ファウスト プリンセス

蒼井一

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第三章 錬金術ってできたら便利!?

第三十話 意外と小さくなったらかわいいじゃない?! 仲間がふえちゃったぁ!!

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そのころ、メイジン家の倉庫では、一歩譲らぬにらみ合いが続いていた。
「おい、赤毛の仕事人さん、大丈夫なのか、もう、時間がないぞ?」
「後、二分ちょっとか。大丈夫だ、動き出して、危害を加えるようなら、俺が仕留める」
「なら、いいんだが、ほんとに、あの女の子はくるのか? 逃げたのじゃないのか」
「いいや、そんな子じゃない。いったことは守る子だ。ただ、時間内に、小さくするアイテムが作れているかどうかは、わからないが。信じるだけだ」
 ファイが言い切った、そのときだった。
 空間にズレが生じた。
 そこから、誰かがでてきた。

「お待たせしました、ファイさん」
 テレシフトという移動魔法だ。ファイは一瞬、頓狂な顔をした。
 ファイがミレアが持っていた瓶に気が付いた。近くにプニロンがいる。

「お、ミレア、アイテムは作れたのか? 時間、ギリギリだぞ」
「えへへ、何回か失敗しましたけど、無事に出来ました」
「じゃーん、『ミニマムウォーター』です」
 そういうと、ミレアはミニマムウォーターの液体が入った瓶を掲げた。
 プニロンが口をとがらせていってきた。

「お陰さまで、えらい目にあったプニよ」
 ファイが倉庫にあった大きな時計を鋭い眼光でみやった。
「おい、後二分ない、早くかけろ」
「わかりました。ええい」

PON!

「おお、ワームが小さくなった」
 なんと、液体をかけると一瞬のうちに巨大ジャイアントワームはミミズサイズになった。
 凄いアイテムだ。

「ミレア、お前、凄いアイテム作れるんだな。感心するぜ」
「えへへ、そんなことないですよ。先生に教えてもらっていたので」
「俺のいた世界の魔法使いよりもそこだけは優秀だな」
「? え、世界? 魔法使い? どういうことですか?」
「気にするな、空言だ。さてと、このミミズをどうするかだな」
「(やっぱり、怪しいプニ)」
「魚釣りの餌にするか?」
 ファイはそういうと小さくなったワームを引っ掴んだ。
 ワームは身体をゆらせて、逃げようとした。意味はわかっているようだ。
 ミレアが寄ってきた。

「そんなのかわいそうですよ。私の店の花壇で保護します」
「要するに飼うんだな。お、なんだ、ミミズが顔を縦に振ってる。こいつ、人間の言葉が判るのか? ミレア、何か魔法をかけたのか?」

「いいえ、何もしていません。多分ですね、ミニマムウォーターには成分で魔法液が入ってるんです。その影響じゃないかと思います」

 ミレアはそういうと顎に手をやり、しばし間を於いた。
「名前をつけてあげましょうよ、ファイさん」
「勝手にしろ、俺は構わない。ミミズというよりましだ」
「顔を振ってるプニな。ほんとに言葉がわかるみたいプニね」
「ではではでは、ミミズですから、ミミちゃんというのでどうでしょうか」
「はは、ミレア、そのままじゃねーか。まぁいい、お前が助けたんだ。ミミよ、命拾いしたな」
「首を縦に振っていますね。身体を何か頻繁に動かしていますね」
「うれしいんだろうぜ。大歓迎か」
「おれっちが、毎日、教育するプニ」
 プニロンはそういうとミミの前に立ちはだかり、睨みつけた。

「プニロンいじめちゃ、だめよ、もう仲間なんだから」
「判ったプニ。だけど、おぬしのせいで、おれっちは小さくされたぷに。死活問題だったプニよ」
「あはは、根に持ってるのね。許してあげて、ね、ね」

「ミレアが今日の晩御飯、美味しいものを作ってくれたら、許しても良いプニ」
「あんた、何だか、上から目線ね。あんた、しもべでしょ?」

「痛いプニ、ひっぱらないでプニ。ごめんプニ」
 ミレアはプニロンの口を引っ掴み、左右縦横、四方八方にびよーんと無理やり引っ張った。
 プニロンは半べそをかいた。スライム族には人間のような手はない。あったとしても短いゼリー状で、とてもミレアの手には届かなかった。
 ファイがそれをみて大爆笑した。

「ははは、お前らは、漫才が得意だな。俺のいたところには、こういう明るい環境はなかったな。常に戦いが待っていたからな」

「ファイさん、面白いですね。ところで、漫才って何ですか?」
「気にするな。話して話してすることだ。お前には出来る限り、俺のいたところみたいに血腥いことはみせたくない」

「よし、ということで、仕事成功! ガーナさん、業務合格証書にサインください」
 ミレアは業務合格証書を懐から引っ張り出して、ガーナさんに渡した。

「おお、いいぞ。よくやってくれたな。感謝するぞ。これは仕事料とは、別の報酬じゃ、受け取ってくれ」
「え、そんなの、いいです、全然構いませんので」
「受け取ってくれ、貴族に恥をかかすのか?」

「ミレア、受け取っておけ。金を引っ張り出して、引っ込めるくらい、貴族に屈辱はないんだ」
 ファイがそういうと、ミレアは一呼吸おいた。
 そして、頷き、受け取ろうと手を差し出した。

「わかりました。では、頂いておきます」
「すまないな、倉庫が散らかってしまって。後片付けはしておく」
「今日は、よく寝れそうじゃ。悩みが一つ解決したからな」
「わしは少し眠る。ジャガリコン、警備はよくしておくのだぞ」
「は、わかりました」
 ジャガリコンはガーナさんに敬礼をし、後ろに引いた。
 そして、ガーナさんが再びしゃべりだした。
「ファウストプリンセスのものよ。ありがとうな。わしは中に入る」
「いえ、お力になれて、よかったです。ではでは」
 ミレアの言葉を聞くと、ガーナさんは屋敷の中に入っていった。
 ファイが腰に手をやり、一歩前に出て言葉を紡いだ。

「いったな。質の悪い貴族でなくてよかったな」
「ではでは、ギルドに報酬もらいにいきましょうか。ファイアクローネも一緒に帰ろう」
「そうするだっち」
 ファイアクローネがそういうとミレアはテレシフトを発動し、その場を後にした。



☆☆   ☆☆
第三十一話につづく。UP予定。
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