなってしまったようだ。

まあ、母親にとっては、

<自分に乱暴した奴らの子>

父親にとっては、

<自分の惚れた女を乱暴した奴らの子>

を、養ってはないとはいえここまで世話をしてきたというのは、並大抵のことではあるまい。まさに<愛>がなければできんことだろう。

そんな両親に対して『やらかして』しまった小僧だったが、しかしこいつも並の覚悟ではなかったようだ。

「……だったら俺は、余計に、下の奴らを見返してやらなきゃと思う……」

何とかそれだけを口にして、部屋を出ていったのだった。

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