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第二章 本部編
30 エリザベス王女
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俺の目の前に急に現れた金髪美少女ことエリザベス女王、よく見るとその少し後ろには、明るい茶色の髪の毛を三つ編みで二つ結びにし、丸眼鏡をかけたメイド服の女性が立っていた。よく見ると耳が少し尖っている。
メイド服を着た女性を初めて見た俺は、物珍しくて凝視してしまった。俺の視線に気づいた女性は、俺の方を見てにっこりと微笑む。
三つ編みおさげの丸眼鏡なんて地味の見本みたいな格好なのだが、メイド服や立ち振る舞いから上品さが伝わってくる。
「なによー、私よりメイドの方が好みだっていうの~」
「え?! いやそういうことでは無くて、その、えっと」
やばい、王女様のご機嫌を損ねてしまったかもしれない。女性の扱いなんて全然わからない俺は動揺し過ぎて、言葉を詰まらせる。
「ふふふ、緊張しすぎじゃない?」
「え、あの、その……すみません」
「そんな緊張しなくていいわよ! 前の時の様にフラットな感じでいいわよ」
「と、とんでもないです!王女様なんですよね!あの時は大変失礼いたしました」
俺は土下座する勢いで、前の時と今回の無礼な態度を詫びる。顔を上げた俺は、キョトンとした表情のあと少し悲しそうな顔をするエリザベス王女が目に入った。
「うーん、もっと普通でいいんだけどなぁ。私はあなたと友達になりたいのよ」
「と、友達ですか?! 俺なんてそんな友達になっても良いことないですよ」
「そんなことないわ! あなたの魔力とっても不思議よ! なぜかすごくギルの魔力に似ているもの」
魔力が似ている? 魔力って人によって違いが出るものなのだろうか、パスカルからはそんな説明は聞いていない。もしかすると王族だけに伝わる不思議な力を持っているのかもしれない。
ここで俺がアルやギルの魔力を貰うためにセックスしてもらっているなんて知られたら、気持ち悪がられるに決まっている。
自分の国を守る軍のトップの男二人にそんなことをさせている奴なんて即死刑なんてことも無きにしもあらずだ。これはなんとしてでも隠し通さねば、アルやギルの面子を保つためにも!
「たまたまじゃないですかねー、俺魔法なんて一つも使えないへっぽこですよ」
「うーん、ギルの魔力ってかなり特徴的なんだけどなー」
はぐらかす俺だが彼女はまだ俺のことを怪しがっている様だ。魔力を全く感じ取れない俺にはギルと俺が似ているなんてとても思えないのだが。
「気のせいですって、だから……ね」
「んー、ならソフィ調べてちょうだい!」
「かしこまりました……失礼しますねサタロー様」
「えっ! ちょ、ちょっと」
エリザベス王女に指名されたソフィと呼ばれるメイドは、俺の前まで歩いてくると身体を隅から隅まで観察し始めた。なんのプレイなのだろうか、恥ずかしくて顔が熱い。
気が済んだ様でソフィは俺から離れ、エリザベス王女の少し後ろまで下がる。
「どうだった?」
「お嬢様のおっしゃる通り、サタロー様に流れる魔力はギルバート様の魔力と全く同じだと思われます」
「ふふ、やっぱり! 観念するのねサタロー!」
「ぐぬぬ……でも、それがわかったところで俺と友達になることには繋がらないのでは……」
「……確かに! これは脅しにはならないわね」
脅し! 俺を脅迫して友達になるつもりだったのか! このお姫様、可愛い顔してえげつない考え方をしている。しかし、その作戦も意味がなかった様だな。
「いえ、脅しにはなるかと……」
「なぬ!」
「ソフィ、さすがだわ! やっちゃいなさい」
「では僭越ながら言わせていただきますね。サタロー様にギルバート様の魔力が流れているということは、ギルバート様がサタロー様に魔力を分け与えていることになります。つまり……ギルバート様とサタロー様は……」
口を閉ざすソフィ、焦らしているのか黙ったのかはわからない。でも、そのあとの続きをどうか言わないでくれと俺は願った。しかしエリザベス王女は、やきもきしているようでソフィに早く続きを言うよう急かした。
「何よ?早く言いなさいよ」
「……性行為を行っていることになります!」
あぁ、ジーザス! バレてしまった。しかも国王の娘である王女様に──
気持ち悪がられる、あの時みたいに……。過去のイジメが俺の脳裏にフラッシュバックする。いやそんなことは別にどうでもいい俺はいいんだ、何をされたって一人はなれているから。
でも、アルやギルに迷惑をかけることが何より嫌だった
俺は二人の反応を見ないように俯く。
「それ、本当なの……」
「えぇ、魔力がない人間が未だに存在しているとは驚きですが……昔存在していたと何かの書物で読んだことがありますし間違いないかと……」
「へー、サタローあなた……」
二人の会話が氷のように冷たく感じる。今すぐ逃げ出したい、そう思ったけど逃げ出す勇気もない。
震える身体を二人に気づかれないように、拳に力を入れて無理やり押さえ込む。
止まらない冷や汗を感じながら、エリザベス王女の言葉の続きを待った。
メイド服を着た女性を初めて見た俺は、物珍しくて凝視してしまった。俺の視線に気づいた女性は、俺の方を見てにっこりと微笑む。
三つ編みおさげの丸眼鏡なんて地味の見本みたいな格好なのだが、メイド服や立ち振る舞いから上品さが伝わってくる。
「なによー、私よりメイドの方が好みだっていうの~」
「え?! いやそういうことでは無くて、その、えっと」
やばい、王女様のご機嫌を損ねてしまったかもしれない。女性の扱いなんて全然わからない俺は動揺し過ぎて、言葉を詰まらせる。
「ふふふ、緊張しすぎじゃない?」
「え、あの、その……すみません」
「そんな緊張しなくていいわよ! 前の時の様にフラットな感じでいいわよ」
「と、とんでもないです!王女様なんですよね!あの時は大変失礼いたしました」
俺は土下座する勢いで、前の時と今回の無礼な態度を詫びる。顔を上げた俺は、キョトンとした表情のあと少し悲しそうな顔をするエリザベス王女が目に入った。
「うーん、もっと普通でいいんだけどなぁ。私はあなたと友達になりたいのよ」
「と、友達ですか?! 俺なんてそんな友達になっても良いことないですよ」
「そんなことないわ! あなたの魔力とっても不思議よ! なぜかすごくギルの魔力に似ているもの」
魔力が似ている? 魔力って人によって違いが出るものなのだろうか、パスカルからはそんな説明は聞いていない。もしかすると王族だけに伝わる不思議な力を持っているのかもしれない。
ここで俺がアルやギルの魔力を貰うためにセックスしてもらっているなんて知られたら、気持ち悪がられるに決まっている。
自分の国を守る軍のトップの男二人にそんなことをさせている奴なんて即死刑なんてことも無きにしもあらずだ。これはなんとしてでも隠し通さねば、アルやギルの面子を保つためにも!
「たまたまじゃないですかねー、俺魔法なんて一つも使えないへっぽこですよ」
「うーん、ギルの魔力ってかなり特徴的なんだけどなー」
はぐらかす俺だが彼女はまだ俺のことを怪しがっている様だ。魔力を全く感じ取れない俺にはギルと俺が似ているなんてとても思えないのだが。
「気のせいですって、だから……ね」
「んー、ならソフィ調べてちょうだい!」
「かしこまりました……失礼しますねサタロー様」
「えっ! ちょ、ちょっと」
エリザベス王女に指名されたソフィと呼ばれるメイドは、俺の前まで歩いてくると身体を隅から隅まで観察し始めた。なんのプレイなのだろうか、恥ずかしくて顔が熱い。
気が済んだ様でソフィは俺から離れ、エリザベス王女の少し後ろまで下がる。
「どうだった?」
「お嬢様のおっしゃる通り、サタロー様に流れる魔力はギルバート様の魔力と全く同じだと思われます」
「ふふ、やっぱり! 観念するのねサタロー!」
「ぐぬぬ……でも、それがわかったところで俺と友達になることには繋がらないのでは……」
「……確かに! これは脅しにはならないわね」
脅し! 俺を脅迫して友達になるつもりだったのか! このお姫様、可愛い顔してえげつない考え方をしている。しかし、その作戦も意味がなかった様だな。
「いえ、脅しにはなるかと……」
「なぬ!」
「ソフィ、さすがだわ! やっちゃいなさい」
「では僭越ながら言わせていただきますね。サタロー様にギルバート様の魔力が流れているということは、ギルバート様がサタロー様に魔力を分け与えていることになります。つまり……ギルバート様とサタロー様は……」
口を閉ざすソフィ、焦らしているのか黙ったのかはわからない。でも、そのあとの続きをどうか言わないでくれと俺は願った。しかしエリザベス王女は、やきもきしているようでソフィに早く続きを言うよう急かした。
「何よ?早く言いなさいよ」
「……性行為を行っていることになります!」
あぁ、ジーザス! バレてしまった。しかも国王の娘である王女様に──
気持ち悪がられる、あの時みたいに……。過去のイジメが俺の脳裏にフラッシュバックする。いやそんなことは別にどうでもいい俺はいいんだ、何をされたって一人はなれているから。
でも、アルやギルに迷惑をかけることが何より嫌だった
俺は二人の反応を見ないように俯く。
「それ、本当なの……」
「えぇ、魔力がない人間が未だに存在しているとは驚きですが……昔存在していたと何かの書物で読んだことがありますし間違いないかと……」
「へー、サタローあなた……」
二人の会話が氷のように冷たく感じる。今すぐ逃げ出したい、そう思ったけど逃げ出す勇気もない。
震える身体を二人に気づかれないように、拳に力を入れて無理やり押さえ込む。
止まらない冷や汗を感じながら、エリザベス王女の言葉の続きを待った。
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