19 / 127
第一章 転移編
17 就寝場所
しおりを挟む
アルが戻ってきたところでパスカルとの話はお開きとなった。まだクロノス王国について聞くことはできていなかったが、いつでも聞くことはできるため今回はこれで良しとしよう。
朝食は頑張って食べたが四分の一ほど残っていた。少食の俺にしてはかなり食べた方である。
因みにデザートのフルーツはパスカルが勝手に食べてしまったため、お皿の上は綺麗さっぱりなくなっている。どうせ食べられなかったのでいいのだが。
「ごめん、さすがに食べきれなかった」
俺は申し訳なさそうにテントに入ってきたアルに謝った。すると俺の言葉に反応したのはパスカルだった。
「食べないんだったらわしが食べよう」
そう言ったパスカルは、俺の目の前のお皿を自分のところへ寄せると自身のフォークを持ちムシャムシャと食べ始めた。小柄なのに大食漢なことに驚くが、廃棄するよりマシなのでありがたい。
「二人でなんの話をしていたんだ?」
「えーと、アルとギルバードのことについてパスカルに教えてもらってたんだよ……アルって師団長さんだったんだね、俺びっくりしたよ」
「ははっ、似合わないよね。私も自分で柄じゃないなと思うんだけどね」
「そんなことないよ!」
アルは自分が師団長なのは似合わないことだと思っているようだ。すぐに否定した俺だが同じことを思ってしまっていたので居た堪れない気持ちになる。
その後は遠征訓練に来ている他の兵士達に俺のことを紹介した方がいいのではないかと提案され、俺はそれを承諾した。
いきなり兵士でもない見ず知らずの男がテントで寝泊まりしていたら不審がるだろうし、昨日テントから出て行くのをかなりの兵士達に見られていた。迷惑をかけないためにも知っておいてもらうべきだと思う。
それから、俺がどのテントで寝泊まりするかの話になった。
「アルのテントでいいんじゃないか?」
「私は構わないよ」
パスカルの提案を快く受け入れるアルだが、俺は申し訳ないが構うぞ。
昨日は俺が気を失ってしまいそのままアルのベットで眠ったが、平常時もアルの隣で眠るのは難易度が高い。緊張して寝不足になるのが予想できる。
そうなったら魔力が減るのが早くなってしまい非常によろしくない。
どうにかアルを傷つけないように丁重にお断りしなくてはいけない。俺は頭をフル回転させる。
「サタローもそれでいいか?」
「……アルは師団長としての仕事もあるし夜はやっぱり一人でゆっくり寝たいと思う」
「私はそんなことないけど」
「いや、アルは優しいから知らないうちに気を遣っているんだよ……決して寝たくないわけではなく、これ以上アルに負担をかけたくないんだ」
「そうか……じゃあギルのテントにするかい?」
アルは俺の言い分を理解してくれたようで助かった。しかし、次の提案はアルと寝るよりも、もっとハードルの高いものだった。
正直ギルバードとは、出会ってからまだまともに話したことがない。助けてもらったお礼もまだ言えていないし、一緒に寝る以前に二人だけの空間になることがまず考えられなかった。
「いや、その、それもやっぱり負担になるだろうし」
「じゃあどうしようか、他の兵士達は共同テントだし……そこにサタローを寝かすのは気が引ける」
「俺は別に一緒でも構わないけど……」
二人きりで寝るぐらいだったら俺は共同でも構わなかった。特に人見知りってわけでもないし、そっちならベットも一人用であるみたいだ。寝るだけだったらそっちでも不便はない。
「ダメだ! 絶対にダメだ!」
「えぇ……どうしたんだアル」
アルは俺の肩を掴み、見たこともないすさまじい形相で俺の言葉を全力で否定してきた。
どうしたんだ急に……。
俺はあまりの迫力に気圧される。
「ならわしのテントにするかー、どうせわし一人だし」
「あぁ、それがいいパスカルなら安心だ!な、サタロー」
「あ、ああ」
パスカルの言葉にすさまじい形相のアルは消えいつもの穏やかな表情へと戻る。
パスカルなら俺の身体のことも転移者だということも知っているし俺も心置きなく眠ることができる。
今後の俺の寝床が決まったところで、テントの外に出てアルは他の兵士達に俺の紹介をした。
◇◇◇
というわけで夜になり、寝る支度をした俺はパスカルのテントへ向かう。
昨日の怒涛の一日とは裏腹に、二日目の今日はのんびり穏やかな一日を過ごすことができた。
俺とパスカルはベッドの中へ入る。
アルのテントに置かれているベッドより多少狭かったが、小柄なパスカルとならそう窮屈に感じることもなかった。
寝る前に一つ不思議に思ったことがあり、眠そうなパスカルに質問する。
「なぁ、なんでアルはあんなに他の奴らと俺が寝るのを拒んだんだ?」
「あー、それか、言っただろうサタローには不思議な魅力があるって」
確かに昨日もそんなこと言われた気がするが、俺にはなんのことだかさっぱりわからない。
「だからなんなんだよその不思議な魅力って……」
「……」
返事のないパスカルの方を見ると寝息をたててもう熟睡していた。
「寝るの早っ!」
結局不思議な魅力の真相もわからないまま俺も早々に眠りについた。
朝食は頑張って食べたが四分の一ほど残っていた。少食の俺にしてはかなり食べた方である。
因みにデザートのフルーツはパスカルが勝手に食べてしまったため、お皿の上は綺麗さっぱりなくなっている。どうせ食べられなかったのでいいのだが。
「ごめん、さすがに食べきれなかった」
俺は申し訳なさそうにテントに入ってきたアルに謝った。すると俺の言葉に反応したのはパスカルだった。
「食べないんだったらわしが食べよう」
そう言ったパスカルは、俺の目の前のお皿を自分のところへ寄せると自身のフォークを持ちムシャムシャと食べ始めた。小柄なのに大食漢なことに驚くが、廃棄するよりマシなのでありがたい。
「二人でなんの話をしていたんだ?」
「えーと、アルとギルバードのことについてパスカルに教えてもらってたんだよ……アルって師団長さんだったんだね、俺びっくりしたよ」
