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第一章 サイキックディヴァージュ
第十二話 緑色の炎
しおりを挟む数時間たちRYOたちは再び車が全焼した工事現場に来ていた。
「みんな、よく聞いてくれ。桝居(ますい)さんが死んだのは事故じゃない。他殺だ」
RYOが先陣を切っていった。
「しかし、表札にぶつかって車が炎上して死んだんだろ?」
工事現場の壁に背中をもたれさせ、馬鹿馬鹿しいと霧伊はふてくされた顔で言った。
「確かに炎上はしたさ。巨大な緑色の炎でな!」
鋭い眼光でRYOは冷静沈着な態度でいった。隣にいた櫻井が口を開いた。
「はは、緑色の炎? そんな馬鹿な」
櫻井は笑い皮肉った。それもそのはず、緑色の炎なんて花火以外ないのだから。
一同が唖然となった。誰もが昨日の花火の見間違えと思ったのだ。
「この映像を見てくれ。偶然にも花火大会の時に翔が撮ったものだ」
サイコメトリーコンピューターに翔が撮った映像を映し出す。
「ピンポイント解析ズーム機能!」
見事に速いスピードで翔の撮った画像が正確に何倍にも拡大されていった。
「な、車が燃えてる?」
車が緑色の炎で燃えている映像が映り櫻井、三日月さんは驚嘆する。
「花火に偽装して遠くでは車が燃えていたんだよ。燃えるときの爆音は花火の上がる音で掻き消されているってわけだ」
「つまりだ、何らかの意図的に殺されたって訳だ」
そういい、RYOは全焼した車の辺りを周りながら、歩いていく。
「車の足回りを見てくれ。タイヤの外側と内側だけ燃えていないだろ?」
RYOはタイヤを指差す。不可解なことに気付いた。野志穂警視もそれは察していたようだ。顔色を変えることがない。野志穂警視はあの時にみて推測していたのだろう。
「ほんとね」
櫻井の隣にいた同じ大学の三日月はいう。続けてRYOは口を開いた。
「これは炎上するときに何らかの板のようなものをベリアルがそこに引いていたのさ」
「しかし、ガソリン炎上ならここらが臭いはずだが?」
不可解なことにまた気付き、二富士は謎をぶっ掛けた。
「後で判ったんだが表札の近くに鏡の破片が一枚、落ちてたんだ!」
RYOは懐から落ちていた鏡の破片を取り出した。
「そんなの車のサイドミラーじゃないの?」
美人でグラマラスなお姉さん三日月がいった。
「違うな。ぶつかった反動でサイドミラーが割れるのなら場所的に車の前には落ちない」
続けてRYOは考察していく。
「それにだ、いくら視界が悪いといっても、こんなど真ん中の広い道で表札に当たるのはおかしい」
「それじゃぁ、意図的に置かれていたってこと?」
三日月さんが言う。
「いや仕組んでいたんだ。表札はあったが車にブレーキを掛けさせる必要があったんだよ」
「どういうこと?」
三日月さんが訝しげな面持ちで訊き返した。
徐に確信があるのか、RYOは口火を切った。
「ブレーキを掛けさせることで摩擦させ、何らかの液体に発火させる作用を施したんだよ」
「へん、他殺だ? 馬鹿馬鹿しい。俺は帰らせてもらうぜ」
感じの悪い同じ大学の霧伊が言った。足取りを速め踵(きびす)を返した。
「待て、これは殺人事件だ。ここには警視もいる。被疑者は全員、帰すわけにはいかない」
RYOは警告を促すようにはっきりという。一同にプレッシャーが掛かる。
「そうね、私は警視庁特秘任務室サイバーアイズの警視よ。私からも帰すわけにはいかないわ」
「警視だと?」
感じの悪い霧伊が足取りを止めて、身体を野志穂警視のほうに返した。
「つまりだ、自然発火に見せ付けるため表札にトリックを仕込ませてぶつからせたんだよ」
そういうと一同に沈黙が走る。
RYOは動作のおかしい人物を探そうと目線を回していたが誰も様子がおかしいといった人はいない。
☆☆
第十三話につづく。UP予定。感想おまちしてます。
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