サイキックソルジャー

蒼井肇

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第二章 鬼ヶ島鬼神面殺人事件

第二十三話 サイキックパワーの代償

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サイキックパワーの波動で壁を壊し、二人はうまく外に脱出できていた。 

だが、同時に引火し、会館が大爆発を起こして炎上していた。

 煙が渦巻く中、野志穂警視が外で倒れこんでいた。

「こほ、こほ」

「野志穂さん大丈夫か?」

「なんとかね。考えたわね、壁ごと、波動で爆発させるなんて」

「へ、大したことじゃねーよ、前も後ろもいけないとなったら、真ん中しかねーだろ」

RYOは疲れていた顔つきだったが、グッドラックのポーズをして、返した。

 野志穂警視が起き上がりながら言葉を紡いだ。

「毒ガスにやられなかっただけましね。特殊部隊の防毒マスクが必要ね」

 その立ち上がった瞬間だった。



BANG!



「ぐあぁ」

「RYOぉー」

 なんと、狙撃され、RYOの心臓の箇所に銃撃の弾が飛んだ。

 それは見事にRYOの胸にあたり、RYOは反動でその場に倒れこんだ。

 RYOの生死は一体?

 その倒れた瞬間に野志穂警視の前方から声がした。


「ふはは、やったぞ、ついに蒼き竜を殺した」


「あなたがダゴンね! 自首しなさい! そうしないと正当防衛で銃を撃つわよ」


 野志穂警視はミニスカートに隠れていた太ももからすぐさま銃を抜き出し威嚇した。


 だが、相手もプロ。威嚇に動じるような輩でもなかった。


 ダゴンは嘲笑った。

「ふん、自首だと? 笑わせるなよ、警察官さんよ、俺はプロの殺し屋だ」

「警察官さんをその倒れてるやつみたいにしたって、どうとも思わないんだぜ」

「われらは、犯罪組織だからだ」


「く!」

 野志穂警視は銃を構え、悔しそうな面持ちで対処しようとした。


「銃を捨てなさい、うつわよ」


 野志穂警視がそういった時だった。


「あ、あなたは、作詞家のHIンクさん!」


「姫君さん、きちゃだめー、みんな逃げて」


 野志穂警視は急いでいった。若菜、カナ、翔、弐二さんもいる。


 それを見逃すダゴンではなかった。


「おおっと、カモだ、カモがいるぞ、殺しがいのあるカモが三匹も」


「死ねぇ」


 ダゴンはその瞬間、胸に手をはめ、何かを姫君たちの方にほうった。


「手榴弾!」


「伏せてー」



DWOONN!



野志穂警視が姫君を助けようと駆けた瞬間、手榴弾は爆発した。

 手榴弾は姫君恭子たちのところで爆発した。突風が舞い、煙が立ち込めた。

 若菜たちは無事なのか。

「RYO、あなた生きてたの?」

 野志穂警視は涙目でRYOをみた。



「へへ、ちょっと痛かったけどよ、野志穂警視が昔、サイバーアイズに入ったときにくれた、祝いの懐中時計が役に
立ってくれたぜ」


 なんと、奇跡的に撃たれたところに懐中時計があり助かったようだ。


 爆発で確実に先頭にいた姫君を助けようと、野志穂警視より近くにいたRYOが姫君を体をダイブさせて、遠くに
倒れこむことに成功したのだった。


 RYOは息苦しそうに呼吸しながら、あたりを見渡した。


「それよりダゴンは?」


「今の爆発の煙で、逃げられたわ」


「相手も戦闘訓練されたプロの犯罪者か手ごわいな」


 RYOが苦しそうに言った時だった。


「わたし、あの人みたことがあるの。あの人は間違いなく私のグループのセブンティーンレボルーションを書いた、作詞家よ」


 姫君恭子が、釘を刺した。


 言った矢先だった。


「ぐ、意識が消える」


「RYOぉ」


「涼師匠!」


なんと、涼がその場に意識を失い倒れこんだ。


 髪の色も元の黒髪に戻っている。


 野志穂警視が一応念のために、脈を診た。


 しかし、脈は正常のようだった。


 野志穂警視は心配そうな顔つきで紡いだ。


「大丈夫、意識が消えただけよ。サイキックパワーを使いすぎたのよ。だから、もう一人の涼は一時的に眠りについたのよ」


「髪の毛の色が元の黒に戻ってる」


「不思議な現象ね。私と同い年とは思えないわ」


「でも、別人格の先輩はかっこいいですぅ」


「カナちゃん、涼が意識なくしてる時にそんなこと」


「そういいますけど、若菜先輩はどうなんですか」

「それは、わたしも、まぁね、思うけど。頼りがいがあって」


 カナと若菜が乙女トークをしているときだった。


「私も好きよ」


「姫君さん?」


「私を、体を張って守ってくれたもの。別人格の涼君は好きかな」

「むっ」


 しばらくの間、恭子と若菜のにらみ合いが続いた。

 ライバルだ。二人とも容姿端麗だが。


 そのいがみ合ってる時に、後ろにいたマネージャーが割って入った。


「おほん、恭子さん、恋愛禁止という規則があるのですが」


「弐二さん、いいじゃない、いても消えるような人なんだし」


「ですが」


 たしかに、いるようでいない人だった。


「でも、なぜ、作詞家のHIンクさんがインフェルノに加担してるのかしら?」


 野志穂警視がいう。その言葉に姫君が言葉を返した。


「夏元せんせと仲が余りよくなかったみたいなんです」


「なんでも、グループの全権を握る夏元せんせのことが気に入らなかったらしくて」


「なるほどね、新曲の作詞をどっちがするかというようなことでもめていたわけね」


「そうなんです。二人ともプロデュース能力が高くて、ヒットメーカーだったのでライバルだったみたいです」


「とりあえず、ここは危険だわ、どこから狙撃されるかわからないわ、一旦ホテルに帰りましょ。それで、各自部屋に帰るのではなく、一室で待機しましょう」


「あ、野志穂警視、俺っちが涼師匠を担いでホテルに行くっス」


「翔君、私も手伝うよ」


弐二マネージャーがそういうと、みんなはホテルに向かった。


ダゴンはまだ潜伏している。どんな犯罪を起こすかも予想もつかなかった。






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