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番外編シリーズ
番外編 セレスティン=ジルバーナ「9」
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「な…なぜ…」
「わりぃなあ。俺はよぉ餓鬼の頃から魔法耐性が異常に高くて魔法なんて食らわねぇんだわ!」
私の問いに対しボルスが答える。
だが、私の「なぜ」と言う言葉は「なぜ魔法が通じないのか」という問いではない。
本当の問いは…ーー何故、「土魔法」で身代わりなど作っているのかーーだった。
(…まさか、本体の方はまだ怪我が完治してなくて近くに身を潜めてる…?いや、復讐しに来るなら本体も万全な状態でくるはず…。一体なんで…)
倒れるながらも必死に考える私をよそにボルスは続ける。
「それによぉ、俺がさっき言った奴に負けてから随分レベルを上げたお蔭であの時72だった身体能力値は90!!今の俺は無敵なんだよぉ!」
(無敵…?笑わせるわね…。<あなたくらい>の実力を持ったのが王都にどれだけいると思ってるの…。)
自身を無敵だと称したボルスに対しそんな軽口を叩こうとした。だが、それを言葉に出すことができない。
さっき食らった突進のダメージが大きすぎたのだ。
逃げようにも体に力を入れることすら出来ない。
(まずい…。完全に油断した…!このままだと……!)
そしてボルスは私の頭を掴んで持ち上げ、拳を握る。
(あぁ…これは……もう駄目かも……。)
抵抗を諦め、敗北を確信した時だった。
「へぇ、面白ぇ…!じゃあやってみろよ!」
突如、今まで傍観することしか出来なかった街の人の中からそんな叫び聞こえた。
その声にボルスが振り向く。私も目だけをそちらに向ける。
そこに立っていたのは、昨日の<あの男>だった。
「やっと、見つけたぜぇ…!」
ボルスは私に興味をなくし掴んでいた手を離す。
「ケホッ……!」
受け身をとることすらできない私は地面にぶつかった衝撃でそんな声が漏れる。
だが、今はそれどころではない。私は<あの男>に必死に顔を向ける。
「あれから苦労したぜぇ…。てめぇに負けたせいで暫く心が折れちまってたからよぉ。」
「そのまま心が折れてりゃ、これから痛い目遭わずにすんだのにな」
<あの男>はボルスに対しそんな挑発を返した。
(あのボルスは身代わりと伝えなければ…!)
私はなんとか、<あの男>にそのボルスが偽者だと伝えようとする。
しかし、声を出すことすらままならない。
そして、偽ボルスが再び突進を始める!そしてそれに応えるかのように<あの男>も走り始める!!
(なっ…!?正面からぶつかる気!?)
正面から<あの男>が突っ込んだ事に唖然とする。
いくら土魔法の相手とは言え身体能力値は本体から引き継がれる。しかもボルスはかなりの高レベル。普通にやりあえばかなり厄介なはず……
だが、<あの男>の動きは私の予想の斜め上を言っていた。
ぶつかる直前、身を屈め横に転びながら足払いをしたのだ!偽ボルスは盛大に転び、突進の勢い殺せずそのまま滑っていく!!
……あんな動きは今まで見たことがない。一体どんな技なのだろうか。
<あの男> は立ち上がると「ふぅ」と息を漏らす。
しかし、私は上から<あの男>に目掛けて落ちてくる影に気がついた。
(避けてッッ!!)
叫ぼうとするが声を未だに声を出すことが できない。
そしてーー
「上だよ!馬ァ鹿!!」
ドゴッと言う鈍い音と共に<あの男>が地面に叩きつけられる。
<あの男>はなんとか立ち上がるが最早、勝負は決したようなものだった。
ボルス自身も完全に勝利を確信しているようだった。
(私の体…なんでまだ動くこともできないのよ……!!)
今すぐにでも<あの人>を助けたい。しかしどうすることも出来ず、ただ見ることしかできない。そんな状況に苛立ちを覚える。
「死ねぇ!!」
気づくとボルスが止めの一撃を放ち始めていた。
(お願い…!動いてッ……!!)
