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第一章 サイキックディヴァージュ
第二話 サイバーアイズ
しおりを挟む黄泉島につき若菜とカナは仲良く旅館のお風呂に入っていた。当然のように覗きにいく男二人がいた。そう現場には涼と翔がいた。持参していたのか、顔に風呂敷を巻いている。
「キャー」
風呂場で誰かの悲鳴がした。覗きにきていた涼と翔の目の色が変わった。
「あの声は若菜!」
急いで涼は声がしたほうに走っていく。女風呂の看板の前までくると、若菜とカナが出てきた。
「一体、どうしたんだ?」
若菜のほうに近付いてきて、涼がすかさず動揺し声を上げた。
「ひ、人が血を流して倒れてる」
若菜が指差す。翔がビデオで映しながらみやった。先には凄惨な光景が待ち受けていた。
「な、何?」
翔は腰を抜かしその場に倒れ込みビデオをだけをズット回していた。翔が何かを発見し赤い文字のような物体の端を触ろうとした。
「な、血で、なにか書かれてる?」
「ちょっと待て。翔、さわるな。これは殺人だ」
涼は急遽まわりにいる全員に訝しげな表情でいい、チラリと死体の辺りを見回した。翔の動きがピタリと止まった。若菜たちも息を呑んでいる。
「一本の髪も足跡も捜査の手掛かりになるんだ。荒らすんじゃネー」
性格が変わったように涼の言動が激しくなった。
「な、なんだ、この血の文字は?」
涼は血の文字を見遣り、眉間(みけん)にしわを寄せる。
「涼師匠、なんて書いてあるッスか?」
「インフェルノ(これは、警視庁特秘任務室サイバー課のブラックリストに載ってた犯罪組織か? それに下の言葉は確かベ……)」
眉間にしわを寄せ、涼は怪訝な面持ちでいった。
「インフェルノ、涼師匠なんのことっすか?」
翔が不思議そうな顔できいてきた。
その時だった。
「イタリア語で地獄のことよ」
「な、野志穂さん! なぜ、ここに」
涼の後ろからナイスバディで胸元が開き、まるでキャバ嬢のような格好をした人が現れた。
「あなたは、誰ですか?」
若菜が警戒心を顕にしていう。
「そうね、自己紹介がまだだったわね。警視庁特秘任務室サイバーアイズの刑事、野志穂(のしほ)瞳(ひとみ)、階級は警視よ」
野志穂警視は腰に手を当てセクシーなキメポーズを取りながらいう。
一同が唖然となった。まさか、ここに警察が現われると思わなかったからだ。
「サイバーアイズ?」
警視庁にそんなところがあったのかと、若菜が首を傾げる。
「警視?」
「特秘任務室なんてきいたことないですぅ」
みな、一様に顔を合わせ不思議そうな顔をする。
「私達は、警視庁の隠密部隊みたいなものだからね、一般的には知られていないわ」
「みんな、俺の上司だ」
野志穂警視の前に立って、涼は一段落置き、警視に手を手向けて紹介をする。
「上司?」
若菜は素っ頓狂な声を上げる。それもそのはず、涼は高校生だ。皆に戸惑いが起きた。
「野志穂警視、この血で書かれたインフェルノってまさか?」
「そうね、犯罪組織インフェルノのことでしょうね。やっぱり、潜伏していたみたいね」
野志穂警視は腕を組み怪訝な面持ちで死体を見つめる。何か知っているようだ。
☆☆
第三話につづく。10/18UP予定。
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