「ははっ、似合わないよね。私も自分で柄じゃないなと思うんだけどね」
「そんなことないよ!」
アルは自分が師団長なのは似合わないことだと思っているようだ。すぐに否定した俺だが同じことを思ってしまっていたので居た堪れない気持ちになる。
その後は遠征訓練に来ている他の兵士達に俺のことを紹介した方がいいのではないかと提案され、俺はそれを承諾した。
いきなり兵士でもない見ず知らずの男がテントで寝泊まりしていたら不審がるだろうし、昨日テントから出て行くのをかなりの兵士達に見られていた。迷惑をかけないためにも知っておいてもらうべきだと思う。
それから、俺がどのテントで寝泊まりするかの話になった。
「アルのテントでいいんじゃないか?」
「私は構わないよ」
パスカルの提案を快く受け入れるアルだが、俺は申し訳ないが構うぞ。
昨日は俺が気を失ってしまいそのままアルのベットで眠ったが、平常時もアルの隣で眠るのは難易度が高い。緊張して寝不足になるのが予想できる。
そうなったら魔力が減るのが早くなってしまい非常によろしくない。
どうにかアルを傷つけないように丁重にお断りしなくてはいけない。俺は頭をフル回転させる。
「サタローもそれでいいか?」
「……アルは師団長としての仕事もあるし夜はやっぱり一人でゆっくり寝たいと思う」
「私はそんなことないけど」
「いや、アルは優しいから知らないうちに気を遣っているんだよ……決して寝たくないわけではなく、これ以上アルに負担をかけたくないんだ」
「そうか……じゃあギルのテントにするかい?」
アルは俺の言い分を理解してくれたようで助かった。しかし、次の提案はアルと寝るよりも、もっとハードルの高いものだった。
正直ギルバードとは、出会ってからまだまともに話したことがない。助けてもらったお礼もまだ言えていないし、一緒に寝る以前に二人だけの空間になることがまず考えられなかった。
「いや、その、それもやっぱり負担になるだろうし」
「じゃあどうしようか、他の兵士達は共同テントだし……そこにサタローを寝かすのは気が引ける」
「俺は別に一緒でも構わないけど……」
二人きりで寝るぐらいだったら俺は共同でも構わなかった。特に人見知りってわけでもないし、そっちならベットも一人用であるみたいだ。寝るだけだったらそっちでも不便はない。
「ダメだ! 絶対にダメだ!」
「えぇ……どうしたんだアル」
アルは俺の肩を掴み、見たこともないすさまじい形相で俺の言葉を全力で否定してきた。
どうしたんだ急に……。
俺はあまりの迫力に気圧される。
「ならわしのテントにするかー、どうせわし一人だし」
「あぁ、それがいいパスカルなら安心だ!な、サタロー」
「あ、ああ」
パスカルの言葉にすさまじい形相のアルは消えいつもの穏やかな表情へと戻る。
パスカルなら俺の身体のことも転移者だということも知っているし俺も心置きなく眠ることができる。
今後の俺の寝床が決まったところで、テントの外に出てアルは他の兵士達に俺の紹介をした。
◇◇◇
というわけで夜になり、寝る支度をした俺はパスカルのテントへ向かう。
昨日の怒涛の一日とは裏腹に、二日目の今日はのんびり穏やかな一日を過ごすことができた。
俺とパスカルはベッドの中へ入る。
アルのテントに置かれているベッドより多少狭かったが、小柄なパスカルとならそう窮屈に感じることもなかった。
寝る前に一つ不思議に思ったことがあり、眠そうなパスカルに質問する。
「なぁ、なんでアルはあんなに他の奴らと俺が寝るのを拒んだんだ?」
「あー、それか、言っただろうサタローには不思議な魅力があるって」
確かに昨日もそんなこと言われた気がするが、俺にはなんのことだかさっぱりわからない。
「だからなんなんだよその不思議な魅力って……」
「……」
返事のないパスカルの方を見ると寝息をたててもう熟睡していた。
「寝るの早っ!」
結局不思議な魅力の真相もわからないまま俺も早々に眠りについた。
132
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~
荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。
弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。
そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。
でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。
そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います!
・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね?
本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。
そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。
お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます!
2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。
2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・?
2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。
2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる