10 / 127
第一章 転移編
8 逃亡
しおりを挟む
パスカルが、アルフレッドとギルバードを連れてテントの中に入ってきた。
俺はアルフレッドと目が会い先程のキスを思い出し、顔が熱くなるのを感じた。
アルフレッドは、少し照れながらも優しく笑みを浮かべてくれた。なんて優しい男なんだろう……。
「おい、もう体調は大丈夫なのか?」
仏頂面のギルバードもなんやかんやで俺の体調を気にかけてくれていたようだ。
確かにパスカルの言った通りなんやかんやで優しい男なんだろう。ツンデレってやつか男のツンデレって俺はけっこう好きだよなんてどうでも良いことを考える。
「今は、大丈夫なんですけど……」
ギルバートの問いに歯切れの悪い返答をする。
アルフレッドのおかげで今は元気モリモリなのだが、結局寿命を伸ばしただけで死が迫っていることには変わりがない。
元気よくもう大丈夫だと言えないのが申し訳なかった。
「なんだその曖昧な答え方は」
俺の返答がどうも引っかかるようでギルバードの顔が険しくなる。
これは、俺が説明しなくてはいけないのだろうが……恥ずかしくてとてもじゃないけどできない。
俺は助けを求めるようにパスカルの顔を見た。
パスカルは俺の視線に気づき、一つ盛大にため息をする。
「はぁー、ここからはわしが話そう」
そう言ったパスカルは先程俺とパスカルが話したことを簡潔に二人に話した。もちろん俺が異世界から来たことは伏せて。
魔力のことについては知っている二人だから、俺なんかよりよっぽど理解が早かったが、精液の単語が出てきてからは、二人とも目を白黒させながら聞いていた。
◇◇◇
「というわけで、どっちでも良いからサタローとセックスしろ」
あああああーーーー!!!
何言ってんだよ!パスカルの馬鹿ヤロー!
そんな直接言うなや!もう少しオブラートに包んで「サタローに魔力を注ぎ込んであげてくれ」ぐらいに言えよ!
俺は二人の反応を見るのが怖いのとあまりの恥ずかしさから、手で顔を覆い俯いて悶えていた。
「はぁ、まじかとんでもないやつを拾ってきちまったな」
何ともいえない空気が流れている中で、最初に話し始めたのは俺のことを助けてくれたギルバードだった。深いため息の後に自分の行いを悔やんでいるようだ。
そりゃそうだよな、体調が悪いやつなら良くなるまで介抱して元気になればもう安心なのに、俺の場合そうはいかない。
人を助けると言う善の行いをしたのに、セックスしろなんてどんな罰だよ。
俺はゲイだからいいけど、この世界には女性もいるだろうしイケメンの二人は女なんて選びたい放題だろう。
何が悲しくてこんな可愛くもない男の為に自分の身を削って生かそうと思うだろうか。
ギルバードの反応は至極真っ当で、俺も痛いほどわかるのだが、それでも俺のせいでこんな思いをさせてしまっていることにかなり罪悪感が募る。
「ギルお前が拾ってきたんだから、お前が面倒見るのがわしは一番だと思うぞ」
「はぁ! なんでだよアルがさっきキスしたんだから続きもこいつにさせればいいだろ」
「私がかい?」
パスカルの言葉にすぐさま反論したギルバードは、アルフレッドを指差してそう言った。
アルフレッドは、ギルバードのようにあからさまに嫌な反応はしなかったが、優しい男だから声や表情に出さないだけで内心は心底嫌がっているかもしれない……嫌そうに違いない。
「……そうだね、ギルが嫌なら私がするしかないのかな」
喜んで引き受けている感じではない。正直に嫌がるギルバードの反応も傷つくがアルフレッドのあの反応は申し訳なさがひどく俺を襲う。
なにが原因でこんな空気になっているのかといえば、間違いなく俺のせいである。まるで罰ゲームをどちらが受けるかの話し合いになっている。
まじ泣きそうだ。
そもそも、俺がこのまま魔力を貰わずに死ぬことを選べば済む話なのではなかろうか。
そりゃ死にたくはないが、これから二人のどちらかに嫌な行いをさせるぐらいなら潔く死を選ぶのが男だろう。それにたまたま、さっき助けてくれただけの人間にそこまでする義理は全くと言っていいほどないのだから。
俺は今までずっと座っていたベッドから飛び降りる。できるだけ明るい表情で話し合っている三人の方に近づく。
「あの、俺! もう大丈夫なんで帰りますね。ごめんなさい迷惑かけて」
無論帰るところなんてないし、ここがどこなのかもわからない。一歩外に出ればまたあの戦場かもしれないが、どうせ死ぬんなら死に方なんてどうでもいい。
俺は溢れそうな涙を必死に堪えて笑顔でそう言った。
アルフレッドもギルバードも俺の言葉に驚いて困惑した表情だったが、パスカルはただただ真顔で俺のことを見ていた。
この居心地の悪い空間からどうしても逃げ出したくて、抑えきれない涙を懸命に隠してテントの外に出て、行き先もわからないまま走り続けた。
俺はアルフレッドと目が会い先程のキスを思い出し、顔が熱くなるのを感じた。
アルフレッドは、少し照れながらも優しく笑みを浮かべてくれた。なんて優しい男なんだろう……。
「おい、もう体調は大丈夫なのか?」
仏頂面のギルバードもなんやかんやで俺の体調を気にかけてくれていたようだ。
確かにパスカルの言った通りなんやかんやで優しい男なんだろう。ツンデレってやつか男のツンデレって俺はけっこう好きだよなんてどうでも良いことを考える。
「今は、大丈夫なんですけど……」
ギルバートの問いに歯切れの悪い返答をする。
アルフレッドのおかげで今は元気モリモリなのだが、結局寿命を伸ばしただけで死が迫っていることには変わりがない。
元気よくもう大丈夫だと言えないのが申し訳なかった。
「なんだその曖昧な答え方は」
俺の返答がどうも引っかかるようでギルバードの顔が険しくなる。
これは、俺が説明しなくてはいけないのだろうが……恥ずかしくてとてもじゃないけどできない。
俺は助けを求めるようにパスカルの顔を見た。
パスカルは俺の視線に気づき、一つ盛大にため息をする。
「はぁー、ここからはわしが話そう」
そう言ったパスカルは先程俺とパスカルが話したことを簡潔に二人に話した。もちろん俺が異世界から来たことは伏せて。
魔力のことについては知っている二人だから、俺なんかよりよっぽど理解が早かったが、精液の単語が出てきてからは、二人とも目を白黒させながら聞いていた。
◇◇◇
「というわけで、どっちでも良いからサタローとセックスしろ」
あああああーーーー!!!