しかし、私の願いは聞き届けられない。
思わず目を反らしてしまう。
そしてボルスの拳が完全に<あの人>の顔を捉え完全に入った…はずだった。
「なっ…なんだこりゃ!?」
驚きの声を上げたボルスの方を恐る恐る見るとあり得ない光景が広がっていた。
あの人の回りで瓦礫が宙を舞っていたのだ。まるで<あの人>を守るかのように…。
その場にいる全員が呆然とするなか、その空気を切り裂くかのように<あの人>は言い放つ。
「悪かったな。本気出さなくて。ちょっとだけ本気だしてやるよ。その代わり、てめぇの命の保証はねぇぞ?」
「わりぃなあ。俺はよぉ餓鬼の頃から魔法耐性が異常に高くて魔法なんて食らわねぇんだわ!」
私の問いに対しボルスが答える。
だが、私の「なぜ」と言う言葉は「なぜ魔法が通じないのか」という問いではない。
本当の問いは…ーー何故、「土魔法」で身代わりなど作っているのかーーだった。
(…まさか、本体の方はまだ怪我が完治してなくて近くに身を潜めてる…?いや、復讐しに来るなら本体も万全な状態でくるはず…。一体なんで…)
倒れるながらも必死に考える私をよそにボルスは続ける。
「それによぉ、俺がさっき言った奴に負けてから随分レベルを上げたお蔭であの時72だった身体能力値は90!!今の俺は無敵なんだよぉ!」
(無敵…?笑わせるわね…。<あなたくらい>の実力を持ったのが王都にどれだけいると思ってるの…。)
自身を無敵だと称したボルスに対しそんな軽口を叩こうとした。だが、それを言葉に出すことができない。
さっき食らった突進のダメージが大きすぎたのだ。
逃げようにも体に力を入れることすら出来ない。
(まずい…。完全に油断した…!このままだと……!)
そしてボルスは私の頭を掴んで持ち上げ、拳を握る。
(あぁ…これは……もう駄目かも……。)
抵抗を諦め、敗北を確信した時だった。
「へぇ、面白ぇ…!じゃあやってみろよ!」
突如、今まで傍観することしか出来なかった街の人の中からそんな叫び聞こえた。
その声にボルスが振り向く。私も目だけをそちらに向ける。
そこに立っていたのは、昨日の<あの男>だった。
「やっと、見つけたぜぇ…!」
ボルスは私に興味をなくし掴んでいた手を離す。
「ケホッ……!」
受け身をとることすらできない私は地面にぶつかった衝撃でそんな声が漏れる。
だが、今はそれどころではない。私は<あの男>に必死に顔を向ける。
「あれから苦労したぜぇ…。てめぇに負けたせいで暫く心が折れちまってたからよぉ。」
「そのまま心が折れてりゃ、これから痛い目遭わずにすんだのにな」
<あの男>はボルスに対しそんな挑発を返した。
(あのボルスは身代わりと伝えなければ…!)
私はなんとか、<あの男>にそのボルスが偽者だと伝えようとする。
しかし、声を出すことすらままならない。
そして、偽ボルスが再び突進を始める!そしてそれに応えるかのように<あの男>も走り始める!!
(なっ…!?正面からぶつかる気!?)
正面から<あの男>が突っ込んだ事に唖然とする。
いくら土魔法の相手とは言え身体能力値は本体から引き継がれる。しかもボルスはかなりの高レベル。普通にやりあえばかなり厄介なはず……
だが、<あの男>の動きは私の予想の斜め上を言っていた。
ぶつかる直前、身を屈め横に転びながら足払いをしたのだ!偽ボルスは盛大に転び、突進の勢い殺せずそのまま滑っていく!!
……あんな動きは今まで見たことがない。一体どんな技なのだろうか。
<あの男> は立ち上がると「ふぅ」と息を漏らす。
しかし、私は上から<あの男>に目掛けて落ちてくる影に気がついた。
(避けてッッ!!)
叫ぼうとするが声を未だに声を出すことが できない。
そしてーー
「上だよ!馬ァ鹿!!」
ドゴッと言う鈍い音と共に<あの男>が地面に叩きつけられる。
<あの男>はなんとか立ち上がるが最早、勝負は決したようなものだった。
ボルス自身も完全に勝利を確信しているようだった。
(私の体…なんでまだ動くこともできないのよ……!!)
今すぐにでも<あの人>を助けたい。しかしどうすることも出来ず、ただ見ることしかできない。そんな状況に苛立ちを覚える。
「死ねぇ!!」
気づくとボルスが止めの一撃を放ち始めていた。
(お願い…!動いてッ……!!)
しかし、私の願いは聞き届けられない。
思わず目を反らしてしまう。
そしてボルスの拳が完全に<あの人>の顔を捉え完全に入った…はずだった。
「なっ…なんだこりゃ!?」
驚きの声を上げたボルスの方を恐る恐る見るとあり得ない光景が広がっていた。
あの人の回りで瓦礫が宙を舞っていたのだ。まるで<あの人>を守るかのように…。
その場にいる全員が呆然とするなか、その空気を切り裂くかのように<あの人>は言い放つ。
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