サイキック捜査官 BLUE DRAGON

蒼井一

文字の大きさ
24 / 82
第二章 鬼ヶ島鬼神面殺人事件

第二十二話 頭脳戦トラップ

しおりを挟む



暗号を解いた二人は、ホテルを出て、会館の裏手口の壁に身を潜めていた。

 今にも突入する態勢だった。

 RYOが裏手口のドアがあいてるのを確認した。

「よし、入るぞ、裏手口が空いてる」

「RYO、気を付けて。何かあれば、私が銃で応戦するわ」

 ドアをあけて、二人は突入した。

 野志穂警視の銃の腕は達人だ。それはRYOも知っていた。

 野志穂警視が特殊部隊のような構え方で銃をもち、廊下を進んでいく。



 そのときだった。



「待って、赤外線よ、何かトラップが仕掛けてあるわ」

 なんと、目の前には怪盗も怯むような、無数の赤外線を張り巡らせていた。

 おそらく、触れば、何かトラップが動くのは目に見えていた。

 RYOがあたりを見回したり、遠くを見やっていた。何かないのかと。

「あれだ、あれが解除ボタンだ。あのブレーカーの下にあるスイッチだ」

 なんと、廊下の先にある柱にブレーカが取り付いていた。

 その下に何やら細工をした装置があったのだ。

 おそらく、解除する装置だと理解できた。

 RYOが手を構えた。

 だが、目の前には解除装置を押そうとしても、無数の赤外線があった。


「野志穂さん、俺に任せて」

「はぁあぁ」

「やあぁ、あたれぇ」

 なんと、構えていた手から、一瞬、空気が動き波動が飛んだ。

 これは?

 野志穂警視に笑顔が戻った。

「なるほど、サイキックインパルスね、それなら、赤外線を簡単に潜り抜けられるわね」




WIIIN


 見事にそれは赤外線をかいくぐり、解除装置にあたって、スイッチが動いた。

「よし、赤外線は消えた。やつのことだ、監視カメラも仕掛けてあるだろうぜ」

 その瞬間、一斉に赤外線は消えた。

 RYOたちが暗い回廊を構えながら歩いていく。

「きこえるか、ダゴン、お前をとっつかまえてやる」

 RYOがそういった矢先だった。

「ふはは、蒼き竜め、よくこのアジトがわかったな。ダイイングビジョンか。あの作曲家が死んだからだな。余計な真似をしおって」

 どこからか、ダゴンの声が聞こえてきた。

 聞こえ方からすると、二階にいると思える。

 野志穂警視が銃を構えながらつむじを曲げ、声を上げた。

「あなた、原さんは仲間でしょ、そんな言い方あるの? ひどいじゃない」

「ふはは、俺にとっては駒だ。俺の完全犯罪のプランをつぶすようなやつはいらん。俺はインフェルノの悪魔だ。失楽園の悪魔ダゴンだ」

 ダゴンは皮肉ったようにいう。

 ベリアルとは打って変わって、違うタイプの犯罪人だ。情そのものがなかった。

「いい加減にしろ、でてきやがれ、そんな殺人を楽しむやつなんて、ゆるしておけねぇ」

「俺はプロの殺し屋だ。失楽園でエデンのリンゴを食べた奴は死ぬのだよ」

「アダムとイブ?」

「どうしたのRYO」

「いけない、野志穂さん、奴はここにいない。まんまとはめられた!」

「どういうこと?」

「あれは、録音の声だ。録音の声をスピーカーで流したんだ。さっきの最後の言葉が暗号だ。エデンをここと見立てると、リンゴは毒、つまり毒で俺たちを殺すってことだ」

「まさか、あれは?」

 配管からなにやら冷気が立ち込めているようにみえた。

 近くにいたネズミがそれにあたり、すぐに倒れこんだ。

 それをみたRYOの顔色が急に変わった。

 危機感を感じていた。

「やろう、毒ガスを仕掛けてやがった」

「野志穂さん、早く外に出るぞ」

 そういい、二人はもと来た道へ帰ろうと踵を返した。

しかし、入り口はとんでもないことになっていた。

「RYO、入り口から火が!」

 なんと、入り口は燃え滾り、通れないくらいに火の手が回っていた。

 熱風で息をするのも苦しいくらいだ。

 その間にも毒ガスが迫っている。



「(おそらくガスが充満するまであと一分それまでにここを出ないと俺たちは死ぬ。野志穂さんを助けなきゃ)」

 RYOは急遽思い立ったように行動に移した。

「しゃあねぇ、野志穂さん左に飛んで」

「なにをするの?」

「いいから、合図したら飛んで!」

「今だ!」

「サイキック・インパルス! やあぁ」

DOWOON!

 一瞬のうちに廊下側の右手の壁が波動で爆発した。

 RYOは外につながっている最も近いところを爆発させて、出口を作ったのだ。



「よし、脱出するぞ」



















☆☆
感想お待ちしてます。
第二十三話、更新いたします。野志穂警視、RYOどうなる? ダゴンの正体は?
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...