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番外編シリーズ
番外編セレスティン=ジルバーナ「8」
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「はぁ…眠い……。」
翌日。私は朝早くから街に食糧の買い物に来ていた。早い時間でないと人だかりができてしまうからだ。
<英雄の右手>であるお婆さんの元で修行したことで、人に注目されるのはある程度慣れたが、苦手なものは苦手である。
だからさっさと買い物を済ませようと思ったのだが…
「あ、セレス様だ!セレス様がこられたぞ!」
偶然、私に気づいた若者ががそう叫んだ直後……
「どこだ!どこにいるんだ!?」
「本当!?本物のセレス様が!?」
「あぁ、なんと麗しい…!」
……案の定、一瞬で人だかりが出来てしまった。
こうならないよう早くから買い物に来たのに……。
「あの…私、買い物をしたいのですが…
「いや~本物のセレス様に会えるとは思いませんでした!」「私、感動して涙が…」「ささ、セレス様どうぞどうぞ!」
「………」
結局、買い物もできぬまま街の人たちに囲まれ解放された頃にはもう昼近くになってしまったのだった…。
~~~~~
「はぁ…疲れたわ……。」
街の人たちからやっと解放された私は買い物を済ませ、家へ帰ろうとしていた。
「午後から草原へ行こうかしら…。あそこなら静かだし…。」
そんな事を考える。それもしかしたら昨日のあの男の人がいるかもしれないし……
「ッ!?~~~~ッ!」
突然、頭のなかに昨日のあの男が出てくる。そこまで気にすることでもないはずなのだが妙に恥ずかしくなってしまう。
ーーーーーーふと。
「あら…?なんの騒ぎかしら…?」
街の広場ーーかつて私が魔法の才能に開花した場所ーーに、人だかりができている。
しかし、何やら穏やかではない様子だった。
私はすぐに意識を戦闘体勢へと切り替える。
「だぁから!ボルス様のお体を傷つけた輩を出せって言ってんだろうが!?」
中心へ向かうとそんな声が聞こえた。
ただのチンピラなら、放っておいたがーこいつは今、「ボルス」と言った。
「ボルス=アグレシアン」
ーー数ヶ月前からこの辺り一帯で暴れまわっているという盗賊集団「ギルドキラー」のボス。ギルドからも指名手配が最近掛けられた人物の名だったのだ。
「おらぁ!早く出しやがれぇ!?」
「止めなさい。」
私の言葉にそいつは振り向く。気配を殺していたため、そいつには目の前に突然現れたようにうつっているだろう。
(数は3人…。武器は持ってないようだけど…見るからに身体能力値が高そうね……。50くらいはいってるかしら……?)
「あぁん!?てめぇがそうなのかぁ!!?このちび野郎!」
そいつはすぐに切り替えると私に向かってそう叫ぶ。
以前の私ならこの時点で大泣きしているようなものだが…今は違う。
「いえ、私ではないわ。でもこれ以上好き勝手するのは止めてくれないかしら。でないと痛い目を見るわよ?」
この程度の相手なら…そこまで実力を出すまでもない。
「痛い目ェ?ハッ!やれるもんならやってみやがれぇ!!」
案の定、先程の挑発に乗ってくるチンピラ。
私はチンピラに向かって手を素早く向ける。そしてーー
「~~~」
小声で風魔法の呪文を呟く。声に出す必要はなかったが…これは残る二人への牽制。
今の二人の角度からなら私が風魔法の呪文を唱えた所を確認できただろう。
今の風魔法で吹っ飛んだチンピラを見てこう思うはずだ。
ーーこいつはかなりのやり手だ。だが呪文を唱える前になんとかすれば勝てるーーと。
「グフォァッッッ!!?」
狙い通りチンピラは吹っ飛んだ。
(今の威力で吹っ飛んだということは…身体能力値はやっぱり50くらい。残る二人も恐らくは同じくらい…!)
