どうも異世界で超能力者になりました

第一章

第1話 異世界に来ちゃった

賑やかな人の声、青い空、馬車が目の前を通りすぎていく…。
「え…？」
俺は唖然とした。
ちょっと待ってくれ、一旦落ち着こう。俺は昨日布団に入って寝た。んでなんかトイレに行きたくなって起きて、用を足した。で、自室に向かうために寝ぼけた目を無理やりこじ開けたらここにいた。

「なっなんじゃこりゃあああああ！？」

俺…不破 幸助は絶叫した。

～～～～～～～～～

一斉に街の人がこちらを向く…が、そんなことは関係ない。

（なんだコレ、なんだコレ、なんだコレ、なんだコレ、なんだコレ！？夢！？あぁそうだよな夢だよな。きっと記憶にないだけでちゃんと布団に入ったんだな。あぁービックリした…）

と安堵した次の瞬間…

「おい、兄ちゃん。お前さん見ねぇツラだな？どっから来たんだ？」

身長2mあるんじゃないかってくらいの強面のおっさんに絡まれた。

「え…あぁ…えっとぉ」

突然のことに俺は焦る。夢の中とは言え、どこから来たんだと言われると返答に困る。

「まぁ、んな事いいや。」

…と、ホッとしたのもつかの間。

「お前さん旅人だろう？ってことは金、持ってるよなぁ？」

…夢の中とはいえ、迫力あるなこのおっさん。まぁ夢って気づいたからなんも焦ることないけど。

ーーピッ

「金、くれや」

そういって、俺の頬にナイフが突きつけられていた。

「なっ…！？」

（ちょっと待て。いくらなんでもリアルすぎやしないか？痛みなんて夢じゃ普通感じないだろ！？）

そして先程から意識がハッキリしていることが、俺の中で一つの結論に至った。

ーーこれは夢じゃない。現実だーー

「オラァ、はやく出せよぉ」

いつのまにか周りは静かになっており誰もがこちらを固唾を飲んで見ている。恐らく助けを求めるのは無理だろう。

（どうする…？これは夢じゃない。って事はマジでこの状況はヤバイ…。）

「はやく出しなよぉ。痛い目みても知らないぜぇ？」

ーーそして俺は一つの行動に出る。

「すんません。持ってないです。勘弁してください。」

俺はヘタレだった。すぐさま、命乞いをして、日本が持つ宝刀「DO・GE・ZA」を使ったのだ。

「嘘こいてんじゃねぇぞオラァァアア！？！？」

おっさんは相当、お怒りになられた。ナイフを持った腕がこちらに迫ってくる！

「だぁああ！！本当に持ってないんだよ！！くそがぁぁぁ！！」

俺は半ばヤケクソ気味になりながらもある漫画で知った護身術を使った。

ーナイフをギリギリでかわし（また、ちょっと掠めた。痛い。）その腕をつかんで素早く180度捻り、肘に思いっきり拳を叩き込む！ー

ーーメリィィイッッ

何かが砕けた音が静かなった空に響き渡る。そして…

「い…痛ッてぇぇぇえええ！！！？」

おっさんは腕を抑えてその場に座り込んだ。

（あ、あっぶねぇ…ってかコレ本当に有効なんだな…）

俺はこの技の実用性に驚きながらも、次の台詞を言う。

「こっちが大人しく持ってないって言ってんのに、手を出したんだ。このくらいですんでありがたいと思え。それとも…まだ来るか？」

我ながら、よくもまぁ先程の態度からこんな台詞を言えるものだと思う。狙ってやったかのようだが実際はただのまぐれである。だが腕を折られたことが効いたらしい。先程までの威勢のよさはなく、

「ま、まってくれ！お、お、俺が悪かった！だから頼む！見逃してくれぇ！」

「あぁ、見逃してやる。だからとっととどっかにいけ。」

そして、男は「ヒィィイ」と情けない声を出しながらどこかへ走っていった。

男がどこかへ走り去った後、暫く静かだった空間にワァアアア！と歓声が上がる。

「すげぇなあんた！あいつとんでもなく強いし魔法耐性も持ってんのによぉ！」
「あの腕を折った技！あれすごいぜ！見たことねぇよ！あんたこの街のギルドにこねぇか！？」
「ありがとうよ！これであいつも懲りただろう！」

ワァワァと盛り上がる中で…俺は完全に確信した。

本当に異世界にきちまった…と。