異世界では総受けになりました。

西胡瓜

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第二章 本部編

25 風呂

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 遠征場所を出てから数時間、お昼頃には王都に到着し程なくして本部に着いた。本部に向かうまでの道すがら王都の中心部を通ったのだが、元いた世界とは全く違った、中世ヨーロッパのような街並みに俺は目を輝かせていた。
 これはいつかパスカルにでも頼んで連れて来てもらおうと心に固く誓う。

「荷物を置いたら先に風呂に入れよ」

 ギルの言葉に返事をした兵士たちは、荷物を片付けに向かっていった。

「さてと、わしらも風呂に入るか」

 遠征中は水浴びしか出来ていなかったため、お湯に浸かるのは実に半月ぶりとなる。パスカルたちは一ヶ月ぶりのお風呂というわけだ。パスカルはにっこにこで、風呂に向かおうと俺に言ってきた。

「俺はみんなが入った後でいいよ」

 風呂は共同浴場のようだから、疲れている兵士たちが先に入った方がいいだろうと思った俺はパスカルの誘いを断った。するとパスカルは、俺の腕を引っ張り風呂場へ連れて行く。

「安心しろ上官用の浴場だからわしらだけだぞ」

 どうやら兵士たちとは別に上官専用浴場が用意されているようだ。それだったらいいかと俺もパスカルに連れられて風呂場へ向かった。
 途中でパスカルが着替えの服を取りに行ったので彼の部屋の前で待つことになった。部屋から出てきたパスカルは、自分の服とは別にもう一着服を持っていてそれを俺に差し出す。

「ほれ、これはサタローの着替えだ」
「いやいや、流石にパスカルのは小さすぎるだろう……」
「何言ってるんだ、これはお前用に用意した服だ」

 なぜ俺用の服があるのかと驚いたが、なんでも先に帰ってきていたアルが俺が帰ってきた時に着替えに困らないよう変えの洋服を用意してくれていたらしい。
 因みに当の本人のアルは新たな任務が入ったらしく今は本部を離れているらしく、俺たちとはすれ違いになってしまったようだ。
 どこまで気が効く男なのだろうか、先のことまで読んで行動できるところはさすが大勢の兵士をまとめる師団長だと感じさせる。他にもいくつか服は用意されているようで、アルに再会したらお礼を言わなくてはと思いながら服を受け取る。

「あとは部屋だな」
「いいよ、流石に部屋までは」
「じゃあ、アルかギルの部屋にでも泊まるか?毎日ヤリまくりで魔力不足問題なしだな。あいつらの性欲の発散にもなるし、一石二鳥だな」
「ごめんなさい、俺の部屋を用意してください……」

 確かに魔力不足の問題はないかもしれないが俺の体力がもたないし、心臓にも非常に悪いのですぐさま訂正する。
 パスカルは、俺の謝罪を横目で見てふっと鼻で笑ったあと「わかった」と言う。またからかわれたのかもしれないと気づいた俺は地味に落ち込む。
 本来なら部屋なんてなくて他の兵士たちと同じでいいというべきなのだろうが、アルやギルにまた怒られそうなのでやめておいた。なぜ怒られるのかは未だにわからないが。

 目的地に到着した俺たちは脱衣所の扉を開ける。そこには先客のギルバードがおり、彼もお風呂に入るようで服を脱いでいるところだった。

「お前たちも風呂に入るのか」
「うん、パスカルがこっちの風呂に誘ってくれたんだ」
「その方がいい、こっちなら使うやつも限られているからな」

 俺と話しながらギルは淡々と服を脱いでいく。いつどこで見てもいい筋肉をしている。俺もさっさと入ろうと、自分の着ているワイシャツとズボンを脱いで浴場へ向かった。

「おー広いな」

 浴場は銭湯ぐらいの大きさがあった。先に体を洗うためにシャワーの前に座ると石鹸やシャンプー、ボディソープが入ったボトル、桶などが綺麗に整頓されて置かれていた。スマホのようなハイテク機器はないようだが、シャワーなんかの設備はちゃんとあるようだ。
 さっさと体を洗いパスカルと共に湯船に浸かる。

「はぁー、極楽極楽」
「五臓六腑に染みわたるぅー」
「じじいかお前らは……って一人はまじでじじいだったな」

 ギルのツッコミもお風呂の気持ちよさからか、いつものようなキレがない。前世では毎日入っていたお風呂も半月ぶりともなると気持ちよさが別格だ。
 あまりの気持ちよさに呆けていると、パスカルが俺のところへ近づいてきてセクハラしてきた。

「ぎゃ! なにすんだよ!」
「さすがは17歳お肌にハリがあって羨ましいなぁー」
「ハリって……パスカルだって体は少年なんだから変わんないだろ」
「いやいや本物はやっぱり違うぞー、なぁ、ギル」

 ギルに話を振りながらパスカルのセクハラはエスカレートしていき、俺の肌をペタペタと触ってくる。

「んっ、やめろってば」
「ふふふ、良いではないか~」

 どこの悪代官だよ!ギルも関わらないのが一番であるとわかっているようで、完全に無視している。関わりたくないのはわかるが少しぐらいは助けて欲しい。
 俺の静止の声もにかずにしつこく触り続けるパスカルだが、ある部分に手が触れてる。

「はははー、ちょっとやめろって」

 俺の反応にパスカルはいたずらっ子の顔から不服そうな顔になる。

「なんだ……乳首は感じないのかぁー、ギルとアルにしっかり感じるようにしてもらえよ」
「なに言ってんだよ、こんなとこ感じるわけないだろ女の子じゃないんだから!」
「……前から思ってたけど、サタローって鈍感だしエロの知識がほとんどないのな」

 確実に貶されていることは理解できるが、実際エロの知識がないのは事実だったので反論はしなかった……というかできなかった。

 自分がゲイであることはわかっていたしそういうこともしたいと思っていたけれど、他のクラスメイトが下ネタなんかを話していてもあんまり入っていこうとは思わなかった。そもそも、恥ずかしいしそういうのは恋人になってからするものだからその時がきたら調べればいいと思っていた。

 でも実際は恋人でもない相手と体の関係を持ってしまっているわけで、それを嫌がらずに受け入れている俺を前世の俺が見たら軽蔑するだろうな。

「ほらほら、ギルに頼んでおくのだぞ、今度はもっと気持ち良くなることしてねっ♡て」
「誰がいうか!」
「はぁー、俺は先に上がるぞ」
「痛っ!」

 ギルはため息を吐きながら湯船から立ち上がると、パスカルの頭にゲンコツを落としてからさっさと浴場を出て行ってしまった。騒ぎすぎたことを反省する俺と全く反省していないパスカルはギルが出て少し経ったあと、のぼせる前に湯から上がった。
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