召喚魔法姫ユニ☆らぶ

蒼井一

文字の大きさ
15 / 27
第一章 異世界からきた姫様

第六幕 場所移動? まじかよぉ、なんとかドアじゃねーだろぉ!?

しおりを挟む

「我輩が、ユニ様たち皆と食事をしている風景を、魔法画で描きとう御座いますダス! どうダスかな、ユニ姫様?」
「いいよ、描いて!」
明るく、可愛い笑顔でユニは答える。
「じゃ、また手、繋ごう、ゆーまぁっ!」
「えッ、あ、あのさぁ、手はなあ……恥ずかしいよぉッ」
ゆーまが、恥ずかしそうに、顔を赤め、握られていた手を、パッと引っ込め離す!
「……!」
あいちゃんの表情が、その瞬間、一変した。しばらく、沈黙が走った。重苦しい雰囲気だ。
「気にしなくていいですよ。あたしも、先輩とこっちの手で繋ぎますから!」

「お、おい、何でそうなるの?」
ゆーまの、反対側の手をあいちゃんが握った。その反対側は、既に、ギュゥ~と、ユニに再び握られていた。
「きゃ、せんぱいと手を繋いでしまいました。きゃぁッ!」
あいちゃんが、きゃぁ、きゃぁ、と乙女声を出し、嬉しそうな顔で顔を少し赤らめる。
「……!」
困惑した面持ちで二人に両側で手を繋がれ、ゆーまは無言で嘆息めく。

「ムコ殿、ユニ様とあい殿に繋がれて、両手にはなダスな! では、魔界を創造するダス!」
割って入ったピットが三人に釘を指す。次の瞬間、ピットの目が光った。
「はぁつッ、キターッ! パニクルゥ~」
目が光り、ピットは奇声を上げる。その光景にあいちゃんは驚く。一同も息を呑んだ。

「魔法ペン、魔法タブレット展開ッ!」
魔法ペンと魔法タブレットが展開し、大きくなり光り輝く。ピットの目が、赤く光る。次の瞬間、ピットは動いた!

ZUBABABABABABA!

「ふぅ、描けましたダス!」
一瞬にして、その場の光景を魔法ペンで描いてしまった。物凄い速さの手捌(てさば)きだ。周りは息を呑み、見守った。描き終わると、ピットの目が、元の藍色に戻った。魔力を要する時だけ、赤く光るのだろう。
魔法ペンで、描いた絵が光り輝く! どんどん具現化していく!
「うそ、す、凄い、絵が、あ、あたしが、別人が動いてる?」

DOSUN!

「あちゃぁ~、流石のあいちゃんでも、魔法画は効いたか!」
あいちゃんは、まともにその奇抜で、現実に具現化した魔法画をみて、その場で意識を失い倒れ伏した。ゆーまが慌てて、倒れたあいちゃんをどうにかしようと駆け寄る。ユニたちもこれには驚いた。自分たちの国ではこれが当たり前だったからだ。口に指をくわえ、首を傾けた!

「ん、やべぇ! 時間がネー。学校に遅れる!」
唐突にゆーまは、壁にかけられていた時計を瞻(み)、顔色を変える。また、ジタバタと手足を動かし、慌てふためく。心配そうにあいちゃんを、見遣る。

「あ、ど、あ、ど、どうしよう、やべぇこんな短時間じゃ、学校まで駆け込むのは無理だぁあぁあぁぁッ~」
手足をバタつかせ、その場を慌てて右往左往、駆け巡る!

「ゆーま、どうしたの?」
ユニが、不思議そうな顔で問う。ラクリも黙って、その様子を見ていた。

「あぁ~学校に遅れるんだ! でも、あいちゃんほっとけない!」
大声を張り上げ、舞台声でゆーまは、必死に方法を探し、あいちゃんの前で止まり、手をかくかく動かし、てんぱっていた。

「学校? 学校って、何?」
ユニが、不思議そうな顔できき返す。何か、秘策があるかのような面持ちで。

「皆が勉強する所だぁあァッ! あいちゃん、あいちゃん起きて、起きてってば!」
急いで、あいちゃんに駆け寄り、ゆーまは、あいちゃんの身体を揺さぶる。

「あぁ、あたしの国の魔法アカデミーみたいな所ね。学校はここから遠いの?」
「遠いよ。何か、方法があるのか? まさか、何とかクエストみたいに魔法でびゅーっとか?」
「ううん、よく似てるけど、あたしの、魔法のタクトで、魔方陣を描けば、どんなとこでも簡単にいけるよ」

ユニは、可愛い声で、左手首の魔法の球のようなものが付いている、アクセサリーの光球に手を突っ込み、魔法のタクトを光球の中から既に、引っ張り出そうとしていた。

「(球ん中に手を突っ込んだ? もう、何でもありだな)そうなのかッ、じゃ、頼む、ユニ、それやってくれ!」
ゆーまが、必死の思いで頼み込んだ。

「いいよ、描いてあげる! えっと、どこかな? あったわ。出でよ、魔法のタクト」

PON!

ユニの左手のアクセサリーから、瞬時に魔法のタクトが、ユニ自身の右手に握られ出てきた。
「そおれぇ、魔法タクト、展開!」
ユニが言った瞬間、魔法のタクトが光り輝き、ユニは魔法のタクトで、何やら複雑な魔法陣のようなものを描き出した。

「そぉれ、そぉれぇッ!」
どんどん、台所のフロアの床に、光の線が描かれ、展開していく。

「出来たよ『どこでも魔方陣!』」
えっへんと、胸を張り、可愛い声でユニは言う。

「どこでも魔方陣? 何それ、ユニ?」
はぁあ? とマジかと言った面持ちでゆーまは訊き返す。これが当たり前なのか、他の面々は驚いたような顔色を一つもしない。

「姫様の魔法アイテムによる、魔法術じゃ!」
ラクリが簡潔に言った。

「魔法術? 要するに魔法ってわけね」
そうかと、納得したような顔を、ゆーまは見せ、半分、呆れた顔で、魔法陣を見遣った。

「あたし、学校の場所、知らないから、どこでも魔方陣の中であたしの魔法のタクト握って、ゆーま、学校の場所、念じてよ。そしたら、あたしが、魔法をかけるよ」

「うん、判った。そうすりゃ、学校に行けるんだな!」
ゆーまが、そう答えた矢先だった。ユニが口を開いた。

「皆、どこでも魔法陣の中に入って!」
「ラジャーダス!」
ピットとラクリが、ユニたちがいる『どこでも魔法陣』が布石された中に入っていく。

「ようしぃ! 学校、学校とぞな!」
ユニが、右手に持っている魔法のタクトを握り、ゆーまは、軽く目を閉じて、学校のイメージを頭の中で考える。

すると、どこでも魔法陣が急に光り出した。

「ひ、光ったァッ!」
ゆーまは、頓狂(とんきょう)な声を上げ、生唾(なまつば)を飲む。

「じゃぁッ、いくよ、どこでも魔法陣、展開!」

ピカァ!

ユニがそういうと、どこでも魔法陣が強烈な光を出し、その魔法陣の中に入っていた全ての人たちが一瞬にして、消えた。一体、どこに行ったのだろう。




☆☆  ☆☆
第七幕につづく。up予定。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神ちゃま

吉高雅己
絵本
☆神ちゃま☆は どんな願いも 叶えることができる 神の力を失っていた

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

だーるまさんがーこーろんだ

辻堂安古市
絵本
友だちがころんだ時に。 君はどうする?

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

処理中です...