Gの愉悦

京衛武百十

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心置きなく決着を

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などと考え事をしながら例の部屋を目指し駆けていた私だったが、微かな話し声に気付き、立ち止まった。

途中の部屋の中で二人の人間が何かを話し合っているようだ。

一人はあの男だが、もう一人は訊き覚えがないな。

せっかく意気込んでいたというのにあの男が例の部屋にいないのでは、舞台が整わないではないか。

とは言え、この世は都合よくいかないのが常というものか。

仕方ないので私は、僅かにドアが開いていたその部屋をそっと覗いてみた。

するとそこには、やはりあの男と、見覚えのない白衣の初老と思しき男がモニターを見ながら話し合っていた。

「となると、やはりあの娘は、隔離区画の人間か……」

「ええ。こちらのデータベースに該当する者はいません。隔離区画の中で勝手に生まれたのでしょう。ゆえに、母親についてもこれ以上は調べようもありません。元より無断で出ていった者についてなど、追跡もしませんので……」

「そうか……ご苦労だった。手間を掛けたな……」

「いえ、お役に立てなくて申し訳ございません……

ただ……」

「ただ……?」

「念の為に調べたところ、DNAの損傷が酷く確定的なものではありませんが、こちらから回収された<ブロックフード>の中に、対象のそれと一部一致するDNAが検出されたのも事実です」

「なんだと……?」

「なにか、お心当たりはありませんか……? 第七十八節第二期第十四日に回収されたものですが」

「二年半前だな……」

顎に手を当てて記憶を探ろうとした男が、不意に目を細めた。眉間に苦しげな皺も寄る。

「何か、思い出されましたか?」

初老の男の問い掛けに、

「ああ……屋敷の前に身元不明の女の死体があったので処理したのが確かその頃だ」

苦々しく呟くように男は応えた。

なるほど。見えてきたぞ。

これらの話から推測するに、あの小娘は、例の地下施設の隔離区画の出身で、そこを出ていった母親はこの洋館の前で行き倒れて死体は破砕機シュレッダーに掛けられ<エネルギーバー(こいつらは<ブロックフード>と呼んでるのか)>と成り果て、しかしそれを知らぬあの小娘が母親を探すために面体と普通の防寒着だけで外に出て母親と同じくこの洋館の前で収容され、凍傷で両手足は失ったものの命だけは取り留めた。

という感じか。

正直、私にとってはどうでもいい話だが、これでまあ、だいたいの背景も判明したところだし、心置きなく決着を付けられるぞ!



……などと私は盛り上がっていたのだが、肝心の男の方は、白衣の初老の男を玄関まで見送ったところで踵を返し、例の<最初の部屋>ではなく、寝室に向かって歩いたのだった。

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