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第四章 魔法学校編
93 依頼
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建国祭が無事? 終わり、また平凡な日常が戻ってきた。昨日は二日酔いで研究所に顔を出さなかったのだが、もう体調も良くなった俺は、今日も今日とても研究所でロキとラケルさんの手伝いをし、いつものティータイムもといお喋りタイムになった。話ばっかりしているなと思うかもしれないが、一応働いてはいる。多少休憩時間が多いかもしれないがそこはご愛嬌だ。
「建国祭楽しかったですね!」
「ラケルさんはロキと王都を回ったんですよね」
「はい! 美味しいものも食べれてとても楽しかったですね! ロキくん」
「お、おう……」
ラケルさんの満面の笑に対してなぜか浮かない顔をしているロキ。デートは上手くいかなかったのだろうか? と、思ったのだがラケルさんのこの笑顔を見ると失敗というわけでもないはずだ。
「どうしたんだロキ? 体調でも悪いのか?」
「そんなことないですよね? ねぇロキくん?」
「あ、あぁ! た、たのしかったぞ……ははっ」
笑顔を向けるラケルさんの顔を見て更に顔を青ざめたように思えた。流石に気のせいだと思うが、笑顔も引きつっているような気がする。何か進展があったのだろうか? あまり聴きすぎるのも野暮なので、そっとしておくことにした。後にロキに何があったのか聞くことになったのだが、それはそれはびっくりするような事件が起きていたのはまた別の話だったりする。違和感を覚えながら、二人を見ているとラケルさんが笑顔でコチラを見ながら質問してきた。
「で、サタローくんはどうでしたか? 誰かと王都を回るようでしたけど」
「お、俺? うん、アルと回ったんだけどすごく楽しかったよ」
「オマエ、アルフレッド団長と回ったのかよ。贅沢だな」
「楽しめたのならよかったです」
こんな感じでたわいもないゆる~い会話を楽しんでいると研究室の扉が勢いよく開いた。
「あっ、パスカル」
そこにいたのは緑の髪に長い耳が特徴的なエルフの少年パスカルだった。一応この研究所の所長であるのだが、たまに顔を見せる程度でいつも忙しそうにしている。
建国祭でもあまり会うことが無かったが、俺が異世界人であることを知る数少ない人物の一人である。いつもはあどけない顔をしながらも俺のことを揶揄ってくる少年だが、今日はなんだか焦っているような表情で研究室へ入ってきた。
「ちょっと来い」
「えっ、おいパスカル! なんだよ急に」
パスカルは座っている俺の腕を掴むと勢いよく引っ張り研究所を出た。何処かへ向かっているようだが何も話してくれないパスカルに俺は一度足を止める。
「ちょっと、どこ連れてくかぐらい言えよ」
「むっ、この阿呆が! リズの婚約者のフリなんかしよって!」
パスカルは今まで見たことがない怒りを露わにした表情で声を荒げてそう言った。軍のもの達に話が知れ渡っているのだからパスカルの耳に入らない訳がない。とは言え、他の人たちは笑って聞き過ごしていたのに、なぜパスカルだけは怒っているのかが分からない。確かに今になると余計なことに手を貸してしまったと思う。しかし、頼まれると断れない性格の俺はもう一度同じ状況になったとしてもリズの頼みを聞いてしまう自信があったので、もう諦めている。
「しょうがないだろ……断れなかったんだから。それにみんなどうせリズから無理やり頼まれたって笑ってたぞ?」
「そりゃ、リズのことをよく知っているものなら冗談だと笑ってやり過ごすが、国外の者はそうはいかんだろうが! あの男は誰かと王族や貴族の間で噂になっているのだぞ!」
「……………まじか!?」
パスカルの焦っている姿を見て、やはり良くないことをしてしまったと改めて自覚した。リズは大丈夫とか言っていたがやはり全然大丈夫じゃないらしい。俺どうなるのかな……ど平民で魔法の使えないポンコク男が美しい王女の婚約者だったなんて知れたら、ボコボコにされて亡き者にされるのかも知れない。想像力の豊かさだけは誰よりもある俺は、そんな最悪の想像を容易にしてしまうのだ。急に怖くなった俺はパスカルに縋り付く。
「ど、ど、どうしよう!? 俺、リンチにされて殺されちゃうのかなぁ?!」
「はぁ? なんでそうなるんだ……何を勘違いしている」
俺の情けない姿にかなりドン引きしながらパスカルがそう言った。
「えっ? 俺殺されない?」
勘違いと言う言葉に少し安心した俺。どうやらリンチにされることはないらしい。
「お前はリズの計画に上手いことのせられたんだよ。そのおかげでお前に任務の依頼が来ている」
「……ん? どう言うこと?」
「はぁ、とにかく着いてこい」
パスカルの言っている意味が全く理解できない俺は、首を傾げる。パスカルは大きくため息を吐きながら、俺を自身の身体から引き離すとまた何処かへ向かって歩き始めたので俺は彼の後を追った。
「建国祭楽しかったですね!」
「ラケルさんはロキと王都を回ったんですよね」
「はい! 美味しいものも食べれてとても楽しかったですね! ロキくん」
「お、おう……」
ラケルさんの満面の笑に対してなぜか浮かない顔をしているロキ。デートは上手くいかなかったのだろうか? と、思ったのだがラケルさんのこの笑顔を見ると失敗というわけでもないはずだ。
「どうしたんだロキ? 体調でも悪いのか?」
「そんなことないですよね? ねぇロキくん?」
「あ、あぁ! た、たのしかったぞ……ははっ」
笑顔を向けるラケルさんの顔を見て更に顔を青ざめたように思えた。流石に気のせいだと思うが、笑顔も引きつっているような気がする。何か進展があったのだろうか? あまり聴きすぎるのも野暮なので、そっとしておくことにした。後にロキに何があったのか聞くことになったのだが、それはそれはびっくりするような事件が起きていたのはまた別の話だったりする。違和感を覚えながら、二人を見ているとラケルさんが笑顔でコチラを見ながら質問してきた。
「で、サタローくんはどうでしたか? 誰かと王都を回るようでしたけど」
「お、俺? うん、アルと回ったんだけどすごく楽しかったよ」
「オマエ、アルフレッド団長と回ったのかよ。贅沢だな」
「楽しめたのならよかったです」
こんな感じでたわいもないゆる~い会話を楽しんでいると研究室の扉が勢いよく開いた。
「あっ、パスカル」
そこにいたのは緑の髪に長い耳が特徴的なエルフの少年パスカルだった。一応この研究所の所長であるのだが、たまに顔を見せる程度でいつも忙しそうにしている。
建国祭でもあまり会うことが無かったが、俺が異世界人であることを知る数少ない人物の一人である。いつもはあどけない顔をしながらも俺のことを揶揄ってくる少年だが、今日はなんだか焦っているような表情で研究室へ入ってきた。
「ちょっと来い」
「えっ、おいパスカル! なんだよ急に」
パスカルは座っている俺の腕を掴むと勢いよく引っ張り研究所を出た。何処かへ向かっているようだが何も話してくれないパスカルに俺は一度足を止める。
「ちょっと、どこ連れてくかぐらい言えよ」
「むっ、この阿呆が! リズの婚約者のフリなんかしよって!」
パスカルは今まで見たことがない怒りを露わにした表情で声を荒げてそう言った。軍のもの達に話が知れ渡っているのだからパスカルの耳に入らない訳がない。とは言え、他の人たちは笑って聞き過ごしていたのに、なぜパスカルだけは怒っているのかが分からない。確かに今になると余計なことに手を貸してしまったと思う。しかし、頼まれると断れない性格の俺はもう一度同じ状況になったとしてもリズの頼みを聞いてしまう自信があったので、もう諦めている。
「しょうがないだろ……断れなかったんだから。それにみんなどうせリズから無理やり頼まれたって笑ってたぞ?」
「そりゃ、リズのことをよく知っているものなら冗談だと笑ってやり過ごすが、国外の者はそうはいかんだろうが! あの男は誰かと王族や貴族の間で噂になっているのだぞ!」
「……………まじか!?」
パスカルの焦っている姿を見て、やはり良くないことをしてしまったと改めて自覚した。リズは大丈夫とか言っていたがやはり全然大丈夫じゃないらしい。俺どうなるのかな……ど平民で魔法の使えないポンコク男が美しい王女の婚約者だったなんて知れたら、ボコボコにされて亡き者にされるのかも知れない。想像力の豊かさだけは誰よりもある俺は、そんな最悪の想像を容易にしてしまうのだ。急に怖くなった俺はパスカルに縋り付く。
「ど、ど、どうしよう!? 俺、リンチにされて殺されちゃうのかなぁ?!」
「はぁ? なんでそうなるんだ……何を勘違いしている」
俺の情けない姿にかなりドン引きしながらパスカルがそう言った。
「えっ? 俺殺されない?」
勘違いと言う言葉に少し安心した俺。どうやらリンチにされることはないらしい。
「お前はリズの計画に上手いことのせられたんだよ。そのおかげでお前に任務の依頼が来ている」
「……ん? どう言うこと?」
「はぁ、とにかく着いてこい」
パスカルの言っている意味が全く理解できない俺は、首を傾げる。パスカルは大きくため息を吐きながら、俺を自身の身体から引き離すとまた何処かへ向かって歩き始めたので俺は彼の後を追った。
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