短編集

天川 古雨

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『削除の仕方』

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削除の仕方...削除の仕方...

今起きてることの削除の仕方...

ない...ない...どれもこれもない...ない...

調べても調べてもこの今起きてる事の

削除の仕方がわからない...

涙で濡れる顔

汗で濡れる手

スマホの画面はもう私の涙と汗で
ベトベトしていて気持ちが悪い...

もうこの気持ち悪さから解放して欲しい
だから、だからはやく...


___________________

今日は晴れです

晴れ、皆は喜ぶかもしれないけど
私の心は雨模様。だから私は喜びはない

窓から差し込む少しの光
ボーッと私はソファーに座っていた

昨日のメッセージを見る

「すまない、今日も帰れそうにない」

...なんで帰れないのかも書いてくれない

彼からの冷たいメッセージ

毎日綺麗に掃除して

洗濯物もしてご飯も作って待っているのに

彼は帰ってこない

何時からこんなことになったのだろうと

ポロッと涙を流す

今日も私は彼のために家事をした

もそっと昨日の彼のために作った
ご飯を食べる

美味しい...彼はご飯が美味しくても
帰ってきてくれない

もしかして...もしかしてと

毎日のように繰り返す自問自答

それも限界を迎えようとしていた

怒りと悲しみが溢れ出す

スマホを開き頭をぐしゃぐしゃとかきながら
無我夢中に文字を走らせた

そんなこんなでもう夜だ

ガチャガチャ...という音が聞こえる


「彼」だ


「おかえりなさい!」

彼がドアを閉めた直後、
私は玄関まで走って笑顔で彼を抱きしめる

ドタン...その直後彼は倒れた

暫くの忙しい生活のせいだろう...

「もうこんなとこで眠って...」

ふふっ...と新婚のときを思い出した

私のために頑張る!と言い

無理をした翌日、玄関ですぅすぅ...と
寝息を立てていた彼のことを...

.........?

あれ...?何も聞こえない...

.........私は取り返しのつかないことをした

最近の事で私は私を見失っていた

いつの間にか私には私という何者かが
掬っていたのだ...

こ、こんな時こんな時...

涙と手汗でスマホはベトベトだ

削除する方法...


旦那の死体を削除する方法...


あ...そうだ.........


_____________


あのね...貴方...私ね...貴方のこと


ほんとに好きだったのよ...


毎日連絡したり毎日美味しいご飯を作ったり
毎日掃除したり毎日...そう毎日...

私、重かったのかな...?
私のどこが悪かったのかな...?


グツグツと鍋は煮え立つ...

あのね...貴方にまた料理食べてもらいたかったの...

だからね.........私の中で一緒に食べよう?

私の中で...そう...私の中で...美味しい...


_________________________


「最近こんな事件ばっかすよー!!!」

わしゃわしゃと資料をまとめる刑事くん

「不満を言わない!!!」


その相棒の刑事さん


2人はあのストーカー事件の火事から生き延びて完治したあと仕事を続けていた...

「しっかし今回の事件は火を付けなくて
良かったすけど...やっぱ資料まとめてみてるとあらためておえ~ってなるっすわ!」

べろを出してオエーって顔をする刑事くん

「帰ってきてくれない旦那が
帰ってきた時刺してしまって
何を思ったか死体を煮て
食ってしまった...か」

流石に全部は食えず腐ってしまい
近隣住民からの通報で行ったところ...

「彼女...虚ろな目をしてましたよね...」

「そうだな...まァ精神的なものとして
片付けられ治療が始まるだろ...」

「そっすね...」

「なんだ?終わった事件で色々と思ってしまったら、この仕事は続けられんぞ?」

「...あーっす!次どこでしたっけー?」

「ここだここ!いくぞ!」


終わり



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