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「ははー!だーきーー!!」
「母もみーちゃん、大好き!愛している!!」
「あいてるー」
癒される。
あー、疲れた体に愛娘の大好きは、脳汁がやばいほど出るわ。
良太が姿を消して2年。
家にスマホも財布も全部置いてある状態で、良太だけ姿を消した。
一応、警察に失踪届は出してある。
が、なにぶん成人した大人の男だ。
何か理由があって出て行って、そして帰ってこないのだろう。
イケメン旦那を殺したんじゃないかって良太の会社では噂になったらしいが、どうやって産んですぐの満身創痍の状態で仕留められるのか教えてほしい。
あの日、産んだ女の子は美華と名付けた。
良太と二人で考えた名前もあったが、いないしね。
そして、これは私の可愛い娘だ。だから私と同じ名前を付けた。
良太のイケメン要素を多分に持って行った美華は、それは歩けばゴ○ブリほいほいのごとく老若男女とわず魅了している。
一番、魅了されているのは私だけどね!
「みーちゃんももうすぐ3歳だね。来年は幼稚園かー」
「ようちえんかー」
「幼稚園楽しみ?」
「しみー」
「オウムかな?」
「みーちゃんだよ」
あー!やばい!可愛い!!
「みーちゃん、幼稚園だもんね。そろそろ、ちゃんとしないといけないよね~」
娘の髪をなでると、さらさらと細い髪が心地よく指を流れる。
良太と同じ髪の色。
良太と同じ高い鼻。
ぽってりとした唇は、私の唯一のチャームポイントといってもいいので、多分私。
大丈夫。
すごい悲しくて、死にたい。消えちゃいたいって一瞬思ったのは事実だけど、それ以上にこんなに尊い存在を私に与えてくれた事に今は感謝している。
絶望も痛みもすべて良太がくれたけど、それ以上に幸福も喜びも貰った。
それに、私には美華が居るから。
大丈夫。生きていける。
いつの間にか腕の中で眠ってしまっている娘にそっとキスをする。
失踪届が取り消された事に気付いたのは、産後落ち着いて美華が6か月になるかどうかの頃だった。
良太のお母さんは、良太の居場所を知っていた。
「ごめんなさいね。ちょっと、時間が欲しいの」
そう必死に頭を下げるお母さんに、何も言えなかった。
なんで?どうして?言葉はたくさん胸にあったけど、実際に口から出たのは、
「わかりました」だけだった。
私の中でも、良太はもう戻ってこない。そんな予感があった。
美華の写真を良太に渡すようにお願いすると、お母さんは泣き崩れていた。
1歳の美華の誕生日に届いたのは、良太の名前が記入された離婚届だった。
美華の3歳の誕生日は豪華にレストランを予約して、うちの両親と良太の両親も呼んでパーティーをした。
その日、美華と一緒に離婚届を提出して、私たちは本当の新しいスタートを切った。
「好きだ」とか、「嫌いだ」とか。
「愛している」とか、「運命」だとか。
それらは私にとって、漫画やテレビの中の話でフィクションの話だった。
でも、今ならちょっとわかる。
こんなに愛しい存在が居る事が、まるで奇跡のようで。
彼はいつも私を女神と言っていたけど、私からすると彼の方が神様だ。
こんな天使を私におくってくれたのだから。
「母もみーちゃん、大好き!愛している!!」
「あいてるー」
癒される。
あー、疲れた体に愛娘の大好きは、脳汁がやばいほど出るわ。
良太が姿を消して2年。
家にスマホも財布も全部置いてある状態で、良太だけ姿を消した。
一応、警察に失踪届は出してある。
が、なにぶん成人した大人の男だ。
何か理由があって出て行って、そして帰ってこないのだろう。
イケメン旦那を殺したんじゃないかって良太の会社では噂になったらしいが、どうやって産んですぐの満身創痍の状態で仕留められるのか教えてほしい。
あの日、産んだ女の子は美華と名付けた。
良太と二人で考えた名前もあったが、いないしね。
そして、これは私の可愛い娘だ。だから私と同じ名前を付けた。
良太のイケメン要素を多分に持って行った美華は、それは歩けばゴ○ブリほいほいのごとく老若男女とわず魅了している。
一番、魅了されているのは私だけどね!
「みーちゃんももうすぐ3歳だね。来年は幼稚園かー」
「ようちえんかー」
「幼稚園楽しみ?」
「しみー」
「オウムかな?」
「みーちゃんだよ」
あー!やばい!可愛い!!
「みーちゃん、幼稚園だもんね。そろそろ、ちゃんとしないといけないよね~」
娘の髪をなでると、さらさらと細い髪が心地よく指を流れる。
良太と同じ髪の色。
良太と同じ高い鼻。
ぽってりとした唇は、私の唯一のチャームポイントといってもいいので、多分私。
大丈夫。
すごい悲しくて、死にたい。消えちゃいたいって一瞬思ったのは事実だけど、それ以上にこんなに尊い存在を私に与えてくれた事に今は感謝している。
絶望も痛みもすべて良太がくれたけど、それ以上に幸福も喜びも貰った。
それに、私には美華が居るから。
大丈夫。生きていける。
いつの間にか腕の中で眠ってしまっている娘にそっとキスをする。
失踪届が取り消された事に気付いたのは、産後落ち着いて美華が6か月になるかどうかの頃だった。
良太のお母さんは、良太の居場所を知っていた。
「ごめんなさいね。ちょっと、時間が欲しいの」
そう必死に頭を下げるお母さんに、何も言えなかった。
なんで?どうして?言葉はたくさん胸にあったけど、実際に口から出たのは、
「わかりました」だけだった。
私の中でも、良太はもう戻ってこない。そんな予感があった。
美華の写真を良太に渡すようにお願いすると、お母さんは泣き崩れていた。
1歳の美華の誕生日に届いたのは、良太の名前が記入された離婚届だった。
美華の3歳の誕生日は豪華にレストランを予約して、うちの両親と良太の両親も呼んでパーティーをした。
その日、美華と一緒に離婚届を提出して、私たちは本当の新しいスタートを切った。
「好きだ」とか、「嫌いだ」とか。
「愛している」とか、「運命」だとか。
それらは私にとって、漫画やテレビの中の話でフィクションの話だった。
でも、今ならちょっとわかる。
こんなに愛しい存在が居る事が、まるで奇跡のようで。
彼はいつも私を女神と言っていたけど、私からすると彼の方が神様だ。
こんな天使を私におくってくれたのだから。
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