何言ってんだよ!パスカルの馬鹿ヤロー!
そんな直接言うなや!もう少しオブラートに包んで「サタローに魔力を注ぎ込んであげてくれ」ぐらいに言えよ!
俺は二人の反応を見るのが怖いのとあまりの恥ずかしさから、手で顔を覆い俯いて悶えていた。
「はぁ、まじかとんでもないやつを拾ってきちまったな」
何ともいえない空気が流れている中で、最初に話し始めたのは俺のことを助けてくれたギルバードだった。深いため息の後に自分の行いを悔やんでいるようだ。
そりゃそうだよな、体調が悪いやつなら良くなるまで介抱して元気になればもう安心なのに、俺の場合そうはいかない。
人を助けると言う善の行いをしたのに、セックスしろなんてどんな罰だよ。
俺はゲイだからいいけど、この世界には女性もいるだろうしイケメンの二人は女なんて選びたい放題だろう。
何が悲しくてこんな可愛くもない男の為に自分の身を削って生かそうと思うだろうか。
ギルバードの反応は至極真っ当で、俺も痛いほどわかるのだが、それでも俺のせいでこんな思いをさせてしまっていることにかなり罪悪感が募る。
「ギルお前が拾ってきたんだから、お前が面倒見るのがわしは一番だと思うぞ」
「はぁ! なんでだよアルがさっきキスしたんだから続きもこいつにさせればいいだろ」
「私がかい?」
パスカルの言葉にすぐさま反論したギルバードは、アルフレッドを指差してそう言った。
アルフレッドは、ギルバードのようにあからさまに嫌な反応はしなかったが、優しい男だから声や表情に出さないだけで内心は心底嫌がっているかもしれない……嫌そうに違いない。
「……そうだね、ギルが嫌なら私がするしかないのかな」
喜んで引き受けている感じではない。正直に嫌がるギルバードの反応も傷つくがアルフレッドのあの反応は申し訳なさがひどく俺を襲う。
なにが原因でこんな空気になっているのかといえば、間違いなく俺のせいである。まるで罰ゲームをどちらが受けるかの話し合いになっている。
まじ泣きそうだ。
そもそも、俺がこのまま魔力を貰わずに死ぬことを選べば済む話なのではなかろうか。
そりゃ死にたくはないが、これから二人のどちらかに嫌な行いをさせるぐらいなら潔く死を選ぶのが男だろう。それにたまたま、さっき助けてくれただけの人間にそこまでする義理は全くと言っていいほどないのだから。
俺は今までずっと座っていたベッドから飛び降りる。できるだけ明るい表情で話し合っている三人の方に近づく。
「あの、俺! もう大丈夫なんで帰りますね。ごめんなさい迷惑かけて」
無論帰るところなんてないし、ここがどこなのかもわからない。一歩外に出ればまたあの戦場かもしれないが、どうせ死ぬんなら死に方なんてどうでもいい。
俺は溢れそうな涙を必死に堪えて笑顔でそう言った。
アルフレッドもギルバードも俺の言葉に驚いて困惑した表情だったが、パスカルはただただ真顔で俺のことを見ていた。
この居心地の悪い空間からどうしても逃げ出したくて、抑えきれない涙を懸命に隠してテントの外に出て、行き先もわからないまま走り続けた。
119
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
クールな義兄の愛が重すぎる ~有能なおにいさまに次期当主の座を譲ったら、求婚されてしまいました~
槿 資紀
BL
イェント公爵令息のリエル・シャイデンは、生まれたときから虚弱体質を抱えていた。
公爵家の当主を継ぐ日まで生きていられるか分からないと、どの医師も口を揃えて言うほどだった。
そのため、リエルの代わりに当主を継ぐべく、分家筋から養子をとることになった。そうしてリエルの前に表れたのがアウレールだった。
アウレールはリエルに献身的に寄り添い、懸命の看病にあたった。
その甲斐あって、リエルは奇跡の回復を果たした。
そして、リエルは、誰よりも自分の生存を諦めなかった義兄の虜になった。
義兄は容姿も能力も完全無欠で、公爵家の次期当主として文句のつけようがない逸材だった。
そんな義兄に憧れ、その後を追って、難関の王立学院に合格を果たしたリエルだったが、入学直前のある日、現公爵の父に「跡継ぎをアウレールからお前に戻す」と告げられ――――。
完璧な義兄×虚弱受け すれ違いラブロマンス
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる