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「いってきまーす」
愛しそうにお腹にキスをすると、良太は頬に優しくキスをした。
一緒に住むようになってから、毎日の習慣だ。
体の関係を持ってからは、まあ、お互い大人なので。そういう事が多くなり。
そうなると、まあ、そうなりまして。
現在、私は産休中です。
赤ちゃんが出来た事に動揺した私に、「これでずっと一緒だね。やっと結婚出来る!」なんて涙を流して良太は喜んだ。
そして、うちの両親も。
密かに、娘は若い男に騙されているんじゃないか。それとも男を金で買っているのかなんて失礼な事を考えていた父親は、良太と肩を組み男泣きしていた。
良太の両親も、こんな年上の対した容姿ではない私が来たらさぞや気分を害するだろうなと思っていたのだが、ものすごいウエルカム状態で。
とんとん拍子に入籍を済ませ、お腹が大きくなる前に親族のみで結婚式を挙げる事が出来た。
良太は披露宴をやりたがったのだが。
なにぶんイケメンなので、いまだ良太を諦めていない元カノや会社の同僚など、結婚式の準備以上に大変な思いをしそうなので却下した。
私の方も、良太の顔を見た同僚がやたら紹介するように話しかけてきたり、実は資産家で金持ちだからイケメンを捕まえられたとか、弱みを握っているとか、実は人間じゃないとか。
散々な事を言われている。
「麗華が人間じゃないは当たってるかも」
「はぁ?」
「だって、天使でしょ。いや、女神か。それでいまお腹に天使がいるんだもんね」
これ、平常運転ですから。
だから、こんな日がずっと、ずっーと続くなんて、馬鹿な私はそう信じてしまっていた。
「好きだ」とか、「嫌いだ」とか。
「愛している」とか、「運命」だとか。
それらは私にとって、漫画やテレビの中の話でフィクションの話だ。
そう思って、自分の心を守ってきたのに。
立ち合い出産を希望した良太に、私はどんな姿になるか分からなかったから断固拒否した。
よく、産んだ後に女として見れない。
なんて聞いて少し不安になってしまった。
綺麗に身支度を整えて、生まれた我が子を見た良太はちょっと戸惑っているようだった。
何かをぼそっと呟くと、良太はふらふらと病室を出ていった。
その日から、良太は私の前から姿を消した。
愛しそうにお腹にキスをすると、良太は頬に優しくキスをした。
一緒に住むようになってから、毎日の習慣だ。
体の関係を持ってからは、まあ、お互い大人なので。そういう事が多くなり。
そうなると、まあ、そうなりまして。
現在、私は産休中です。
赤ちゃんが出来た事に動揺した私に、「これでずっと一緒だね。やっと結婚出来る!」なんて涙を流して良太は喜んだ。
そして、うちの両親も。
密かに、娘は若い男に騙されているんじゃないか。それとも男を金で買っているのかなんて失礼な事を考えていた父親は、良太と肩を組み男泣きしていた。
良太の両親も、こんな年上の対した容姿ではない私が来たらさぞや気分を害するだろうなと思っていたのだが、ものすごいウエルカム状態で。
とんとん拍子に入籍を済ませ、お腹が大きくなる前に親族のみで結婚式を挙げる事が出来た。
良太は披露宴をやりたがったのだが。
なにぶんイケメンなので、いまだ良太を諦めていない元カノや会社の同僚など、結婚式の準備以上に大変な思いをしそうなので却下した。
私の方も、良太の顔を見た同僚がやたら紹介するように話しかけてきたり、実は資産家で金持ちだからイケメンを捕まえられたとか、弱みを握っているとか、実は人間じゃないとか。
散々な事を言われている。
「麗華が人間じゃないは当たってるかも」
「はぁ?」
「だって、天使でしょ。いや、女神か。それでいまお腹に天使がいるんだもんね」
これ、平常運転ですから。
だから、こんな日がずっと、ずっーと続くなんて、馬鹿な私はそう信じてしまっていた。
「好きだ」とか、「嫌いだ」とか。
「愛している」とか、「運命」だとか。
それらは私にとって、漫画やテレビの中の話でフィクションの話だ。
そう思って、自分の心を守ってきたのに。
立ち合い出産を希望した良太に、私はどんな姿になるか分からなかったから断固拒否した。
よく、産んだ後に女として見れない。
なんて聞いて少し不安になってしまった。
綺麗に身支度を整えて、生まれた我が子を見た良太はちょっと戸惑っているようだった。
何かをぼそっと呟くと、良太はふらふらと病室を出ていった。
その日から、良太は私の前から姿を消した。
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