サイキック捜査官 BLUE DRAGON

蒼井一

文字の大きさ
30 / 82
第二章 鬼ヶ島鬼神面殺人事件

第二十八話 野志穂警視の直感

しおりを挟む



「そこまでだ、ダゴン」

「もう逃げ場はないわよ」

 RYOと野志穂警視が、じりりと間合いを詰める。

 しかし、ダゴンは一歩も譲らない。


「くははは、俺はエデンの園の天使だ、悪魔ではない」

「天使?」

 RYOがしかめ面をした。

「天使は悪魔に鉄槌を下すのだよ、あの殺された夏元のようにな」

「なぜ殺した?」

「夏元と荒木、霞は殺されて当然だったんだよ。グループの受かったメンバーのデータを改ざんし、やめさせたんだよ。自分たちの娘をグループに入れるっていう理由でな」

「そんな」

 野志穂警視が驚いた表情で言う。

 そして、ダゴンは話を続けた。

「それだけじゃない、俺の娘にも被害は及んだ。娘はショックで口をきかなくなったんだ。精神的に辛い日々が続いて、黙り込んでしまったんだ」

 その言葉を聞いたRYOは言葉を失い構えていた手を下ろした。

「ある日、娘の部屋にいくと、自殺しようと手を切っていた。だが、幸いにも発見が早かったから娘は死なずにすんだんだ」

「じゃぁ、なぜ、殺すまでするんだ」

「ひどいと思わないか、自分の都合だけでこんなに沢山の人に苦痛を与える権力者が。俺は娘が黙り込んだときから、復讐を決意した」

「インフェルノに加担したのね」

 野志穂警視が銃を構えながらいった。





 一呼吸おいてダゴンは話を続けた。

「俺は、エデンの天使、ダゴンだ。悪魔が天使になるときがきたのだ」

 そういい、ダゴンは上着を脱いだ。

すると、とんでもないものが出てきた。

「一歩でも踏み込んでみろ、この爆弾が爆発するぞ」

「爆弾を背負うなんて」

「(サイキックパワーで吹っ飛ばすことは可能だが、ここは屋上、奴を転落させて死においやってしまう、一体どうすれば)」

 野志穂警視とRYOの表情に焦りの色が見えた。

 ダゴンは得意そうな表情で冷徹に言った。

「言っておくがな、これは普通の爆弾じゃないぞ、インフェルノ製高性能爆弾だ。爆発すれば、このホテルごとどかんだ。お前たちの命もない」

「そんな」

 野志穂警視はうなだれる。

「はははは、俺はエデンの園の天使だ」

 ダゴンが大笑いした時だった。

「パパ、もうやめて」

「美咲、どうして、お前、声が。どうして、ここに」

 ダゴンが目を見開いて屋上に介入してきた子を見やった。

 まだ十代だとみえる。

 野志穂警視がニヤリと笑った。

「私の推測で機動部隊を援助で頼んだ時に、もう一つ別に、本庁の人にあなたの家にいくように頼んでおいたのよ」

「なんて、頭の切れる警官だ」

「パパ、もう人を殺さないで。お願い、もとの優しいパパに戻って」

 涙目で必死に美咲は言う。

 その言葉にダゴンは躊躇する。

「美咲、パパは」

「ダゴン、いや宝亀さん、自首しなさい、今なら間に合うわ。娘さんのためにも」

 野志穂警視は再び銃を構えながらいった。

 ダゴンはだが動じない。

「くはは、俺はエデンの天使だ。悪魔ではない、悪魔じゃないんだ」

 そういうと、ダゴンは長い導火線の一本に火を付けた。

 爆弾に火が付くのも時間の問題だ。

「まずい、導火線に火が」

RYOはそういうと身を乗り出した。

「美咲元気でな」

「パパー」

 娘の必死の叫びも虚しく、ダゴンは屋上から飛び降りた。

「ダゴン!」

「涼ぉー」

野志穂警視が屋上のフェンスによりかかり、叫んだ。

 RYOはダゴンの後を追ってすぐさま地上に飛び降りた。

「(一か八か、やってみるしかねー)」

「ダゴンさん、手を(ダメだ意識を失ってる)」

「サイキックパワー全開だ!」

「いけぇ」

DWWOOOON!

なんと、サイキックインパルスの波動の風で導火線の火を上手く消し飛ばした。

そしてその全開の波動はRYOとダゴンが落ちていく地面にぶつかって、大きな風圧が巻き起きた。






 二人はゆっくり地面に風圧で降りることに成功した。










☆☆
感想お待ちしてます。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...