5 / 127
第一章 転移編
3 血
しおりを挟む
テントの中には俺とパスカルの二人だけとなった。死ぬと宣告してきたパスカルは、誰よりも冷静で少し怖い。
「ふー、さてサタロー調子はどうだ」
俺の体調を気にしながらパスカルはベットに座っている俺に近づいてくる。その顔はやはり無表情で怖い。
「えっと、いいとは言えないですけど……死ぬとは思えない……ゔっ、ゴホゴホ」
体調が良いわけではないが、数時間後に死ぬほどの体調不良ではないと感じた俺は、そうパスカルに伝えようとする。
しかし、急に咳が出て反射的に口を手で抑える。口の中と手にドロッとした気持ちの悪い感触があるのを感じた。
俺は恐る恐る自分の手のひらを見る。
「……血?」
吐血をするなんてドラマでしか見たことがなかった俺はパニックになる。俺は本当に死んでしまうのかと一気に焦りはじめた。
怖くなり恐る恐るパスカルの方を見る。
「はぁ、もう少し保つと思ったがやはり死が迫っているな。話はまずお前の寿命を延ばしてからにするか」
ため息を吐きながらも寿命を延ばすという、非科学的なことを言っている。今の俺にとっては救いの言葉であった。
「そんなこと……出来るのか?」
「あぁ、出来るぞ。お前は単純に体の中に魔力がなくて生きられないだけだからな」
「ま、りょく? ゴホゴホ」
俺が狸寝入りをしている時もギルバードとそんな話をしていたが、どう言う意味なのだろうか。聞こうとした俺だが、咳が止まらず咳をすればするほど、どんどん体調が悪くなっていく。
「説明は後だ……とりあえずアルとギルを呼び戻すか」
そう言ってパスカルは、先程自分で出て行くように言ったアルフレッドとギルバードをテントの中に呼び戻した。
◇◇◇
「どうしたんだ、もう話は終わったのかい?」
「いや、まだだが話の前にサタローが死にそうでな」
「おいおい、吐血してんじゃねーか」
俺の体調をみてアルフレッドとギルバードは心配そうに近づいてきた。
二人を呼ぶことで俺の寿命を延ばすことができるのだろうか。
そもそもこのパスカルという少年が嘘をついてからかっているのかもしれない。
アルフレッドもギルバードもだいぶパスカルを信用しているようだが、なんだか胡散臭い。
「まぁ、説明している時間もないし……アルかギルどちらでも良いからサタローにキスしろ」
「はぁぁ!」
「えっ!」
「ゴホゴホ」
あまりに突拍子のないパスカルの発言に声を出して驚くアルフレッドとギルバード、ついでに俺もむせ込んでしまう。
キ、キ、キ、キスだと!?
前世でファーストキスもまだだったのに、異世界転移して数時間やそこらでキスをするのか。それも前世でもみたこともないようなイケメン二人のどちらかと!
願ってもいないことだし、ゲイの俺からしたら男とのキスには抵抗はない。が、ほぼ初対面の相手にキスするのはさすがに抵抗があるぞ!嬉しいけれども!さっき人を好きになったりしないとか言ってたけど惚れてまうぞ!
死にそうなのに満更でもないと思ってしまう。最低な俺だがイケメン二人の反応が気になりチラッと横目で二人の表情を伺う。
「なんでコイツとキスしなきゃいけねーんだよ!」
ギルバードは、急なキスしろ発言にイラついているようで、パスカルの方を睨み怒鳴っている。そりゃそうだよな……
「キスするとサタローが元気になるのかい?」
アルフレッドは戸惑いながらも、俺の身を案じてくれているようだ。優しい……
なんか少女漫画のヒロインにでもなったようで、死が迫ってこれから天国に行くはずだが、もうここが天国なんじゃないかと思ってしまう。
パスカルは相変わらずの無表情で、二人の対照的な反応に心底どうでも良さそうにしている。
「どっちでも良いから、さっさとキスしろ。軽くなんて言わずにぶちゅーと熱く舌を絡ませる情熱的なディープキスだぞ」
なんなんだそのいかがわしい要求は、俺は今からディープキスされるのか!
