召喚魔法姫ユニ☆らぶ

蒼井一

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第二十二幕 嫉妬は怖いぃ~? RPGみたいな闘い方やめてくれぇよぉッ、かんがえられねぇーてばぁッ!! 勇者クビにしてくれぇッ!

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ゆーまたちは、山頂に行くために、階段をひたすら登っていた。





「って、おい、この山、何メーターあるんだッ? えらい、道が長い。それに、傾斜が少しきつい、うぅ……」





ゆーまが、非常に辛そうな顔で、階段を登っている。





「ほれ、頑張らんか、婿殿、そんなのでは、凶悪なモンスターから、ユニ様を守れないぞ」





パシコン!





「いて、おい、ラクリ、人の肩にとまって後ろから、小型スリッパで、叩くのやめろっての!」





「ファイトじゃッ!」





ラクリが、ゆーまにはっぱをかけて追い打ちをしている。ゆーまは、不貞腐ふてくされた顔だ。





「ユニをドラゴンから守ってくれるのね♡」





ユニが、手を胸元で合掌させ、キラキラ目を輝かせ、嬉しそうな表情をする。





「また、話がややこしくなってる」





「うふふ、面白いですね、ユニさん」





「う~、でも、ユニも疲れたぁ~。足が、くたくた」





ユニが、疲れた顔で弱音を吐はいた時だった。





パンパカパンピロピロリン





「ん、何ダスか? 魔法タブレットが、勝手に動き出した」





ピットが、異変に気づく。瞬時に魔法タブレットから、何かが出てきた。





「よぅ、お久ひさだね、ユニ!」





出てきた人物はピッっと、 ブイサインを取る。あいちゃんの口が止まっていた。





「あ、あんたは、リン! 何しに来たの?」





ユニが、嫌そうな顔をする。





「ひ、人が、画板から出てきたぁ?」





指を指し、あいちゃんは、後ろにフラッとこけた。





「あーまた、めんどいのが、出てきたぁ! あ、あいちゃん、大丈夫?」





丁度、近くにいたため、咄嗟とっさにゆーまが、あいちゃんの両肩を抱きとめて、こけるのを防いだ。





「ちょっと、フラッとしただけです」





「あ、肩触っちゃって、ゴメン」





「いえ、倒れそうな所を受け止めてくれたんですし、全然、構わないです」





ぎこちない距離感を二人から感じるが、どうにか意識はあるようだ。





ドキドキ感が走る。その間にも、ユニとリンの睨にらみ合いは続いていた。





「(フフ、ユニ様の敵は、後、二人いたようだな)」





ヴィオラが後ろで、くすくすと微笑んでいた。





「今までの話は聞いてたよ。恋草履の話も聞いたよ。ゆーまは、あたいの草履を拾うのよ!」





「むぅ~、そんなことないもん! ゆーまは、ユニの拾ってくれるもん!」





火花が散っていた。二人の瞳から稲妻が飛び出している。一歩も譲らない。





「ユニ、あたいが、恋寺に一番乗りよ、ゆーまとの願いは、あたいが叶えるのよ」





そう言い、持っていた、魔法剣アウトライザーを空中に放り投げ、リンは軽く空にジャンプした。一体、

どうする気だ?





「あ、待って、そんなのズルイよ~。むぅ!」





身を乗り出し、ユニは顰しかめ面をしながら言った。





「魔法剣ローズバイパー魔女モード!」





何と、リンは、魔法剣アウトライザーの上にヒョイと乗っかり、空に浮いている。今にも、魔法剣の柄から、飛ぶためのエネルギーのようなものが膨張し、出そうな状態になる。





「何だ、ありゃ? (あんな技、ゲームであったっけ?)剣に乗っかって、空、飛んでるぅ?」





ゆーまが、目をパチクリし、指を指し、キョトンとしている。





「お先に~、失礼! ユニ!」





リンは、バイバイと軽くポーズを、ユニに贈りながらいう。





「ちょっと、待たんか、リン!」





「アエリア、あんたは、ゆーまと一緒にいな」





リンが、魔法剣アウトライザーのエネルギーを飛ばし、瞬時に空を駆けた。





「ね、猫が、喋しゃべったぁぁッ?」





口をガクガクさせて、あいちゃんは、アエリアを指差した。流石のあいちゃんも驚きの色を隠せなかった。その場で言うと、気を失った。





「あ、あいちゃん、大丈夫?」





ドタン!