「なっ…!?」
驚きながらも、すぐに私を二人で囲む体勢に入る。
………狙い通り。
私はあえて何も企んでいないかのように、
「あら、貴方たちもくるの?」
先程のように挑発的な台詞を吐く。
「うるせぇ!ちょっと強いからって調子こいてんじゃねぇぞ!」
「てめぇ、ただで住むと思うなよ!?」
やはり乗ってきた。完全に狙い通りだ。
向かってくる2人のチンピラに炎魔法と氷魔法をそれぞれ食らわせる。
「あ、熱ッチィイイ!!?」
「こ、凍るゥウウウ!?」
それぞれ悲鳴を上げながら倒れるのを見届ける。
加減はしたので多少は負傷したかもしれないが、命に別状はないだろう。
(さて、こいつらからどうボルスの情報を聞き出そうかしら…。)と考えていると
「へぇお嬢ちゃんよぉ!中々やるじゃねぇか!」
こちらに向かってくる大柄な人影。
その顔はギルドの手配書に載せられたボルスの似顔絵そのままだった。
「あら、この連中のボスかしら」
ほぼわかっていることだが、一応聞いてみる。
「あぁ、そうさ。俺がこいつらのボスさぁ…。俺が探してんのは俺の腕を折ってくれた変な格好した奴でよぉそいつにたっっっぷりお礼をしにきたんだが……」
間違いない。コイツはボルスだ。心の中でそう確信する。
すでにボルスからは尋常ではない殺気を感じる。今までの雑魚とは比べ物にならないような殺気を。
しかし、同時に驚く。ボルスはギルドですら手を焼くような相手だ。その腕を折ることができたなど…相当のやり手だろう。
「その前にてめぇで肩慣らしすっかぁ!」
気づくと、ボルスは突進を開始していた。やはり速い。
私は焦ることなく雷魔法を放つ。
ーーだが、ボルスは意にも介さず突進し続ける。
(なっ…!)
驚く私だが素早く防御魔法を展開する。
しかし、突進を食らう直前あることに気づく。
「雷魔法を食らった所が<崩れてる>?…ッ!まさか……!?」
直後、私の体は宙を舞っていた。
翌日。私は朝早くから街に食糧の買い物に来ていた。早い時間でないと人だかりができてしまうからだ。
<英雄の右手>であるお婆さんの元で修行したことで、人に注目されるのはある程度慣れたが、苦手なものは苦手である。
だからさっさと買い物を済ませようと思ったのだが…
「あ、セレス様だ!セレス様がこられたぞ!」
偶然、私に気づいた若者ががそう叫んだ直後……
「どこだ!どこにいるんだ!?」
「本当!?本物のセレス様が!?」
「あぁ、なんと麗しい…!」
……案の定、一瞬で人だかりが出来てしまった。
こうならないよう早くから買い物に来たのに……。
「あの…私、買い物をしたいのですが…
「いや~本物のセレス様に会えるとは思いませんでした!」「私、感動して涙が…」「ささ、セレス様どうぞどうぞ!」
「………」
結局、買い物もできぬまま街の人たちに囲まれ解放された頃にはもう昼近くになってしまったのだった…。
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「はぁ…疲れたわ……。」
街の人たちからやっと解放された私は買い物を済ませ、家へ帰ろうとしていた。
「午後から草原へ行こうかしら…。あそこなら静かだし…。」
そんな事を考える。それもしかしたら昨日のあの男の人がいるかもしれないし……
「ッ!?~~~~ッ!」
突然、頭のなかに昨日のあの男が出てくる。そこまで気にすることでもないはずなのだが妙に恥ずかしくなってしまう。
ーーーーーーふと。
「あら…?なんの騒ぎかしら…?」
街の広場ーーかつて私が魔法の才能に開花した場所ーーに、人だかりができている。
しかし、何やら穏やかではない様子だった。
私はすぐに意識を戦闘体勢へと切り替える。
「だぁから!ボルス様のお体を傷つけた輩を出せって言ってんだろうが!?」
中心へ向かうとそんな声が聞こえた。
ただのチンピラなら、放っておいたがーこいつは今、「ボルス」と言った。
「ボルス=アグレシアン」
ーー数ヶ月前からこの辺り一帯で暴れまわっているという盗賊集団「ギルドキラー」のボス。ギルドからも指名手配が最近掛けられた人物の名だったのだ。
「おらぁ!早く出しやがれぇ!?」
「止めなさい。」
私の言葉にそいつは振り向く。気配を殺していたため、そいつには目の前に突然現れたようにうつっているだろう。
(数は3人…。武器は持ってないようだけど…見るからに身体能力値が高そうね……。50くらいはいってるかしら……?)