アルフレッドとギルバードは困惑しながら顔を見合わせる。困惑と言ってもアルフレッドは戸惑いが混ざったようだが、ギルバードは大層嫌なご様子だ。
沈黙が続く──
「私がするよ」
テント内にアルフレッドの声が響いた。
「ふー、さてサタロー調子はどうだ」
俺の体調を気にしながらパスカルはベットに座っている俺に近づいてくる。その顔はやはり無表情で怖い。
「えっと、いいとは言えないですけど……死ぬとは思えない……ゔっ、ゴホゴホ」
体調が良いわけではないが、数時間後に死ぬほどの体調不良ではないと感じた俺は、そうパスカルに伝えようとする。
しかし、急に咳が出て反射的に口を手で抑える。口の中と手にドロッとした気持ちの悪い感触があるのを感じた。
俺は恐る恐る自分の手のひらを見る。
「……血?」
吐血をするなんてドラマでしか見たことがなかった俺はパニックになる。俺は本当に死んでしまうのかと一気に焦りはじめた。
怖くなり恐る恐るパスカルの方を見る。
「はぁ、もう少し保つと思ったがやはり死が迫っているな。話はまずお前の寿命を延ばしてからにするか」
ため息を吐きながらも寿命を延ばすという、非科学的なことを言っている。今の俺にとっては救いの言葉であった。
「そんなこと……出来るのか?」
「あぁ、出来るぞ。お前は単純に体の中に魔力がなくて生きられないだけだからな」
「ま、りょく? ゴホゴホ」
俺が狸寝入りをしている時もギルバードとそんな話をしていたが、どう言う意味なのだろうか。聞こうとした俺だが、咳が止まらず咳をすればするほど、どんどん体調が悪くなっていく。
「説明は後だ……とりあえずアルとギルを呼び戻すか」
そう言ってパスカルは、先程自分で出て行くように言ったアルフレッドとギルバードをテントの中に呼び戻した。
◇◇◇
「どうしたんだ、もう話は終わったのかい?」
「いや、まだだが話の前にサタローが死にそうでな」
「おいおい、吐血してんじゃねーか」
俺の体調をみてアルフレッドとギルバードは心配そうに近づいてきた。
二人を呼ぶことで俺の寿命を延ばすことができるのだろうか。
そもそもこのパスカルという少年が嘘をついてからかっているのかもしれない。
アルフレッドもギルバードもだいぶパスカルを信用しているようだが、なんだか胡散臭い。
「まぁ、説明している時間もないし……アルかギルどちらでも良いからサタローにキスしろ」
「はぁぁ!」
「えっ!」
「ゴホゴホ」
あまりに突拍子のないパスカルの発言に声を出して驚くアルフレッドとギルバード、ついでに俺もむせ込んでしまう。
キ、キ、キ、キスだと!?
前世でファーストキスもまだだったのに、異世界転移して数時間やそこらでキスをするのか。それも前世でもみたこともないようなイケメン二人のどちらかと!
願ってもいないことだし、ゲイの俺からしたら男とのキスには抵抗はない。が、ほぼ初対面の相手にキスするのはさすがに抵抗があるぞ!嬉しいけれども!さっき人を好きになったりしないとか言ってたけど惚れてまうぞ!
死にそうなのに満更でもないと思ってしまう。最低な俺だがイケメン二人の反応が気になりチラッと横目で二人の表情を伺う。
「なんでコイツとキスしなきゃいけねーんだよ!」
ギルバードは、急なキスしろ発言にイラついているようで、パスカルの方を睨み怒鳴っている。そりゃそうだよな……
「キスするとサタローが元気になるのかい?」
アルフレッドは戸惑いながらも、俺の身を案じてくれているようだ。優しい……
なんか少女漫画のヒロインにでもなったようで、死が迫ってこれから天国に行くはずだが、もうここが天国なんじゃないかと思ってしまう。
パスカルは相変わらずの無表情で、二人の対照的な反応に心底どうでも良さそうにしている。
「どっちでも良いから、さっさとキスしろ。軽くなんて言わずにぶちゅーと熱く舌を絡ませる情熱的なディープキスだぞ」
なんなんだそのいかがわしい要求は、俺は今からディープキスされるのか!
アルフレッドとギルバードは困惑しながら顔を見合わせる。困惑と言ってもアルフレッドは戸惑いが混ざったようだが、ギルバードは大層嫌なご様子だ。
沈黙が続く──
「私がするよ」
テント内にアルフレッドの声が響いた。
150
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる