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第二章 鬼ヶ島鬼神面殺人事件
第二十八話 野志穂警視の直感
しおりを挟む「そこまでだ、ダゴン」
「もう逃げ場はないわよ」
RYOと野志穂警視が、じりりと間合いを詰める。
しかし、ダゴンは一歩も譲らない。
「くははは、俺はエデンの園の天使だ、悪魔ではない」
「天使?」
RYOがしかめ面をした。
「天使は悪魔に鉄槌を下すのだよ、あの殺された夏元のようにな」
「なぜ殺した?」
「夏元と荒木、霞は殺されて当然だったんだよ。グループの受かったメンバーのデータを改ざんし、やめさせたんだよ。自分たちの娘をグループに入れるっていう理由でな」
「そんな」
野志穂警視が驚いた表情で言う。
そして、ダゴンは話を続けた。
「それだけじゃない、俺の娘にも被害は及んだ。娘はショックで口をきかなくなったんだ。精神的に辛い日々が続いて、黙り込んでしまったんだ」
その言葉を聞いたRYOは言葉を失い構えていた手を下ろした。
「ある日、娘の部屋にいくと、自殺しようと手を切っていた。だが、幸いにも発見が早かったから娘は死なずにすんだんだ」
「じゃぁ、なぜ、殺すまでするんだ」
「ひどいと思わないか、自分の都合だけでこんなに沢山の人に苦痛を与える権力者が。俺は娘が黙り込んだときから、復讐を決意した」
「インフェルノに加担したのね」
野志穂警視が銃を構えながらいった。
一呼吸おいてダゴンは話を続けた。
「俺は、エデンの天使、ダゴンだ。悪魔が天使になるときがきたのだ」
そういい、ダゴンは上着を脱いだ。
すると、とんでもないものが出てきた。
「一歩でも踏み込んでみろ、この爆弾が爆発するぞ」
「爆弾を背負うなんて」
「(サイキックパワーで吹っ飛ばすことは可能だが、ここは屋上、奴を転落させて死においやってしまう、一体どうすれば)」
野志穂警視とRYOの表情に焦りの色が見えた。
ダゴンは得意そうな表情で冷徹に言った。
「言っておくがな、これは普通の爆弾じゃないぞ、インフェルノ製高性能爆弾だ。爆発すれば、このホテルごとどかんだ。お前たちの命もない」
「そんな」
野志穂警視はうなだれる。
「はははは、俺はエデンの園の天使だ」
ダゴンが大笑いした時だった。
「パパ、もうやめて」
「美咲、どうして、お前、声が。どうして、ここに」
ダゴンが目を見開いて屋上に介入してきた子を見やった。
まだ十代だとみえる。
野志穂警視がニヤリと笑った。
「私の推測で機動部隊を援助で頼んだ時に、もう一つ別に、本庁の人にあなたの家にいくように頼んでおいたのよ」
「なんて、頭の切れる警官だ」
「パパ、もう人を殺さないで。お願い、もとの優しいパパに戻って」
涙目で必死に美咲は言う。
その言葉にダゴンは躊躇する。
「美咲、パパは」
「ダゴン、いや宝亀さん、自首しなさい、今なら間に合うわ。娘さんのためにも」
野志穂警視は再び銃を構えながらいった。
ダゴンはだが動じない。
「くはは、俺はエデンの天使だ。悪魔ではない、悪魔じゃないんだ」
そういうと、ダゴンは長い導火線の一本に火を付けた。
爆弾に火が付くのも時間の問題だ。
「まずい、導火線に火が」
RYOはそういうと身を乗り出した。
「美咲元気でな」
「パパー」
娘の必死の叫びも虚しく、ダゴンは屋上から飛び降りた。
「ダゴン!」
「涼ぉー」
野志穂警視が屋上のフェンスによりかかり、叫んだ。
RYOはダゴンの後を追ってすぐさま地上に飛び降りた。
「(一か八か、やってみるしかねー)」
「ダゴンさん、手を(ダメだ意識を失ってる)」
「サイキックパワー全開だ!」
「いけぇ」
DWWOOOON!
なんと、サイキックインパルスの波動の風で導火線の火を上手く消し飛ばした。
そしてその全開の波動はRYOとダゴンが落ちていく地面にぶつかって、大きな風圧が巻き起きた。
二人はゆっくり地面に風圧で降りることに成功した。
☆☆
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