「あぁん!?てめぇがそうなのかぁ!!?このちび野郎!」
そいつはすぐに切り替えると私に向かってそう叫ぶ。
以前の私ならこの時点で大泣きしているようなものだが…今は違う。
「いえ、私ではないわ。でもこれ以上好き勝手するのは止めてくれないかしら。でないと痛い目を見るわよ?」
この程度の相手なら…そこまで実力を出すまでもない。
「痛い目ェ?ハッ!やれるもんならやってみやがれぇ!!」
案の定、先程の挑発に乗ってくるチンピラ。
私はチンピラに向かって手を素早く向ける。そしてーー
「~~~」
小声で風魔法の呪文を呟く。声に出す必要はなかったが…これは残る二人への牽制。
今の二人の角度からなら私が風魔法の呪文を唱えた所を確認できただろう。
今の風魔法で吹っ飛んだチンピラを見てこう思うはずだ。
ーーこいつはかなりのやり手だ。だが呪文を唱える前になんとかすれば勝てるーーと。
「グフォァッッッ!!?」
狙い通りチンピラは吹っ飛んだ。
(今の威力で吹っ飛んだということは…身体能力値はやっぱり50くらい。残る二人も恐らくは同じくらい…!)
「なっ…!?」
驚きながらも、すぐに私を二人で囲む体勢に入る。
………狙い通り。
私はあえて何も企んでいないかのように、
「あら、貴方たちもくるの?」
先程のように挑発的な台詞を吐く。
「うるせぇ!ちょっと強いからって調子こいてんじゃねぇぞ!」
「てめぇ、ただで住むと思うなよ!?」
やはり乗ってきた。完全に狙い通りだ。
向かってくる2人のチンピラに炎魔法と氷魔法をそれぞれ食らわせる。
「あ、熱ッチィイイ!!?」
「こ、凍るゥウウウ!?」
それぞれ悲鳴を上げながら倒れるのを見届ける。
加減はしたので多少は負傷したかもしれないが、命に別状はないだろう。
(さて、こいつらからどうボルスの情報を聞き出そうかしら…。)と考えていると
「へぇお嬢ちゃんよぉ!中々やるじゃねぇか!」
こちらに向かってくる大柄な人影。
その顔はギルドの手配書に載せられたボルスの似顔絵そのままだった。
「あら、この連中のボスかしら」
ほぼわかっていることだが、一応聞いてみる。
「あぁ、そうさ。俺がこいつらのボスさぁ…。俺が探してんのは俺の腕を折ってくれた変な格好した奴でよぉそいつにたっっっぷりお礼をしにきたんだが……」
間違いない。コイツはボルスだ。心の中でそう確信する。
すでにボルスからは尋常ではない殺気を感じる。今までの雑魚とは比べ物にならないような殺気を。
しかし、同時に驚く。ボルスはギルドですら手を焼くような相手だ。その腕を折ることができたなど…相当のやり手だろう。
「その前にてめぇで肩慣らしすっかぁ!」
気づくと、ボルスは突進を開始していた。やはり速い。
私は焦ることなく雷魔法を放つ。
ーーだが、ボルスは意にも介さず突進し続ける。
(なっ…!)
驚く私だが素早く防御魔法を展開する。
しかし、突進を食らう直前あることに気づく。
「雷魔法を食らった所が<崩れてる>?…ッ!まさか……!?」
直後、私の体は宙を舞っていた。
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