異世界では総受けになりました。

西胡瓜

文字の大きさ
32 / 127
第二章 本部編

30 エリザベス王女

しおりを挟む
 俺の目の前に急に現れた金髪美少女ことエリザベス女王、よく見るとその少し後ろには、明るい茶色の髪の毛を三つ編みで二つ結びにし、丸眼鏡をかけたメイド服の女性が立っていた。よく見ると耳が少し尖っている。
 
 メイド服を着た女性を初めて見た俺は、物珍しくて凝視してしまった。俺の視線に気づいた女性は、俺の方を見てにっこりと微笑む。
 三つ編みおさげの丸眼鏡なんて地味の見本みたいな格好なのだが、メイド服や立ち振る舞いから上品さが伝わってくる。

「なによー、私よりメイドの方が好みだっていうの~」

「え?! いやそういうことでは無くて、その、えっと」

 やばい、王女様のご機嫌を損ねてしまったかもしれない。女性の扱いなんて全然わからない俺は動揺し過ぎて、言葉を詰まらせる。

「ふふふ、緊張しすぎじゃない?」

「え、あの、その……すみません」

「そんな緊張しなくていいわよ! 前の時の様にフラットな感じでいいわよ」

「と、とんでもないです!王女様なんですよね!あの時は大変失礼いたしました」

 俺は土下座する勢いで、前の時と今回の無礼な態度を詫びる。顔を上げた俺は、キョトンとした表情のあと少し悲しそうな顔をするエリザベス王女が目に入った。

「うーん、もっと普通でいいんだけどなぁ。私はあなたと友達になりたいのよ」

「と、友達ですか?! 俺なんてそんな友達になっても良いことないですよ」

「そんなことないわ! あなたの魔力とっても不思議よ! なぜかすごくギルの魔力に似ているもの」

 魔力が似ている? 魔力って人によって違いが出るものなのだろうか、パスカルからはそんな説明は聞いていない。もしかすると王族だけに伝わる不思議な力を持っているのかもしれない。
 ここで俺がアルやギルの魔力を貰うためにセックスしてもらっているなんて知られたら、気持ち悪がられるに決まっている。

 自分の国を守る軍のトップの男二人にそんなことをさせている奴なんて即死刑なんてことも無きにしもあらずだ。これはなんとしてでも隠し通さねば、アルやギルの面子を保つためにも!

「たまたまじゃないですかねー、俺魔法なんて一つも使えないへっぽこですよ」

「うーん、ギルの魔力ってかなり特徴的なんだけどなー」

 はぐらかす俺だが彼女はまだ俺のことを怪しがっている様だ。魔力を全く感じ取れない俺にはギルと俺が似ているなんてとても思えないのだが。

「気のせいですって、だから……ね」

「んー、ならソフィ調べてちょうだい!」

「かしこまりました……失礼しますねサタロー様」

「えっ! ちょ、ちょっと」

 エリザベス王女に指名されたソフィと呼ばれるメイドは、俺の前まで歩いてくると身体を隅から隅まで観察し始めた。なんのプレイなのだろうか、恥ずかしくて顔が熱い。
 
 気が済んだ様でソフィは俺から離れ、エリザベス王女の少し後ろまで下がる。

「どうだった?」

「お嬢様のおっしゃる通り、サタロー様に流れる魔力はギルバート様の魔力と全く同じだと思われます」

「ふふ、やっぱり! 観念するのねサタロー!」

「ぐぬぬ……でも、それがわかったところで俺と友達になることには繋がらないのでは……」

「……確かに! これは脅しにはならないわね」

 脅し! 俺を脅迫して友達になるつもりだったのか! このお姫様、可愛い顔してえげつない考え方をしている。しかし、その作戦も意味がなかった様だな。

「いえ、脅しにはなるかと……」

「なぬ!」

「ソフィ、さすがだわ! やっちゃいなさい」

「では僭越せんえつながら言わせていただきますね。サタロー様にギルバート様の魔力が流れているということは、ギルバート様がサタロー様に魔力を分け与えていることになります。つまり……ギルバート様とサタロー様は……」

 口を閉ざすソフィ、焦らしているのか黙ったのかはわからない。でも、そのあとの続きをどうか言わないでくれと俺は願った。しかしエリザベス王女は、やきもきしているようでソフィに早く続きを言うよう急かした。

「何よ?早く言いなさいよ」

「……性行為を行っていることになります!」

 あぁ、ジーザス! バレてしまった。しかも国王の娘である王女様に──
 気持ち悪がられる、あの時みたいに……。過去のイジメが俺の脳裏にフラッシュバックする。いやそんなことは別にどうでもいい俺はいいんだ、何をされたって一人はなれているから。
 でも、アルやギルに迷惑をかけることが何より嫌だった

 俺は二人の反応を見ないように俯く。

「それ、本当なの……」

「えぇ、魔力がない人間が未だに存在しているとは驚きですが……昔存在していたと何かの書物で読んだことがありますし間違いないかと……」

「へー、サタローあなた……」

 二人の会話が氷のように冷たく感じる。今すぐ逃げ出したい、そう思ったけど逃げ出す勇気もない。
 震える身体を二人に気づかれないように、拳に力を入れて無理やり押さえ込む。

 止まらない冷や汗を感じながら、エリザベス王女の言葉の続きを待った。










しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

クールな義兄の愛が重すぎる ~有能なおにいさまに次期当主の座を譲ったら、求婚されてしまいました~

槿 資紀
BL
イェント公爵令息のリエル・シャイデンは、生まれたときから虚弱体質を抱えていた。 公爵家の当主を継ぐ日まで生きていられるか分からないと、どの医師も口を揃えて言うほどだった。 そのため、リエルの代わりに当主を継ぐべく、分家筋から養子をとることになった。そうしてリエルの前に表れたのがアウレールだった。 アウレールはリエルに献身的に寄り添い、懸命の看病にあたった。 その甲斐あって、リエルは奇跡の回復を果たした。 そして、リエルは、誰よりも自分の生存を諦めなかった義兄の虜になった。 義兄は容姿も能力も完全無欠で、公爵家の次期当主として文句のつけようがない逸材だった。 そんな義兄に憧れ、その後を追って、難関の王立学院に合格を果たしたリエルだったが、入学直前のある日、現公爵の父に「跡継ぎをアウレールからお前に戻す」と告げられ――――。 完璧な義兄×虚弱受け すれ違いラブロマンス

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

異世界で高級男娼になりました

BL
ある日突然異世界に落ちてしまった高野暁斗が、その容姿と豪運(?)を活かして高級男娼として生きる毎日の記録です。 露骨な性描写ばかりなのでご注意ください。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

処理中です...