異世界では総受けになりました。

西胡瓜

文字の大きさ
34 / 127
第二章 本部編

32 ズレた回答

しおりを挟む
「なるほどねー、魔力を、もらうためだったわけか」

「そう、だから決して変態ではないから!」

「でも、納得したわサタローからギルの魔力を感じるわけ……」

 俺が自分の身体のことをリズとソフィさんに話すと、二人は驚きながらも案外簡単に納得してくれた。

「それにしても、厄介な身体ね……ふふふ」

「そうですねお嬢様……ふふ」

 ──ふふふ?
 リズとソフィさんは俺の方を心配や同情の顔で見るのではなく、ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべている。まるで初めてパスカルに会った時と同じ面白いものでも見つけたかのような表情だ。
 その笑みを崩すことなくリズが俺に話しかける。

「じゃあサタローは総受けなのね」

「そ、総受け?」

「バリネコってことよ」

 バリ、ネコ? 初めて聞く言葉だ。
 犬派か猫派かってことだろうか。つまりとっても猫好きってことか! なぜ急にそんなことを言い出すのかわからないが、俺は特に犬も猫も同じぐらいに好きだ。

「俺、犬も猫も好きだけど……」

 俺は少々照れながらリズの言葉を否定する。するとリズは飲んでいた紅茶を吹き出して、ソフィさんは顔を背けて肩を震わせた。二人の反応に俺の脳は、はてなでいっぱいになる。

「……なんなのこのピュアピュアボーイは」

「はぁ……教え甲斐があっていいじゃないですか」

 二人は俺に聞こえない声でヒソヒソと何かを話している。俺何か変なこと言っただろうか?二人の反応に違和感を感じながらもその原因がわからずに首を捻る。

 二人はひとしきり話を終えるとひとつ咳払いをして、真面目な顔で俺にさっきの言葉の意味を説明し始めた。

「ネコっていうのは受けってことよ、つまり入れられる側ってこと」

「いれ、られ…る……はっ!」

 リズの説明で言葉の意味を理解した俺は、先ほどの返答がとんでもなく的外れでアホなことに気が付きどうしよもない羞恥心に襲われ顔を手で覆う。パスカルにも言われたけど俺のエロ知識は乏しすぎるのだろうか。自分より一つ年下少女に教えてもらうなんて恥ずかしすぎる。

 そんな俺の反応を見て、リズは俺を励ますかのように言葉をかける。

「まぁまぁ、知らなくてもいいのよ別に一般常識じゃないから。そんなことよりもアルとギルとしたんでしょ、どうだったのよ」

「ど、どうって?」

「そりゃ、どっちがよかったか、とか?」

「どっちがって、どっちもよかったですけど……」

「ぐはぁ」

「ソ、ソフィさん!?」

 ずっと頬を赤らめなが俺たちの話を聞いていたソフィさんが、何かに撃たれたように苦しそうに胸と口を押さえながらよろめく。よく見ると鼻から血を流していた。
 俺は慌ててソフィさんを心配して声を掛けるがリズはあっけらかんとした様子で話を続けた。

「でも、最近はギルとばかりしてたから、アルが恋しくなったんじゃない?ほらさっき裏庭でアル早く帰って来ないかなって言ってたじゃない」

「そ、それは……」

 別に恋しくて言ったわけではなく俺にも手伝えることが何かないか聞きたかったし、なによりギルがすごく疲れているようなので、アルが帰ってくれば少しは楽になるかもと思ったからだ。
 このことをいうべきか迷ったが、アルは第二王子の護衛で本部を離れているとパスカルから聞いている。妹のリズだったら何かいい提案をしてくれるかもと思い相談することにした。

「実はギルがすごく疲れているみたいで、昨日の夜も最中に寝落ちしちゃったし、朝もすごく早くに起きてて……だからアルが帰ってくれば少しは負担が減るかもと思って」

「なるほど、つまり……欲求不満ってわけね」

「!? 違う、違うって! 俺の話聞いてた?!」

 俺が深刻な話をしてるというのに全然違う解釈をするリズに全力で否定をする。俺の反応に彼女は笑いながら「冗談よ、冗談」と軽くあしらっている。そんなリズの対応に恨めしい顔でリズの方を見る。すると冗談を言ったリズは急に何かを悟ったような遠い目した。

「まぁ、あのバカ兄貴のせいでギルもアルも苦労してるからね~」

「バカ兄貴?」

 もしかして第二王子のことを言っているのだろうか。すごく嫌そうな顔で話を続ける。

「あいつがアルを連れ回すのはいつものことよ」

「ど、どうして?」

「嫌がらせっていうか……憂さ晴らし?」

「嫌ってるのかあのアルを?!」

 アルフレッドという男は誰に対しても分け隔てなく接し、男女問わず人気が高そうに見える。そんな男を嫌い、嫌がらせをするとは第二王子って相当嫌なやつなのだろうか。アルのことが心配になる。

「違うわよ、未練タラタラだからアルに嫌がらせの任務を急に入れて憂さ晴らししてんのよ。ただのとばっちりなんだけどね。アルも苦労してるわねー」

「??? どういうことだよ」

「まぁこれは、いつかわかるわよ。あまり関わらない方がいいし」

 全く話が掴めない俺だが、リズも話す気がないようなのでとりあえずこの話は置いておくことにした。すごく気にはなるがアルが嫌われているわけではないことに少しホッとした。

「あ、あとうちのバカ兄貴の方には絶対近づかない方がいいわよ! あいつサタローみたいな可愛い系男子大好きの変態だから」

「……俺別に可愛くないと思うけど」

 リズの全力の忠告に引き気味に答える。
 身長もそこそこの17歳の平凡男を可愛いは少しキツすぎる気がする。みんな俺に気をつけろとか言うけど過大評価しすぎなんだよな。

「サタローは自分を過小評価しすぎね……まぁいいわとりあえず第二王子のエドガー兄さんには近づかないこと!」

「は、はい」

 リズは何かをブツブツと言った後、もう一度俺に第二王子のエドガー様に会うなと忠告した。そもそも顔もわからないのに会うなと言われても困る。それに城に出入りするなんてことないだろうから早々出会うこともないだろう。


しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜

隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。 目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。 同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります! 俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ! 重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ) 注意: 残酷な描写あり 表紙は力不足な自作イラスト 誤字脱字が多いです! お気に入り・感想ありがとうございます。 皆さんありがとうございました! BLランキング1位(2021/8/1 20:02) HOTランキング15位(2021/8/1 20:02) 他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00) ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。 いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...