その場で気絶し、ゆーまが、軽くそれをまた受け止めた。ユニが、見計らって動いた。





「むぅ、もう、足が疲れて、動かないのに! えぃ、もう、あれ、使おう」





ユニは、グッと拳こぶしを握り、リンに負けないようにガッツポーズをした。





「魔法アイテム、『魔法使いの箒ほうき棒!』」





PON!





何と、ユニの魔法球から、箒が出てきたではないか。





「ゆーま、先に行くね」





その出した箒に跨またがり、ユニは、宙に浮いた。





「おん、(って、箒で、空、飛ぶわけね)」





「リンちゃんに負けないんだから! まてぇ、リン!」





そういうと、ユニは、空を飛び、凄いスピードで、恋寺にすっ飛んでいった。





残されたゆーまたちは、唖然としていた。





ラクリが口を開いた。





「あの魔法アイテムは、わが国で魔力を持つものの、定番じゃ」





「なるほど」





ゆーまが首を縦に振り、腕組みをする。





その時だった。後ろで気配がした。





「では、私もお供いたします」





ヴィオラらだ、 ヴィオラが、何やら呪術のようなものを唱えようとしていた。視線が集まる。





「忍術魔法、『疾風しっぷう迅雷じんらい足そく』」





何と、忍術の魔法を唱え、足にエネルギーのようなものが巻きついて、羽根が生えた。





ヴィオラは、その場で軽快に足踏みをし、素早い動きで、恋寺の方に駆け上がっていった。





「うそぉ、は、はえぇ、さすが、忍者」





その光景を垣間見て、ゆーまは、キョトンとしていた。





他の皆は、それが当たり前なのか、どうとしたこともなかった。





「で、俺たちは、あの、スゲェ、遠い寺までやっぱし、歩いていくのね……」





「仕方ないダスぅ、飯のためダス」





二人が、少し顔を見合わせ、遠くを見遣り、嘆息気味にいう。





気が、進むはずがなかったのだ。ただ、理由は昼飯のためだった。











☆☆  ☆☆











その頃、恋寺近くまで来ていた、魔法剣士と、魔法使いは、激しい乙女バトルのデッドヒートを繰り返し



ていた。ヴィオラは、まだ下の方にいた。





「ゆーまは、あたしの草履、拾うんだからね!」





「何さ、ゆーまはあたいのことが、好きなんだよ。あんたのなんか拾うはずないわよ!」





ユニとリンが、睨み合いながら、大声を張り上げ主張している。





両者一歩も譲らない。ユニの瞳が、きらーんと一瞬、光った。何か思惑があるのか?





「むぅ~! そんなことないもん(そろそろ、朝御飯のスープで、一緒に食べた魔法アイテム、『魔法のシュガー』が、ゆーまに効いてくるはずなんだけど、まだかな)」





「へん、いつも一緒にいるからって、ナにさ、あたいだって、ずっと魔法タブレットの中でいたんだからね!」





「じゃ~ね、ゆーまが、どっちの草履拾うか、木陰に隠れて見てようよ!」





「望むところよ!」





「むぅ~! 絶対に、あたしの拾うんだもん!」





「へん、ナにさ、あたいのだよ!」





そういい、二人は、少し離れて、木陰に隠れた。ゆーまが気づくように、階段の草履置き場の真ん中に二人の草履が、置かれている。火花は、木陰に隠れながらも散っていた。女の嫉妬は怖いのだ。







☆☆ ☆☆

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